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ウッドゴーレムに転生しました。世界樹と直結して、荒れ地を緑あふれる大地に変えていきます  作者: 椎名 富比路
第五章 新たな仲間、姫騎士

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第53話 スライム村長

 体中にツタを巡らせた女性が、目の前に立つ。青紫色の髪をした、豊満な女性だ。背丈が、誰よりも高い。

 町娘風の服まで、自分で木の皮を加工して手作りした。


「コーキ様、このたびは契約を結んでくださって、ありがとうございます。ワタクシは、【ドリアード】のピオナです」


 声まで、大人びている。どうもこのスライムは、女の子だったらしい。


「正確にはワタクシ、ドリアード・スライムなんですけどね」

 

 ピオナが、オホホと上品に笑った。

 ドリアードとは、木に宿っている精霊のことだ。世界樹とスライムが合わさって、人の形を取っているという。


「キミはホントに、ピオナなんだよね?」


「はい、コーキ様。証拠はここに」


 たしかに、少女の頭にはピオーネをかたどった髪飾りが。この少女がピオナなのは、間違いないだろう。


「この髪飾りが、わたしとコーキさまとの契約の証となります」

 

「他の魔物やシャーマンたちには、ボクとピオナとの関係がわかるようになっているんだね?」


「はい。相思相愛だと」

 

 お、おう。


「ちょっとコーキ、これはどういうことなのかな?」


 パロンが、ボクに詰め寄ってきた。


「いきなりドリアードの恋人ができるなんて、お母さんとしてはちょっと見逃せないねぇ」


 腕を組みながら、パロンが謎のオカン要素を出してくる。


「ご心配なく、清い交際をお約束いたしますわ」


 オホホと、ピオナが良妻ぶりを主張した。


「コーキさま、パロンさま、クコさま。その節は助けてくださって、ありがとうございます。大したことはできませんが、主人コーキ様に成り代わり、ワタクシがここの村長を担当いたします」


 ボクたちが旅をしている間、村長として活動をくれるそうだ。


「村長として働いてくれるなら、交際を認めてもいいかなぁ」


 オカン、あっさりと陥落。


「でもさ、キミはワタシたちの旅に同行できないんだよね? 寂しくない?」


「ご心配なく、みなさま。コーキ様には、こちらのアイアンゴーレムを」


 ピオナが唐突に、ボクの手を取った。反対の手から、水を発する。そばにあった鉄クズに、溢れてくる水をかけた。


 この鉄は、機械に改造しなかった余り物だ。クズ鉄なので、溶かして別のものに作り変えようと思っていた品である。


 クズ鉄が、青白いアイアンゴーレムへと変わった。


「これは?」


「ワタクシとコーキさまとの、愛の結晶ですわ」


 ピオナはオホホと笑っているが、ボクたちは笑えない。


 丸っこいアイアンゴーレムが、ボクの肩に乗ってきた。鉄でできているが、全然重くない。すごく薄い鉄で、作ってあるようだ。

 

「あらあら、ワタクシに似て、甘えん坊さんですこと」


 カラカラと、ドリアードのピオナは口に手を当てて笑う。


「ちょちょちょ、コーキ! いつの間にこんなキレイなお嬢さんと、男女関係を持ったの!?」


 なんか、パロンが食い気味で怖い。


「フム。実にけしからんっ」


 クコまで。


「やっぱりコーキさまは、オトナの女性がお好みなんですね……」


 なぜか、チェスナが遠い目をしている。


「胸のサイズも負けてるよ」


 自分の胸をペタペタと触りながら、アザレアもシュンとしていた。


「そもそもキミって、ワタシが作ったゴーレムだろ? 元人間とはいえ、生殖機能なんてあったのかい? その辺詳しく聞かせてもらえないだろうか? 錬金術師として、実に興味深いんだけど!」


 目を血走らせながら、パロンがボクに詰め寄った。これは、母親として聞いている感じではない。研究者として、知的好奇心がくすぐられちゃったヤツだ。


「いや、ないから。ピオナが勝手に言っているだけだよ。このゴーレムは、ボクの子どもじゃない」


「でも、ドリア―ドはキミと属性が似ているじゃないか。交配できても、おかしくはないんだよっ!」


 やたら興奮気味に、パロンがボクの肩を揺さぶった。ゴーレムが怖がっているから、やめてほしいんだけど?


「まあ、それもワタクシのようなものです。みなさまがお留守の間、そのゴーレムがわたしの代わりをしますわ」

 

「分身みたいなもの?」

 

「はい。ワタクシの戦闘能力を、その子に反映させた感じですかね?」


 ピオナが、種明かしをした。遠方から、ナビゲートやアドバイスなどをくれるという。


「そうなんだ」

 

「原理としては、ワタクシと構造は同じです。わたしはあなたに知恵をいただきました。この子も、それを引き継いでおりますよ」

 

「キミは大丈夫?」


 村人が来てくれるとはいえ、女の人が一人で村のお留守番なんて。かなり危険だと思うが。トーテム、増やさないと。


「わたしのゴーレムは、あちらです。世界樹の近くに」


 ドシンドシンと、世界樹のそばに四本脚の戦車が鎮座していた。あんなガーディアンなら、心配ないね。


「もう一体ございますので」


 ピオナが、別のゴーレム戦車を召喚した。四本脚のゴーレムに飛び乗って、鉄の肌を撫でてあげる。


 どちらも、遺跡にあった四脚戦車ゴーレムである。


「ありがとう。助かるよ」


「礼には及びません。我が元主であるトレントも、感謝していると」


「そうなの?」


 ボクって、そんなに貢献したのか。

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