プロローグ
初めて自分から好きになった恋は失恋だった。
はかなくて、切なくて本当の恋なんて知るんじゃなかった。
深々と降り積もる雪。俺の恋はこの淡雪のように、静かな恋だ。だってお前には大事な彼がいて、俺には大事な彼女がいるのだから…。
そしてお前はきっと俺のこの気持ちをずっと知らないでいるのだろうな。
「おはようございます!河原さん。」
お前は何時ものごとく、また元気に来やがって。俺のペースはいつも乱される。本当は俺はこんな喋りじゃないはずだし、こんな笑わないはずなのに気がつけばお前のペースに巻き込まれる。仕事はいつも怒られてばかりのくせに。生意気なくせに…。
「おう!おはよう!」
挨拶を返すとお前は、笑顔になって他の人に挨拶に行った。今日も騒がしい一日になりそうだな。
お前はよく喋る。最初はめちゃくちゃうるさい奴だなとおもってたけど、それがなかったら何だか寂しくなるようになってしまった。俺がちょけてお前をいじると、すげいい反応しやがるんだ。本当にそんな時可愛いなと思う。でも、店長やみんなに可愛がられる、なんだか笑顔がすごくいい奴なんだ。んでもって危なかっしい。俺らの職場は調理師だから厨房なんだけど、良く包丁で指を切るし、物にぶつかるし、気をつけろって言っても素直じゃないのか言うことを聞いてくれない。
「河原さん!これってどうするんですか?」
でた。お前の質問癖。
「これ前にも言わなかったっけ?もー本当に川西さんメモしろっていってるでしょ?」
「はい!でも…」
でたよ言い訳癖。すみませんの前に絶対何か言いやがる。もー本当に困ったやつだ。でも、新入社員のわりにできないなりによく頑張るんだ。あほでドジでいうこときいてくれねーけどな。
「でもー?でもなんですかー?!」
「いや、あのーすみません。ありがとうございます。」
説教しながら、気がつけばおしえ終わってる。
川西由奈
今年入ってきた新入生で、明るくてうるさくて言うこと聞かない子。でも気がつけば俺はまたちょっかいかけてしまう。でも川西さんは気がつかない。もともと俺は無意識に教える時にボデータッチが多いから。なにをしてもふざけと、取ってくれる。だからまたふざけてしまう。でもお前はいい笑顔で笑うんだ。ほら、そーやってみたらしんどいはずの仕事も気がつけば終わっている。
「お疲れ様です!明日は河原さん休みですね。何するんですかー?」
たぶん特に深く考えていないその質問におれはなんとなく苦い気分なった。
「明日は彼女と遊ぶ。まあ俺気分屋だからおきれたらなーっていってんだけどな。あはは。」
「河原さんらしいですね!」
まだ入ってこいつが半年くらいなのにいつこいつのことが気になりだしたかも覚えていなかった。気がつけば触れたくなってしまう。でも、俺にはお前には大事な人がいる。
んで帰りの電車が途中まで一緒。でもお前は店長とすごく仲がいい。お前彼氏いるんじゃねえの?って突っ込みたくなるくらい。でも、一度だけ見た、彼氏が迎えに来た時のあの笑顔は確かに他の人には見せないいい笑顔だったなー。
「お疲れ様でーす。河原さん明日はごゆっくりー!」
「おう!まあ、サンキュウ!」
そううして、お前は乗り換えて帰っていく。なんなんだよこの気持ち。俺は、自分から恋はしない。相手が好きって言ってくれて付き合って好きになるタイプ。だから、自分からは恋はしない。そー思ってたのにな…。真っ暗な暗闇と俺の心を重ねて、空を見上げた。
「あぁ。なんだかすっきりしないなー。」
そう静かにつぶやきながら…。




