22話【砂時計を取りに行こう!】
俺は、保健室の扉を開けて中に入り、ベットの中へ潜り込む。フカフカの掛け布団を頭まで被り、枕に顔を埋める。柔軟剤のいい香りが俺を包み込みいつの間にかまた、夢の世界へ出かけていった。
気がつくと、4時間目の中盤の時間になっていた。12時15分。昼食の時間が迫っている。「ふわぁ」と大欠伸をしてベットから抜け出し、俺は上履きを履き教室へ帰っていった。どうやら、昼食に吊られたようだ。
各教室から漂う、お弁当の香りに俺の腹は絶叫し始める。空腹のあまりに、吐き気に襲われ途中の、ベンチに座って休憩を取った。そこで、ジュースを買って一気飲み。飲みにくい紙パックジュースだったが普段のスピードで飲み干した。
なんだか、気分が落ち着き空腹感も減っていった。すっかり、楽になった俺は無意識に砂時計に手を伸ばしていた。ポケットに手を差し込み、砂時計を掴み取る。
「残りは…………」
俺は、フリーズしてしまった。俺の手の中の砂時計は、もう1日分の砂も上段に残していなかった。多くて、残り5時間。残りの砂時計はあと何個用意されているのか。確認しなければならない。
(篠川、脱出しますっ)
心の中で、叫び声をあげ俺は中庭を突っ走り、肩で息をしながら校門前に立つ。喉に、空腹のせいか異変を覚えたが人生を優先。門の端の手摺に足を乗せ校門とほぼ同じ高さまで上り、そこから校門の上に上ってジャンプ!
案外簡単に脱出が出来たことに快感を覚えつつ、俺は寮へ走っていった。坂を上り、角を曲がり…………寮の前に、俺の姿がある。白い壁の寮に今、学生が居るはずがないが、いるのである。
ブレザーに、身を包んだ中学生と思われる人間。その割には、ちょっとの距離で息切れしている。実年齢不詳の男だ。その男は、今寮に潜入を試みている。
前から、確認していた避難用の脱出口を使用する事に決めている。外階段を上がれば、直接そこへ向かえると、この間先輩に聞いたのだ。
おっと、先輩の話を出せばハーレムって言われるよな!気をつけよう……。俺は、外階段を静かに、慎重に、無駄な動きを省いて上っていく。鉄製の階段は、サビがあり所々穴が開いていた。
危険だらけの階段を上って居る途中、階段が変な音を立てる。キシッキシッギシッ。
壊れかけのブリキのおもちゃのような音だ。
「なんだ、この音」
辺りを見渡したが、音の正体と思われるものを発見できていない。そればかりか、まだ上り続けている。危険という言葉を知らないようだ。




