拝啓シリウス様
シリウス様
元気でお過ごしですか?
勉強は捗っていますか?
私は元気です。
彼等のせいで、違いますね、彼等のおかげで魔法学校に通えています。
制服が可愛いので見てもらいたいです。
魔法をこの目で見た時は驚きました!
あの方達が一斉に攻撃すれば魔獣などイチコロなのがよく解りましたよ!
シリウス様にも見てもらいたいです。
こちらの国はとても美しいです。
色々便利な物が溢れています。
シリウス様にも見てもらいたいです。
相変わらず私は魔法は使えません。
私に価値はないのに王宮に住まわせて貰っています。
皇族の居住区からは離れていますが陛下やカーティス様が訪ねてくださいます。
それ以外はずっと1人ですが寂しくはありません。
安心してください。
カーティス様はほぼアクア様のお話をして行かれます。
恋は盲目を絵に描いたような感じで面白いです。
益々私の存在意義がわからなくなりました。
不要になったらそちらに帰ります。
この手紙はリオ様に託しました。
リオ様の妹君がアクア様です。
シリウス様も御二方も星の名前ですね。
よくもまあこれだけピッタリな名を付けたものだと関心しております。
私の喜びを意味する名は持ち腐れです。
心から喜び感謝した事がこの短い人生であったでしょうか?
強いて言えばシリウス様に出会えたくらいですかね。
それだけは感謝しています。
手紙は全て届いていない様ですね。
何故なんでしょう。
私のせいなのかシリウス様が何かやらかしたのかは解りませんが早期解決を願います。
何かやらかしましたか?
王弟宮で何か秘密でも見ちゃいましたか?
消されそうになったら助けを強く強く願ってください。
私の相棒に行ってもらいます!
この手紙には彼等や相棒と書きましたが誰かに見られて追及されたらジョイは乱心で幽霊が見えるのだと言って下さい。
実際幽霊だと思ってます。
シリウス様からのお返事を楽しみにしています。
それが私の生きる糧ですからね。
ジョイ
手紙を読んだシリウスは優しい笑みを浮かべていた。
「シリウス、申し訳ないんだけどさ、手紙を読ませて貰わなきゃならないんだ。ジョイは王子の妃候補の立場だからね。」
シリウスはあっさり手紙を渡してくれた。
この手紙がラブレターなら禁断の愛になってしまう。
リオはサラッと読ませてもらった。
(遠回しなラブレターじゃないか。)
「元気そうで良かった。相変わらず1人で過ごすのが心配だけど学校にも行っているようだし。カーティス様も気にかけてるみたいだしな。」
シリウスはジョイからの好意が解らないのだろうか?
シリウスに見せたい、手紙は生きる糧だと。
リオは感動しているのに。
(鈍い。なんて鈍いんだ。だからカーティスに奪われてしまったのか。)
リオはシリウスが気に入っている。
少々我儘気質なカーティスよりもよっぽど大人だ。
苦労してきたんだなと思う。
苦労したのはルーナもだろう。
だからお互い鈍感なのだ。
気持ちに気付いてもどうする事も出来ずにいたのかも知れない。
ちきしょう、アクアが甘ったるい小説の話なんかするから恋愛脳になってしまったではないか。
「手紙の返事を書くか?」
シリウスは静かに首を振る。
「書いてやれよ、シリウスからの手紙は生きる糧なんだろ?」
そこへ酔っ払った陛下が側近とやって来た。
先程まで国王と飲んでいたらしい。
「市井のつまみを沢山買ってきたぞ。腹が減っただろう?部屋に来い。宴会の続きだ。シリウス、君も来い。ジョイの話も聞きたいだろう?」
シリウスは陛下に連れられ王弟宮の客室に来た。
こちら側は初めて入った。
あまりの豪華さに度肝を抜かれそうだ。
異国の調度品で品よく整っているが高級なのは一目でわかる。
「我が国の品ばかりだな。気を遣って整えてくれたのだ。眠れれば何でも構わないのだが。」
陛下は大きなソファにゆったり座り裸足の足を投げ出した。
「お前たちも靴を脱げ。開放感が気持ちいいぞ。」
酔って暑いのか陛下は胸元のボタンもいくつか外しジャケットやベストも脱いでリラックスしている。
皆も寛ぎ始めたのでシリウスも真似をした。
陛下の目線で側近の1人が呪文を唱えると指を動かした。
シリウスには何をしたのか解らない。
「多分監視とか盗聴されている。天井か壁裏に潜ませているんだろうな。」
「側近のアベル様は結界を張れるんだ。だからこの部屋で話す事は俺達以外には漏れない。」
「凄い。さっきのは呪文ですか?」
「そうだよ。初めて?魔法陣を見せてあげれば良かったかな。アベル様は短い呪文だけで技を決めれるんだよ。」
陛下は話がすんだら魔法陣くらい幾らでも見せてやると言った。
先程まで酔っ払っていたのに今はそんな感じはしない。
振りをしていたのかも知れない。
「まず魔獣を操り聖女を消しているのはやはりマーカス夫妻だ。聖女は5人、その内のは3人は消された。後の2人は我が国に居るから安全だ。」
「3人とも別々の国に居ました。魔獣からの攻撃の際住民を守る為に結界を張り己が盾になり命を落としました。」
シリウスには意味が解らないから唯耳を傾けるしかない。
「聖女を全て排除してどうするつもりだ?」
「我が国の乗っ取りです。」
「大それた事を。」
「魔法を使える者が少なくなった今がチャンスと思ったのではないですか。」
「我が国にはあと2人の聖女がいる、それを知った上で乗っ取るか。」
あの優しいルイーズがそんな大それた事をするなんて。
「マーカス夫妻はどこにいる?」
「容姿を変えれますからね、簡単には捕まえれませんよ。」
「ですが彼等を操るのは王家ですから接触するでしょうね。」
王家?まさか父上がルイーズを操っていたのか?
アベル様がシリウスの方に目を向けた。
「シリウス様が聞いても大丈夫でしょうか。シリウス様だけに結界を張れますが。」
動揺を隠しきれないシリウスに陛下は微笑む。
「知るべきだろう。お前の父親もまた操られたひとりだ。」




