【詩】「はるのうそ」「ためいき」
「はるのうそ」
ひゅうひゅうと、
はるの風がとおっていく。
さくらを散らせるはるの風。
かぜを引かせるはるの風。
はなびえの風がほんとうで、
さんかんしおんのしおんはにせもの。
はるは、
あたたかいかおをして
みんなをだましている。
だまされそうにない百合だって、
そのうちに咲いてしまって、
くしゃみする。
ぼんやりしている躑躅など、
咲いてふるえてのくりかえし。
それでも
はるは、
とってもきれいな花火のように、
咲いて消えるしゅくめいだから、
どうぞ腹を立てずに
だまされてやって
下さいな。
「ためいき」
むねのなかに
くもがある。
はきだせば、
いろづいたはっぱのよう。
ぽろりぽろりと
こぼれるあかきいろ。
からからと
じめんをころがっていく。