13話【忠告】
ガラス製の扉を開け、食堂の中に忍び込む。電気は付いていない。真っ暗だ。もう、帰ってしまったのかな?手探りで、スイッチを探し灯をつけた。パチッ、その明るさに目が眩む。(うっ……)目を腕で覆い、辺りを見渡した。白いテーブルが、並んでいる。その端に涼の姿を視野に捉える。
「涼!」
涼は、「おう!」と俺に手を振った。足取りが涼に近付いた途端重くなった。まるで、足に重りを付けられているようだ。(なんだ、これ……)視界が、ぼやけていく。その時、俺は頭の端にあった記憶を蘇らせてしまう。それは、占い師の言葉。
『バレたら大変なので気をつけてください』
バレて仕舞えば、どうなるのだろう……。帰れなくなる?消える?死ぬ?けれども、涼を救わなければ!友人を救う為ならば自分の身に何が起きても構わない。俺は、涼と共に窓側の端に席を取った。向かい合って座り、鞄を床に置く。震える唇を動かし俺は、話を切り出した。
「涼、俺真剣だからな」
涼は、ハァ?と首をかしげる。まぁ、無理もないか。普段、真面目ではない俺の事だもな。涼は、カウンターで水を取ってくると机に置いた。
「話、何?」
コップの水に口をつけながら涼は話す。ボワん、とした声だが聞き取る事はできた。俺も、水の入ったグラスを取った。
「涼、バイクはやめろ。死ぬぞ!トンネルで事故起こすんだよ!」
涼は真剣に聞いてくれなかった。テーブルに口から話したグラスを置くと、
「俺は、事故らねぇよ。お前が、『未来人』だとしても俺の未来を変えるな!俺の人生は、俺の人生。他人にとやかく言われる筋合いもない。だから、ほっといてくれ!」
そう、叫んだ。足を組んだ涼は、鋭い眼差しで俺を睨みつけた。涼は、やはり聞く耳を持たないのか。どうすれば、いいんだ。涼を救いたい。涼を助けたい。
「俺、帰る」
俺が、黙り込むと涼は鞄を持ち食堂から歩き出て行った。ガランとした食堂に俺だけが寂しく取り残される。まだ、涼のグラスには水が残っていた。涼……………食堂に猫背の背を向け次第に小さくなっていく。そして、涼の姿は視界から消え去った。
「涼……」
追いかけようと、思った。けれども、追いかけても追い返されるだろう…今の涼は、バイクの怖さを知らない。俺も、鞄を取りグラスをカウンターに返し食堂を後に。その時、近くで小さな声が聞こえてきた。
『篠川君は、この世界の人間じゃないかもね』
まさか、気がつかれた!?そんなはずはない!!
誰が、言ったのだろう。




