其の四十 乙女達の祈り
しま子とかつ子は一足早く避難し、銀座街から離れた志葉公園で群衆に紛れて街頭ラジオを聞いていた。
「かっ、かつ子ぉーっ! ちーちゃん、ど、どうなっちゃうの! 生きて帰れるよね? ね?」
「しっ! 静かに! 今、ラジオでまた新しい情報を言うから!」
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現在、過激派が籠城拠点としている銀座街水引屋にて、激しい戦闘が繰り広げられております。
警察の情報によりますと、進駐軍による過激派討伐隊は壊滅。これにより、過激派集団 黒曜団に対し、警官隊による放水作戦の後、閃光弾投入により強行突撃を決行するとの情報です。
なお、この作戦の数分前、黒曜団とは異なる三名が水引屋内へ入り、警官隊とは別に内部で戦闘を行っているとの情報も入っております。
入り込んだのは、男性三名とのこと。
六階に籠城する首謀者の板内黒祐太の動向はその後、不明です。
人質とされている神宮司千草氏の安否も、その後、情報が入ってきておりません。随時、警察より情報が入り次第、放送いたします。随時、警察より情報が・・・・・・
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「ひええええ! ち、ちーちゃんの安否不明って・・・・・・。大丈夫! 大丈夫だよね! きっと!」
「チーが・・・・・・死ぬもんですか! 必ず、また、笑顔であそこから出てくるに決まってる!」
「そ、そうだよね! あんな過激派なんかより、ちーちゃん、気持ちは強いはずだもんね!」
「しま子! あたいらは、とにかく、祈ろう! とにかくもう、祈るしかない!」
「う、うん! い、祈ろう!」
小さなラジオの周りに集まった、数百人の群衆。
二人はその中で、手をぎゅっと握ってひたすら祈り続けている。
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今、警官隊が閃光弾を使用しました! ものすごい光です! 白色爛々の閃光が、水引屋の一階から五階まで覆い尽くしています! 眩い光が、爛々と輝いております!
あっ! なんということでしょう! 屋上から放たれた銃弾で、突入前の警官数名が被弾した模様です! 繰り返します! 屋上から放たれた銃弾で、突入前・・・・・・
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ラジオからはその後も、現場の状況を伝えるアナウンサーの声が流れ続けた。




