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淡雪  作者: 波音
6/9

ここに…

「川西さんー!はぁはぁ…」


俺を見てお前は驚いた顔をする。したかと思いきや、笑い出した。


「走ってこられたんですか?ふふふ。別にそんな急がなくてもよかったですのに。」


お前が笑う。ただそれだけのことが、俺の心を暖かくした。


「だって!元気なかったじゃん!なんかあったと思うじゃん!んでなに食べんの?」


乱れた息を整えながら言う。


 「んーとー。じゃあラーメン!」


相変わらず好きだなラーメン。ふっとわらけて、俺は頷いた。



「よしじゃあ、ここから一番近いのはあそこだな!よしいくぞー!」


俺のそんな姿を見て、お前が楽しそうに笑う。それだよ俺の好きな笑顔はさっ。そうやっていつも笑ってくれたら嬉しいんだ。もうそばにいると俺歯止めきかなくなりそう。やだな。二人で仕事中の時のごとくふざけあいながら、いつものラーメン屋へと足を運んだ。


「らっしゃい!」


店の店長さんの元気な声が、扉を開けた瞬間に飛び込んできた。二人でクスッと笑うと、とりあえず席に座った。


「俺、これとこれー。」


「えっ被ってるんですけどー。もー。相変わらず好み合いますよね。」


ふいにそういうことを言われてドキッとしてしまった。なにも意識もしてないのだろうがこれは、反則。ずるいよなこいつ。注文を頼むと、本題に入った。


「っで、どうしたよ?急に?」

さっきまでニコニコだった笑顔が急にかげる。


「はいー。それなんですけど…。今日彼とデートだったんですけどね。いやまあ最後別れ際に喧嘩しちゃってー。」


作り笑いをしてたのだろうが、急に泣き崩れた彼女を抱きしめてやりたくて仕方なくなった。そんな思いをぐっとこらえて、頭をポンポンとして、


「ゆっくりでいいからはなしてみ?な?」


と、なだめた。泣きながら話すもんだから、声がガラガラ。また愛らしくなるんだよこれが。これを恋と言わずになんと呼ぶのだろうか………。なあ、そんな可愛い顔で泣くなよ。ギュってしたくなるだろう?俺はお前から視線をそらして、やっと我慢できた。それから、色々ラーメンを食べながら話して、気がつけば12時前。


「うわっ。やっべ。川西さん終電なくなるよ!ちょっとは元気になってくれた?」


「うわっ。本当ですね。また電車までダッシュですね。ふふふ。はい。ありがとうございました!河原さんに聞いてもらえて楽になりました!本当に欲しい答えをいつもくれますね。」


「おう!いつでも聞くぜ!てか走るぜ!おっちゃんご馳走様!また来るね!」


俺らはそう言って走り出した。


「「はぁはぁ。間に合ったー!」」


また二人で声をそろえて言うもんだから電車のなかで大笑い。マジこいつといると俺は笑ってばっかだな。


「また明日な!明日は元気な顔見せてくれよな?気をつけてなって家の前だけど。」


「はいありがとうございます!」


俺が見えなくなるまで手を振るお前にまときめいてしまう自分が嫌になった。俺も帰ろう。タクシーを拾って俺も家に向かった。

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