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星を読む子供

「ダメだ。ステラはずっと側にいてくれ。私の母親のようなものだろう?」


「シリウス王子、私は唯の乳母でございます。教育係でもございません。私にも子供が3人おります。どうか今までどおり通いでこちらに上がる事をお許しくださいませ。」



ステラと呼ばれた女性は膝を折り頭を深く下げている。

乳母と言ってもまだ20代半ばにもならない彼女は控えめな化粧のせいでさらに若く見えた。

淡い金色の髪は小さく纏めて後毛ひとつ出ていない。

支給された乳母のお仕着せをきっちり着込み指輪すらも着けておらず真面目な性格が現れている。


シリウス王子が産まれて一年がすぎた頃に当時の乳母が解雇された為に王家が探して来たのがこのステラだった。


15歳で騎士団員の夫と結婚して間も無く最初の息子を授かり、翌年には娘を授かった。

息子は5歳、娘は4歳になる。

2人とも両親によく似た淡い金色の髪を持ち意思の強そうな濃いブルーの瞳をしている。

先日産まれた末の娘は両親よりも兄妹よりも淡い髪をしておりぱっちりした目は大きくブルーよりも濃い深い海の色をしていた。


ルーナと名付けられた金色にも銀色にも見える優しい髪色の赤子を兄弟はとても可愛がっている。

赤子を真ん中に3人は仲良く眠った。




その日夫は騎士団の仕事が休みで家族で街に来ていた。裕福ではないが騎士団で副団長を任されている為に子供を3人育てられるくらいの甲斐性はある。

夫は一番下の娘を片手で抱きながらもう片方の手で娘のソースの付いた頬を拭いていた。


少し離れた馬車からステラの家族を3人の女がじっと見ている。


ステラは長男のくしゃくしゃになった髪を優しく撫で付け額にキスをした。少年は自分の分の菓子を母親にあげたからだ。

優しく微笑むステラ。

そこへ一台の馬車が止まった。


一目で王家の物とわかるその馬車から侍女らしき女性が降りて来た。


「我が主人が乳が出るか聞きたいと申しております。」


ステラが夫を見ると彼が小さく頷いたので「出ます」と答えた。



侍女は微笑みながら言った。


「乳母を探しています。明日貴方に登城して頂きたいのですが。」



夫もステラも知っている。乳母を所望しているのは王妃だと。

王室の伺いは命令と同じだ。断る事など出来ない。


夫とステラは溜息が聞こえないよう名を名乗り明日登城する旨を伝えた。



「母様行かない方がいいと思うの。」

「星が言っているわ、母様行かないで。」

「リオ、アクア、母様の星が見えるのね。」


赤ん坊を抱きながら家族で夜空を眺める。

ステラは子供の頃から不思議な力があった。空の自分の星を知っていて未来が見えた。

その力は子へも受け継がれた。


「よく見て、母様の星は消えないわ。何かの試練は待っているけれど。その代わり3つの星の輝きが強いでしょう?母様と父様を護るように位置している。」

「ルーナの輝きは一番強いけど敵対する星に囲まれている。だから王宮に行かないでよ。」

長男のリオは今にも泣き出しそうだ。

「すぐに異変は現れないわ。大丈夫よ。」

「母様に何かあったらアクアが王家を潰すわ。」

アクアは正義感が強い。物心ついてすぐ水や氷の魔法が使えた。


「アクア、魔法は攻撃に使ってはいけないわ。人を助ける為に授かった力よ。」


リオは何も言わずじっと聞いていた。彼もまた魔法が使える。火を操り雷を纏う攻撃力の高いものだった。


「リオもよ。無闇に攻撃してはいけません。大切な人を守る為に使うのよ。2人とも魔法の事は誰にも悟られない様に。」


先を読む力のあるステラは夫と色々な事を決めていた。

何があっても子供達を守る事を優先すると。


ただルーナの事はステラもリオもアクアにも複雑すぎて先がわからない。



翌日ステラは王城へ連れて行かれた。

そして半ば強引に決められたステラは通いで乳母をする事になった。

なぜか次話が投稿できませんーー

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