99話【事件1・当日・】
ピピピピ……
目覚まし時計が煩く響き、篠川はベットから転げ落ちる。
バタッと床に額を打つけ、体を起こして手でゴシゴシと撫でる。
「って」
視線を上げれば、カレンダーが目に入り、日付は去年に変わっている。
戻ってきたんだ……。
ユラッ、と体を揺らして起き上がりカレンダーをまじまじ、と見つめると。
「あー、やっぱり今日だ、同窓会」
その時、携帯電話が部屋に着信音を流し始めた。
この着信音は_____美和か。
携帯電話に手を伸ばし、ロックを解除してから通話ボタンを触る。
画面にタイマーが表示され、1秒ずつ数を増やしていった。
「ん……んっ…もしもし」
《篠川君だよね!美和だよ!!!!!》
頭を掻きながら、猫背になってフローリングの床を見つめながら、
「知ってる」
《もぉ、今日は待ちに待った、同窓会なんだよ!ねぇねぇ、一緒に行こうよ》
「あー?……分かった_____」
携帯電話から耳を離して、時計に目をやり、もう一度携帯に耳を付ける。
美和はキャッキャキャッキャ、とはしゃぎながら答えを今か今かと待っている。
目の前の白と黒のチェス盤のようなテーブルに手を伸ばしてペンを取り、メモ帳を睨みながら会話を続ける。
「じゃあ、12時に会場で」
《何言ってるの!それじゃあ、一緒に行く事にならないじゃない》
「そこで合流して一緒に4階まで行けばいいだろ?」
電話の向こうで美和がプンスカプンスカ、怒っているのがわかる。
美和に聴こえないように、短く舌打ちをしてから左手でタブレットの電源を入れ、地図のアイコンを開き、会場と自宅の間の道を確認する。
「じゃあ、バス停で」
《どこのよ》
「えー、分かった分かった!俺の家のちょっと手前のバス停で」
すると、しっかり場所を決めたにも関わらず美和は不満そうに、
《私の家から遠いじゃない》
美和との会話の間に、俺は着替えを終えて朝食を食べ始めていた。
昨日の残り物だけど……。
「うぁー、ひゃあ、ん、ん、ふかえひひくはらぁ」(んー、じゃあ、迎えに行くから)
口の中に食パンが詰め込まれ、喋っても声になっていない。
美和はそれでも、解読して嬉しそうに電話を切った。
篠川はハー、と溜息を吐き、用意しておいた服装で大きく欠伸をしながら家をノロノロと出る。
その後、駐車場で車に乗り込み、鍵を差し込んだ。
(ふわぁぁぁぁ。招待状、ちゃんと参加で送ったよな)
などと心配になりながらも篠川は車で国道を走って数分の美和の自宅前へ車を停車する。いつ見ても御立派な美和の家が目に入り顔を顰める。
停車して車に着いたテレビでバラエティー番組を見ながら時間を潰していると、助手席の窓が叩かれ白いワンピースに黒い上着を羽織った美和がニコニコ、笑いながら立っていた。
助手席のドアを開けると、スルリと美和は乗り込み篠川の服装にイチャモンをつけ始める。
「ええええええ!!」
「いやぁ……普通、だと思うけど」
篠川は黒いジャケットにジーンズの服装。
どこがご不満ですか!?
「私がなんか、浮いちゃうでしょ!」
「ううう???浮かないと思うけど」
まだ、不満そうだ。
めんどくせぇな。




