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ルーナの数奇な人生

ルーナ


不穏な空気を感じたのでこの手紙と私の全てを貴方に残す事にしました。


私達の出会いは最悪だったわね?

でも貴方と過ごした日々は私の人生で間違いなく最高でした。


おばあちゃんと呼ばれる日が来るなんて思いもしなかったわ。


私が死んだら悲しんでくれそうなのは貴方だけかも知れません。

お聞き及びでしょうが自由奔放で恋に生きた私を軽蔑するかしら?


多くは語りません。

おしゃべりな誰かが語るでしょうからね。


貴方とシリウスが結ばれるのを祈っています。

誰よりも大人に振り回された貴方は誰よりも幸せになる権利があるわ。

その最たるものを残します。


愛してるわ、ルーナ


シリウスにも愛を



分厚い封書だと思ったのにあっさりした手紙だった。

おばあちゃんらしいなと思う。


おばあちゃんの最後の恋人は多分王弟殿下だったのだ。

だから殿下は再婚しなかった。

いつからか知らないけれど一途に想っていたんだと思う。

親子よりもっと歳の離れた2人は快楽に溺れるしか無かったのかも知れない。


「・・・ルーナ、ルーナ!聞いてるのか?」


感慨に耽っていて聞いていなかった。


「お前すげえ財産貰えたぞ。ケンブリッジ財閥だってさ。」


何かよくわからない。


「ルイーズは元々ケンブリッジ財閥の1人娘だったんだよ。

その財産を全て譲り受けてマーカス侯爵に嫁いだんだ。ルイーズが死んだ後は全てお前名義になるらしい。もうなってるのかも知れん。」


難しくてよくわからないのでシリウスに説明をしてもらう。


「つまり大金持ちなのね。」

「簡単に言うとな。」

「どうしよう?」

「もう完全にお前名義になってるしなあ。」

「王家よりお金持ちになっちゃったね。」




ルーナはルイーズからあり得ない程の財産を引き継いだ。

数々の事業の取引先は大国の茶飲み友達のお爺ちゃん達だった。

お爺ちゃん達はみんな知っていたのだ。

ルイーズから宜しくと頼まれていた。


捨てられて聖獣に保護されて世界から魔法を消し去りルーナは妃になった。

あと数年もすればシリウスが国王になる。


「世界中の人達に役に立つ事をしよう。おばあちゃんのお金を役立てなくちゃ。」


シリウスと長い間話し合った結果、王太子妃として生きる事にしたのだ。

何をやるにしても皇族の名は何よりも名刺がわりになる。



「何書いてるんだ?」


「私の歴史だよ。料理長の娘になって、バークレー家の娘になって、カーティス殿下の側妃候補にされて、モンクスフードで家族に会えて、妊娠して、王太子妃になった、今ここね。まだまだ何かあるのかな。」


「だいぶ端折ってあるけどお前は本当に数奇な運命を辿ったな。俺のせいだけれども。」


「でも見てよ。ずっとシリウスがいるの。凄いよね。」




ルーナとシリウスは産まれるまでモンクスフードに滞在していた。

なにしろ金はたんまりある。

海辺の家を買いたかったのにお父さんが猛反対したので家の近くの空き家を建て直したのだ。

窓から見える程近いのでルーナが国を出た後はお兄ちゃん夫婦に譲るつもりだ。


2人きりの生活は楽しかった。

妊娠中なのでシリウスもおとなしくしているかと思いきや欲情してきたので無理だと断った。


「大丈夫だ。安全なやり方を聞いたんだ。」


どうやらお爺ちゃん達から教わったらしい。全く余計な爺さん達め。


けれど2人きりの生活はこれで最初で最後になるだろう。

産まれたら乳母を付けて世界中を飛び回らねばならない。

その時はモンクスフードの教えを伝えようと思う。


全ての物に感謝を忘れるな





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