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兄の幸せ姉の幸せ、それからお母さん

お姉ちゃんはカーティス様との事を両親に言い出せないでいた。

お母さんが帰るなりアクアとルーナを抱きしめて帰って来てくれてありがとうと言ったからだ。

お姉ちゃんは困っていた筈だが表情に表さず上手に笑顔で隠した。


ルーナの知らない人達の近況をお姉ちゃんが話すと嬉しそうに、懐かしそうに聞いている。

お父さんはじっとアクアを見つめているが何か思う事があるのかも知れない。

それがお姉ちゃんにとって良い事だと嬉しいけれど。


助け舟を出したいけれどタイミングがわからない。

お母さんはアクアをとても頼りにしている。

ルーナははっきり言えばいいのにと思う。

と同時に自分は冷たいのだなと思ったりした。

一緒にいる時間が短いせいなのか元々冷たい性格なのか解らない。


いっそ懐妊してしまえばいいのにまだ避妊しているのだろうか?

毎回せっせとお腹の上に放たれたものを拭いているのかも知れない。

そもそもカーティス様とどんな決め事をしたのか聞いてみようとしたがルーナは言い出せないでいた。

お姉ちゃんの笑顔が作り笑いになっている気がしたから。



帰って来てからひと月が過ぎた頃お姉ちゃんのひきつり笑いは泣き笑いに変わった。

カーティス様がやって来たのだ。

「お嬢さんを僕にください」を生で見ることが出来てルーナまで興奮してしまう。

両親に頭を下げるカーティス様はカッコいい。


お父さんはとても嬉しそうだ。

お母さんはちょっとだけ複雑そうに見える。

本音を隠して笑うよりずっとマシだと思う。


「カーティス様、お姉ちゃん、おめでとう。こっちは任せて。お母さんの側には私がいるから。」


お母さんはルーナの手をぎゅっと握った。


カーティス様が何か言いたげだがグッと堪えたようだ。

言いたい事はわかる。

シリウスとはどうするんだと言いたいんだろう。

悪いけど大きなお世話だ。変な男を当てがおうとした癖に。ふん。


その場を離れるとちょうど兄のリオが帰って来た。

カーティスが来ている事を話すとやっと決まったかと胸を撫で下ろしている。

ふと気づいたがお兄ちゃんは結婚しないのだろうか。


「今度は俺の心配してるだろ?来いよ、会わせてやるから。」


帰って来たばかりでその前に馬車に乗せられて向かった先に居たのはルーナの知らない女性と小さな子供だった。

まさかまさか。


「紹介するよ、彼女はアリア。この子はアリアの子供でアスラン。未亡人なんだ。」


聞いた事がある。お兄ちゃんの友人で何年か前に亡くなった人がいた。名前はわからないけれどずっと入院していた記憶がある。

それが何故お兄ちゃんと。


「偶にアスランに会いに来ていたんだ。お菓子やおもちゃを持って。今はまだ説得中だ。中々うんと言ってくれないからな。」


「初めましてではないの。貴方の事は何度も見かけているから。近くで見ると本当に可愛いわね。透き通るようだわ。」


よく言われるけれどルーナの中身は真っ黒だと自分では思っている。


「アリアさんこそ子持ちには見えないです。その若見えを化粧品販売に活かしませんか?」


あまりに綺麗な肌をみてつい勧誘してしまった。

断られると思いきや食い気味になるとは思わずルーナが焦ってしまう。


「私でも出来ますか?生活の為に働きたいのです。子供が居ても大丈夫でしょうか?」


「仕事を引き受けてくださると有り難いです。勤務時間は話し合いましょう。でもその前に兄とお話があるのではありませんか?アスランを結婚出来ない理由にしないで欲しいです。大きくなった時に心が痛むかも知れないから。」


ルーナは歩いて帰ると言って2人を残して来た。

化粧品に力を入れ始めたので彼女には力になって貰いたい。

素顔であの可愛さとは!

ルーナは宝物を手に入れた気分だった。

お兄ちゃんと上手く行かなくても付き合いは続くだろう。




マーカス家には寒い冬に春がいっぺんにやって来た。


お姉ちゃんは春になったら結婚式を挙げる。

カーティス殿下の唯一の妃の座に収まりいずれは王妃様になるのだ!大出世だ!万歳!

ふわふわしていた印象のカーティス様は立派な王太子殿下に成長したように感じる。

陛下の影に隠れていた才能が開花したのだろう。


アクアを超えれなかった魔法が無くなってせいせいしたとお礼を言われた。

本当に妹になったなと頬を引っ張られた。


その翌日にお兄ちゃんがアリアとアスランを連れて来た。

お兄ちゃんの友人は両親も知っていたらしく最初はしんみりしていたがアスランがお母さんの膝に乗った為に何かが一変したように思う。

お兄ちゃんは式を挙げずに3人で暮らす事にしたと言ったがお父さんがこの家で皆んなで住む事を提案したのだ。


(小姑のいる家に新婚で住みたがる奴なんていないってば。)


ルーナの思いとは裏腹に幼い頃に両親を亡くし親類の家で慎ましく育ったアリアは泣きながら嬉しいと言って両親の心を鷲掴みにしたのだ。


お姉ちゃんは居なくなるから2階を全部譲ってルーナは階下の小さな部屋に移ればいい。

アスランはお母さんが面倒を見ればいい。今は働いていないし暇だろうから。

アリアは働いて貰おうじゃないか。店先にこんな美肌美人がいれば飛ぶように売れるに違いない。

商人気質を開花させたルーナはほくそ笑む。


何よりアクアの居ない寂しさをアスランが埋めてくれるだろう。利用するみたいで申し訳ないが生活に困る事はないから許して欲しい。願わくば早いところ2人目を作って欲しい。

お兄ちゃんの結婚でロスになる女の子が溢れるに違いない。

恋人がいた事も知らない人は多いはず。

誰にでも優しいお兄ちゃんは相手を勘違いさせる天才だったからだ。


これで暫くはルーナの事に触れてこないだろう。

結婚してもしなくてもあんまり会えなくても大丈夫。

シリウスはルーナのものでルーナはシリウスのものだから。

それは一生続くのだと変な自信と確信がある。

だからルーナはやれる事をやるだけだ。


ルイーズからの手紙はまだ読んでいない。

寂しくないし困ってもいない。

心が引きちぎれそうな時に読もうと思う。

それより幸せの絶頂で開封しようかなとも思う。


同級生達はちらほらと結婚の話が出始めているようだ。

ルーナに求婚者は現れない。

あのお祭りの日にシリウスにがっちり抱きしめられたルーナは伝説になっている。

いつかお姫様になるのか悲恋に終わるのか皆んな気にしてるんだと感じる。



ルーナはアクアと買い物に来ている。

アスランの服やおもちゃを買いに来たのだ。


「そんなに買ってもすぐ着れなくなっちゃうよ。パンツとか靴下のが良くない?消耗品はなんぼあってもいいしね。」

「ルーナたまに変な方言使うよね?あんたお爺ちゃん達とばっかり茶会してたから。」

「カーティス様が仕込んだんでしょう?でもおかげで薬が飛ぶように売れるんだ。お爺ちゃん達すっごい薬飲むから。」

「お年寄りの去った後のゴミ箱は薬の包み紙で一杯なのよね。」


ルーナは包み紙ひとつひとつに朝、昼、晩と書いてセットにした物を大量に卸している。

仲介役の兄の会社を通さずに売っているのでお爺ちゃん達は安く手に入るしルーナは丸儲けが出来てwin-winだ。



お姉ちゃんは春を待たずに大国へ行く。

兄達に気を遣ったと言いつつ早くカーティス様に会いたいんだと思う。


「結婚式にはちゃんと全員で来てね。衣装はカーティスが用意してくれるから。アリアもよ、アスランも必ずね。」


ルーナにはシリウスと来てねとは言いづらそうだ。2人の今の関係は話してないからだ。


結婚式にはシリウスと2人で参列して驚かせたいなと思った。

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