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リオ

あの子まだ小さいのに将来が決まっちゃったんだ。

可哀想に、側妃なんて。


カーティスはアクアを大切にするだろうと自分でも思う。

けれど好きな男を他人と共有するのは嫌だ。

あの子の気持ちも考えないカーティスに腹が立つ。


あの子が望んでいるなら話は別だけれど。

カーティスに話しかけられたら意地悪をされるだろう。

アクアも最初の頃は嫌な事も言われたし意地悪もされた。

幸い強かったから誰も手出し出来なくなった。


「カーティスは今までと変わらないんだろ?今日だってデートしてきたじゃないか。」

「変わらないわね。私が将来妃になるのが当たり前だと信じて疑わないわ。私が側妃を持つのが嫌って言わない限り気付かないだろうし。」

「側妃は1人とも限らないしな。罪悪感が無ければこの先増えるぞ。」


側妃が増えるなんて考えなかった。

カーティスはモテる自分に酔うタイプだしなとアクアは思う。


「明日の試合はお前の勝ちでいいよ。俺ちょっと騎士団の仕事が入ったからさ。」

「え?リオだけ?私は?」

「俺だけで良いってさ。明日から学校休むから。」

「ふうん。ヘルプが欲しくなったら言ってね。」


翌日の試合でアクアは全てを倒し優勝する。

敗北者の中にはカーティスもいた。


「詠唱なしは強いな。ラインハルト先生の領域まで行けるんじゃないか?」

「無理よ、先生は複数の属性の持ち主だもの。叶いっこないわ。」


決勝戦には下級生のギャラリーはなく負けた所をジョイに見られなくて良かったとカーティスは安堵した。




リオはラインハルトの研究室にいる。


「なんだい?聞きたい事って。」

「先生うちの母様に会いたがってましたよね。どうしてかなと思いまして。僕とアクアにかけられた加護と関係ありますか?」

「おや、漸く気づきましたか。」

「聖女伝説を読んだんですよ。あの本は実話って聞いたので興味本位でしたけど。聖女が産まれた家ってもしかして僕が今住んでる所じゃないんですか?」


話の序盤に出て来る家に見覚えがあった。丁寧に描かれた挿絵とそっくりな部屋があるのだ。

窓から見える木の位置も小屋の位置も今は使われていない井戸まで似ていた。


「教会の牧師様に聞きましたか?」

「はい。この国に来て少し経った頃に聞きました。聖女の末裔が産んだ子供達は加護の力を持っていたせいで権力者に狙われたと。」

「そうだね、その通りだ。子供達は全部で5人。聖女の血を絶やす事を恐れた夫婦は各国の孤児院に預けたんだ。その夫婦はもう他界したけれど。」

「母は孤児院で育ったと言っていました。たぶん先生もですよね?」

「まあね、君の母君とは違う国に居たよ。似てる?君の母君と僕は。」

「似ています。だから調べてしまいました。気を悪くしましたか?この話はまだ誰にも言っていません。母に会いますか?」

「まだやめとくよ。リオ、他にも何か気付いたんだろう?」


聖女の子供達は誰に狙われていたのか。

幼い頃に母と引き離されたのは偶然なのか。

居なくなったマーカス侯爵家は何か関係しているのではないか。


「母の産まれたあの国にもう1度行きたいのです。アクアの下にもう1人妹がいます。王家に引き離された形で行方不明のままなのです。」

「まさか探すつもりですか?行方知れずになったのはいつ?生きている保証はありませんよね。」

「僕達は聖女の末裔ですよ。先生は星を読まないのですか?」

「ああ、星か。残念ながら私は星とは無縁です。その代わりに癒しの力を貰いましたから。」


ルーナは生きている。リオの星の軌道に乗った。

絶対会える。


家族はルーナを決して忘れていない。けれど薄れているんじゃないかと思う時がある。

両親はいまだに恋人同士のように仲が良いし、アクアはカーティスに恋をしてから盲目気味だ。

だから気付けないのだ。


あのジョイと呼ばれた少女はルーナだと。


たった一歳で別れた妹にリオが判る訳はない。

けれどあの髪。アクアに似た面影。

妹だと証明する為にもあの国に行かねばならない。


「藪を突くと蛇が出ますよ。」

「蛇ですめばいいのですが。」

「暫く休学するのでしたね。リオが突く蛇は私とも無関係ではありません。大事になれば私も呼ばれるでしょう。無茶しないでくださいよ。あちらの王族は残忍なのは世界の常識ですからね。」

「ありがとうございます。心に刻み込みます。」




その後リオは陛下に呼び出された。

ラインハルトから話が伝えられたのだろう。

もしかしたらルーナに会えるかも知れないと急いで王宮に向かう。


「急に呼び出してすまない。ラインハルトから聞いたのだ。」


政務を息子に託した陛下は国王とは名ばかりで毎日何をしているのか誰も知らない。

騎士団によく顔を出しているのでリオは何度か話した事がある。


「いえ。大丈夫です。」

「まあ、座れ。楽にしてよい。」


リオは向かい合って座る。


「あの国の事を突くのは危険を伴うぞ。もう少し待て。行くなら俺の共として連れて行ってやる。

暫く俺に付け。何かに気づいたのなら聞きたい事は教えてやろう。」


リオはルーナの事だけは話さなかった。

自分も含めてルーナも聖女の血を引く。

危険な目に遭うよりは何も知らずに今の生活を送らせてやりたいと思う。

陛下が何処まで知っているのかもわからないから。


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