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シリウスの外交

《婚約なんぞしおってからに》

《おっぱいがでかいだけの阿呆だぞ》

《何故またアレを選んだのだ》


「うるさいなぁ、何で聖獣様が俺に引っ付いているんだ?ルーナんとこ行けよ。心配じゃないのか?」


《む、何故そんな自然にルーナと呼べるのだ》

《我等は今だにジョイと呼んでしまうのに》 


「ルーナのがピッタリだろ、月の名にあの髪だ。そもそも何故ジョイと名付けた?捨て子に喜びの名を付けるなよ。」


《我等にとっての喜びだったのだ》 

《妖精の祝福を受けた娘だぞ》


ならば何故捨てられたと聞きたいがシリウスの所為だ。シリウスさえ我儘を言わなければルーナは家族の元ですくすく成長をした筈だ。

優しいステラの元で育てばーー


「疑い深くていつ死んでも良い様な目をして、冷めた人間には育たなかったよな。俺のせいだ。」


「ルーナは今幸せだろうか。ルイーズに酷い事をされていないだろうか。」


シリウスはいつも心配顔をしている。


「見て来てくれよ。行けるんだろう?それとも居場所も既に知ってるのか?」


《我等はお前から離れられん、お前を護ることがルーナの願いだからな》

《お前の幸せがルーナの幸せなのだ》


「ルーナの幸せが俺の幸せだよ。今どこにいるんだよ。」



国は変わりつつある。

ニコラスは国民の為の国の再生に全力を尽くしている。

美しい空色の髪のお妃様は国民だけでなく各国の要人をも魅了した。

見た目だけではなく語学堪能なニコルは仕事も出来るのだ。



「シリウス、婚約者なんて決めて後悔しても知らないわよ。」

「ニコル様のおすすめではないですか。」

「母上と呼びなさい。私はおすすめなんてしてないわ。」

「じゃあ解消して下さい。」

「貴方が上の空で聞いているからいけないのよ。」


上の空で決まってしまった婚約者に興味が持てない。

ドレスをねだられた時は送金しニコルに叱られた。

花は毎週日曜日の朝に花屋が届けているはずだが毎回同じ花で文句を言われた。


夜会の時にじっくり見てみたが然程美しくはなく普通の娘だった。

聖獣が言うほど胸が大きい訳でもなくむしろぽちゃっとしている気がした。


(ニコル様と並ぶと霧ぐらい霞む。)



シリウスは婚約者と付かず離れずの距離を保ちつつ王太子として公務に積極的に参加した。


外交の際は婚約者をエスコートしたが距離は縮まらない。

シリウスが歩み寄らないからだ。


「シリウス様、聞きまして?私達でモンクスフードに行けと勅命ですわ。向こうの外交官もお若いらしくーー

「モンクスフード?」

「ええ、ですからお薬の取引についてーー、シリウス様、聞いていますの?」


モンクスフード


シリウスは懐かしいこの名に思いを馳せる。

ルーナといつか行きたいと話していた自由の国。

何故忘れていたのだろう。


(我が国との取り引きはないからか)


「侵略もされない、侵略もしない、戦争に一切関わる事はしない。」

「そうですわね、王家のない国、国は其々の土地の代表が管理しているそうですわ。貴族も居ないそうです。」

「呼ばれたのか?」

「いいえ、我が国から打診致しました。正確には王妃様が。」

「母上が?何故だ?」

「薬の取り引きですわ。」

「すまん、ヴィオラ嬢。失礼する。」



シリウスはニコルの元に走る。

きっと走って来る事もわかっているだろう。

息子になってから4年も過ぎたのだ。



「早かったわね、またヴィオラを放って来たの?こんな男とよく4年も婚約を結んで居られるわね。私だったら嫌だわ。」


「ならば解消させて下さい。ヴィオラ嬢なら他にも候補がいるでしょう。」


「侯爵家の娘だから何かと都合が良いのよ。あちらにとってもね。話は何処まで聞いたのかしら?」


「モンクスフードと薬の取り引きをすると。」


「こちらからお願いする形になるけれど。国が平穏になったのは良いけれど病人が増えたわ。肥満が増えたと思わない?」


「そうですね、高位貴族は特に。豊かな証拠です。喜ばしいのではないのですか?」


「病人が増えたのよ。嬉しい訳ないじゃないの。」


溜息を吐きながら話すニコルは大きなお腹を摩っている。

身体的にはギリギリの年齢だが相変わらず美しさは保たれている。シリウスと同い年の婚約者にも見習って欲しいと思う。


「薬ですか。有名ですよね、昔から。」


「ヴィオラと行ってくれない?取り引きを成功させたら何でも言う事聞いてあげるわ。欲しいものでも良いわよ。この身体では行けないし陛下も是非貴方達にって。」


この時はモンクスフードに行ける嬉しさだけが勝っていてニコルの話をあまり聞いて居なかった。


国王も居ない貴族も居ない国。

それでも平和が保たれている。



「何で着いてくるんだよ。国から出れるのか?」

《我等は聖なる者だ、行きたいところに行ける》

《お前の身を護る指名があるのでな》


本当は国を出れる事に驚いた聖獣だったがシリウスには黙っていた。


《あの娘は運動せぬのか》

《ぶよぶよではないか》

「だよなあ、前よりパワーアップしたよなあ。胸のデカさを強調してるけどアレ脂肪だよなあ。」


《化粧で誤魔化しているがブツブツではないか》

《親戚のおばさんと言っても過言ではない》

「だよなあ、老けたよな。あのドレスが成金夫人ぽいよなあ。」


モンクスフードへ着くまでに何度か大きな港に寄った。

他国の要人らしき団体が増えていく。

見知った顔も何人かいてヴィオラは必要以上に愛想を振りまいていた。

それを他人事の様に眺めているうちに港が見えて来た。




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