20話【SANDGLASS】
なんとか、校内へ入れてもらいマナーモードに切り替えようと日和と別れ、校舎の裏側へ回った時、着信音が『携帯を所持しているので没収してください』と言わんばかりに鳴り響き始めた。
「うわがっほっが!」
慌てて、携帯を落としそうになりつつ、日本語では無い何かを喋りながら画面を確認すると『占い師』からの電話だった。
急いで、電話に出る。
「はい、もしもし。篠川ですが」
『篠川さん、ごめんなさいね!一つ、言ってなかったですよね?私も、記憶が曖昧でよく分からないのですが、一応お話ししておきます』
「はっ、はあ」
今、言わなくてはいけないほどの重大なお話しなのでしょうか。
俺は、ポリポリと頭を掻きながら占い師の話を聞いていく。
『えっとですねー、(メモメモ、何処行ったっけ。まぁ、いいか)実はですね、このリセット生活なのですが、時間制限が一応付いているんですね。砂時計の方は、私が篠川さんの制服のポケットに入れてありますのでご確認ください。今、お願いします…』
占い師が妙に真剣に語るため、俺はポケットの中を探った。
すると、本当に小さな砂時計が姿を現した。
ガラスの砂時計の中には黄色い砂が入れられている。
サラサラとした砂は、俺が砂時計の本体を揺らす度、サラサラと動く。
「あっ!ありました!」
俺が、報告すると電話の向こうから安堵した雰囲気が伝わってきた。
そして、話は続く。
『その、砂時計の砂が全て落ち切る時あなたは、現実社会へ帰る事になります。
良いですか?それが、落ち切った時貴方はこの世界と別れを告げるのです。
私は、この生活を通して貴方の人生が変わる事をお望みしています。
そして、砂時計が落ち切った時私と貴方はみ知らぬ他人に戻る事になるのです』
えっ、余りにも砂時計だけって残り時間少な過ぎやしませんか?
『あっ、一応言っておきますが、その砂時計まだ貴方の部屋にたくさん用意していますんで。全てが落ち切った時、戻るのです』
全てが……落ち切った時。なんだか、怖い。
《たくさん》とはどれくらいの量なのか。よくわからない。
「あのっ!俺は、現実社会に戻った時、この世界での記憶があるのでしょうか!?」
俺は、焦っていた。この世界の人間は、皆良い人たちばかりだ。こんなに、大切な人達を忘れてしまうのは悲しい。
『その辺りは、会社から口止めされています。まぁ、記憶が残る人もいれば、残らない人もいる、それだけをお伝えして置きます。記憶は、運次第ですね』
口止め、されていたのでは?ほとんど話してましたけど。
「俺は、どうだと思いますか?記憶、残る確率高いと思いますか?低いと思いますか?」
どうしても、知りたかった。
占い師に、うざがられてもいい。
ただ、仲間との記憶が消えてしまうことが怖いのだ。
『………高い、のではないでしょうか。私は、その辺りの専門ではありませんので』
占い師は、シブシブ言ってくれた感じだった。
「そう、ですか」
俺は、一体どうなるのだろう。残された時間、どう生きれば良いのだろう。
校舎の壁にもたれていた俺は、ズルズルと壁を滑り地面にしゃがみ込んでいた。
まだ、始まったばかりだ。俺の、リセット人生は。




