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母国ソレール

モンクスフードには建国物語がある。

この国で知らない者はいない。

幼い頃から家族と教会に行き建国の元となった教えを聞かされるからだ。


「祈りの意味のある歌をみんなで歌うの。歌は何曲かあってピアノの上手な人が伴奏するんだけど私は移民だから歌詞も知らない。だから歌詞カードを貰ったの。それがこれね。」


ルーナが数枚の紙を広げる。

シリウスは手に取りパラパラとめくった。


「これだけ言葉が違うな。」


「そうなの。でもみんな歌えるの。何語かも分からないのに。」


言葉がわからずともみんなは歌えるのだ。

何の疑いも疑問もなく。


「シリウス読めるんじゃない?」


「・・・ルーナも読めるんだろ?」



聞き耳を立てていたルーナの家族も驚いて部屋に入ってきた。


「どんな意味なんだ?」


シリウスとルーナは顔を見合わせる。


「伝説の木は枯れない、宿主が返り咲くって言う意味よ。」


「聖なる者がこの地を永遠に導くだろう。」


シリウスも理解している様だ。


「これ建国物語に出てくる伝説の木よね、聖獣は此処に帰ったんじゃないかな。だからこの国に来てから居なくなったんじゃない?」


両親も姉も聖獣の事は聞かされていなかったようで何の事かわからない。

ルーナを拾ったのが聖獣だと話すととても驚いていた。

聖獣は聖なる者に付くと聞く。


「シリウスにも見えて会話もしていたんでしょう?」


「ルーナが魔法を消して国を去ってからはずっといた。昼間は俺も忙しくしていたから現れなかったが夜は俺の部屋にいた。」


「シリウスも聖女の末裔だと思うの。でなきゃ聖獣と話したりなんて出来ないよね。」


シリウスの出自を知っている兄が反論する。

シリウスはアイザック様の子だと。


「エリザ・バーナード、ルイーズが書き残したノートに書かれていた母の名だ。俺を産んだ後すぐに実家に帰っている。その後は嫁いでいると聞いた。」


「ルイーズがそんなノートを置いていくと思う?エリザ様は実在するの?ちゃんと調べた?」


「ルイーズを疑うのか?」


「悪い意味じゃなく疑っている。ルイーズが聖女なんじゃないかって。ルイーズが残した4通の手紙に書いてあったのは何かの呪文なんだけど私が書き換えて無効にしたの。だからルイーズは目的を達成出来なかった。


魔法大国には聖女物語が存在する。

このモンクスフードには建国物語。

ルーナとシリウスが産まれた国ソレールには非公式に復興物語なるものが存在していた。

その本を持っていたのはルイーズだった。

この文字をルイーズが読めるのかどうかは分からない。

だがルーナは読むことが出来た。

本自体は建国物語とそう変わらない。ただ聖女が産まれたと言うくだりはやけに信憑性があった。その後魔獣により滅ぼされたがある男の魔法により再興を遂げている。


「ルイーズの旦那様の名前がソレール。これは単なる偶然だと思う?国の名前を付けるなんて。」


ルーナの話す内容は何とも突飛に感じてしまう。両親も兄も姉もシリウスでさえ首を傾げている。



そこへ狙った様にルイーズが帰って来た。

満を持して登場したルイーズは満面の笑みを浮かべていた。

シリウスから見たルイーズは空色の髪のニコルよりも若く見えた。


「シリウス様、ご立派になられましたね。お元気そうで何よりです。聖獣を連れて来てくださり感謝いたします。まさかルーナではなく貴方が連れて来るとは思いもしませんでしたよ。」


ぽかんと口を開けるルーナの頬を軽くつつきながらルイーズは隣に腰掛けた。




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