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母の決意

式が終わるとお父さんとお母さんが囲まれていた。

元々この国に住んでいたから顔見知りも多いのだ。

リオもアクアも魔法学校では有名だったし学生の身で騎士団にも所属していた。

お祝いの言葉を貰い嬉しそうだ。


リオは奥さんと子供を連れていたので女の子から悲鳴があがる。

ここでも人気者だったのだ。



「お姉ちゃん綺麗だったね。」

「ああ、カーティス様も凛々しくなったな。」

「やっぱりそう思う?へらへらしてたのにね。」

「へらへらは言い過ぎだ。」


シリウスとルーナはそっと祝いの輪から離れた。

2人が何処へ向かうかと言うと裏庭だ。

噴水も花壇もない木の繁った手入れの行き届かない場所が好きなのだ。


「落ち着くな。」

「うん。ドレス脱ぎたい。」

「駄目だ。その気になるからやめてくれ。」


シリウスは背後からルーナをそっと抱きしめた。

首筋にキスをするとお腹に手を回す。

ルーナが見上げてキスをねだろうとした時にシリウスが言った。


「今回は出来てただろ?」

「・・・狙ったの?」

「いや、何となく。そうだったら嬉しいなと思って。」

「まだ誰にもバレてないんだよ。いつ言おうか考えてたの。」


シリウスは嬉しそうに笑ってルーナに軽くキスをした。


「結婚式早くしないと産まれてしまうな。」

「じゃあ来月くらいにサクッとしようよ。」

「そうだな。どっちの国でするか考えないとな。」

「え?」

「ん?」


2人の意見が対立してしまう。


「王太子ならそっちでやらないと大問題でしょう?」

「俺は神の国モンクスフードの神前式がいいんだよ。」


暫く話し合っていると両親が探しにやって来た。


「何をそんな大きな声で、せっかく素敵なドレスを着ているのにみっともないわよ。」

「お腹が空いたろう?披露宴が始まるぞ。」



披露宴はガーデンパーティーだ。自由な感じがお姉ちゃんらしい。よくお許しが出たなと思った。きっとカーティスが親類の説得に回ったに違いない。


ルーナは悪阻が無いのでよく食べる。

以前よりも食欲が増しているのは懐妊しているからだろう。

そろそろ座りたいが椅子はお爺ちゃん軍団が座っている為空いていない。

お爺ちゃん達は遠慮して帰りなさいよと思うが勿論そんな事は言えない。

彼らはカーティスのスポンサーなのだ。

陛下亡き今後ろ盾になり盛り立ててくれる。


「ルーナ、お前さんの恋人を紹介しておくれ。」


ちょいちょいと手招きをされる。

酔ったお爺ちゃん達は下世話な事を言うから近寄りたくないのだが。


「お前さんに良い人がいない訳ないと思っていたがまさかなあ。」

「王太子殿下とは。」

「そりゃお前の孫に靡かないはずだ。見てみろ、この聡明そうな顔を。」


ルーナはシリウスが褒められて嬉しくなる。


「ふふん。そりゃルイーズの孫ですもの。顔よし頭よし家柄よしの三拍子よ!」


「お前さんは義理の孫だもんなあ、似ているけれど血の繋がりはない。」


「ルイーズの形見は貰えたか?儂等も欲しかったなあ。」




上手いこと言うなあとルーナは思った。

形見の孫はお腹に宿っている。

今でもぎりぎりだからすぐに目立つようになるだろう。


シリウスが両親に頭を下げている。

王子様なのだから簡単に頭を下げたりしないで欲しい。


「ルーナをお妃様に望むのかい?」

「いえ、皇族から抜けてモンクスフードで暮らしたいと思っています。」


待て待て待て。

ルーナはシリウスの腕を掴む。


「待ってよ、私お妃様になるよ。今すぐは無理かも知れないけど。お父さんとお母さんからお許しが出るまで待ってよ。」


「待ってたら父無し子になってしまうじゃないか。」


「え?」


「あ」


「は?」


「・・・」


しまった、こんな風に話すつもりじゃ無かったのに。

お姉ちゃん達まで来てしまった。


「すみません。」

「シリウスは悪くないよ、私が話さなかったのがいけないの。お父さん、お母さん、孫が産まれるよ。」

「ちょ、もっと他に言い方あるだろ?ええっと、あと3か月もしないうちに産まれます。」


沈黙が怖いと思っていたらお母さんが爆発した。


「2人ともちょっとそこに座りなさい。」


目が怖い。シリウスでさえびびっている。


「シリウス様、貴方は皇族です。手順を踏んで子を持つようにと教育を受けていますね。それからルーナ、貴方も貴族の娘として教育を受けていたはずです。その立ち振る舞いは飾りですか。」


ルーナもシリウスも黙っている。


「・・・婚約破棄をなさった夜会の日ですか。」


「いや、もっと前からだ。その時は出来なかった。」

「そこまで言わなくていいよ!」


「最初からルーナを娶るおつもりでしたか。」


「そうだ、弟が世継ぎに決まり次第皇族から離れるつもりだったのだ。」


「そうですか。ルーナは何も言いませんでしたがシリウス様だけを想っていたのは知っています。貴方が平民になりどうやって2人を養って行くのか返事次第でルーナを差し上げましょう。」


正論だ。皇族じゃなくなったシリウスに出来る仕事などない。


「お母さん、私がモンクスフードから出ても許してくれる?」


「貴方が望むなら。私が今まで縛り付けていたの。側に居るだけが家族じゃないのにね。ごめんねルーナ。」


お母さんはルーナをぎゅっと抱きしめた。


「お母さん、一番最初に孫をプレゼントするよ。それが私の親孝行なの。」


プレゼントとか言うなとお兄ちゃんに小突かれた。

お姉ちゃんは何となく気付いていたみたいで安心した顔をしている。

お姉ちゃん避妊しなくて良くなったねと言うと口を塞がれた。

小声で言ったから大丈夫なのに。シリウスには聞こえたようで笑いを堪えている。

カーティス様がお腹に出す話をしたら爆笑していたから。

カーティス殿下はシリウスの肩に手を回して順番は守れよと文句を言っている。先を越されたのが悔しいのかも知れない。



カーティス殿下の命令でルーナは椅子に座らされて妊婦に良いと言われる食事を並べてもらっている。


披露宴に来ているご婦人方が口々に言うからだ。

あれが良い、これは良かったと。

その度にカーティス殿下は料理人を呼び作らせたのだ。


皆んな和やかに食事をしてお酒を飲んでいるがルーナは知っている。

この後シリウスと重大な話し合いが待っている事を。


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