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12話【未来予告】

靴箱の前に立つと後ろから背中をポンっと押される。

「篠川!」


この声の主は、涼。斎藤涼である。整った顔立ちは、人形のようだ。短く刈り上げた髪の毛からは雫が垂れていた。


「涼、汗かき過ぎだろ」

あっ、と涼は鞄からタオルを取り出し汗をゴシゴシと拭き取っていく。


「すまねぇ、自転車で来たからよ」

ハァ?涼の家は、一つ山を越えたトコだろ?そんな所から、来るなんて……なぁ。


「俺さ、高校で免許取る。バイクの、そしたらさ楽だろ?」

確かに、楽だ。けれども、涼はバイク事故で死んでしまう。未来を変えることは、いけないと思うのだが……


「涼、バイクは危ないと思う。バスにしたらどうだ?」

バスならば、あの時の事故を防ぐことができるかもしれない。しかし、涼はバイク通学をする事を決めてしまっていた。死んで欲しくない!生きて欲しい、涼。


「うーん、まぁ、バスも考えとくな」

止めなくては!しかし、高校まで一気に飛ぶ事ができない。くそっ!俺は、いつまでこの世界にいられるのだろう。


「涼……ちょっと」

こうなれば、もう俺の真実を話してしまおう。俺は、涼の腕を掴み校舎裏へと引きずっていった。驚いた顔の涼だったが、素直に俺についてきてくれた。中庭を抜け、花壇を越える。すると、校舎裏へ着く事ができた。


「涼、こんな事言っても信じてもらえないかもしれない。けどさ、お前を救いたい」

俺が、口を開こうとした時、着信音がポケットから流れ始めた。俺は、涼に謝り電話に出た。


「はい、もしもし」

『あー、篠川さん?あのですね、もしバレたら大変なので気をつけてください。』


なんて、間のいい電話だ。しかし、俺は占い師を無視した。電話を切り、涼に続きを話す。

「涼、バイクに乗ったお前は、通学の途中で事故るんだよ」


涼は、飽きれたような顔をして、

「まるで、見てきたような事を言いだすな。お前に何が分かるんだ!俺は、バイク通学をする。事故る、だと?俺の通学路は見通しの良いカーブのない道だ!事故なんか、起こらない!」


涼の剣幕に押され、怯んでしまう篠川。しかし、死んで欲しくない!

「俺は、未来から来たんだ!俺は今、過去にいる。そして俺は今、就職している」


自分でも、訳が分からなくなってしまった。涼は、頭を抱えたまま俺の言った事を整理する。

「すなわち、俺は未来で死ぬんだな。バイク事故で。それを、未来から来たお前は危険を俺に知らせる。未来から来たお前は今は会社員になっている」


ああ、と俺は頷いた。涼は、首を傾げ、

「まぁ、お前の言いたい事はわかった。だから一旦話切って後で、放課後食堂で」

斎藤は、重そうな荷物を背負い教室へ走っていった。


「後でな、涼!絶対来いよ!」

涼は、振り返ながら俺に手を振った。俺も、教室へ歩き始めた。涼、死なないでくれよ。


教室の中へ足を踏み入れ、席に俺は付いた。既に、沢山の生徒が集まっていた。俺は、鞄から提出物を出し教卓の上に並べた。


早く、放課後になれ。





放課後。

俺は、階段を重い荷物を持って駆け下りていった。ダダダダ……。食堂は、地下にある。掃除で、すっかり遅くなってしまった。まだ、涼はいるだろうか。


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