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第八話 「流石に違うよね......?」


 「れなは何処か行きたい場所あるの?」


 そう聞いたれなは口元に人差し指を当てながら少し考えると


 「花恋のおうち」


 と一言答えた。私がしまったという顔でわなわなしていると、


 「うそうそ、そういうことじゃないんでしょ?」


 と言ってれなはほくそ笑んだ。


 「うーん、そうだなぁ。花恋が好きな場所連れて行ってよ」


 「好きな場所? 私の好きな場所......」


 何とか捻り出そうと頭を抱えるけどなんにも思いつかない。


 「難しく考えなくていいから。花恋がよく行ってた場所とかでいいよ」


 「昔よく言ってた場所とかはあるんだけど、私高校入る時引っ越してきちゃったからこの辺にはあんまりないかなぁ」


 「花恋って違うとこ住んでたんだ?」


 「うん、お父さんの仕事の都合でさ。だからそんなにこっちのこと詳しくないかも」


 れなは髪をくるくるしながら少し考え込んだかと思うと、


 「わかった。じゃあれなが案内してあげよっか、この街」


 「本当? じゃあ案内されちゃおうかな」


 「そうとなったら早く行くよ! こっちこっちこっち」


 私はれなに手を引かれながら導かれるままについていく。何だかれながいつもよりも生き生きしていていい笑顔をしている。


 「花恋アイスクリーム好き?」


 「え、うん好きだよ」


 「そっかそっか、商店街の端にあるアイスクリーム屋さん行ったことある? あそこにある抹茶のアイス、れなのお気に入りなんだ」


 「アイスクリーム屋さんなんてあったんだ、じゃあそこ行ってみる?」


 「じゃあちょっと歩くけど大丈夫?」


 「うん、れなについてく」


 そういうと、れなが手を差し出してくる。最初は何の手だろうと思っていたら、れながやれやれという顔で私の手を握る。


 「手繋ご。はぐれないように」


 「えー、流石に大丈夫だよ。わたしもう高校生なんだからはぐれたりはしないよ?」


 「いーから!」


 と、れなは少し強く私の手を握り再び歩き出す。もう、大丈夫だって言ってるのに。れなってちょくちょく私のことちっちゃい子だと思ってる? あ、まあ確かに身長は小さいっていうのは否定しないけど、それとこれとは違くない?


 「そう言えば、制服以外の花恋って見たことなかった。私服も可愛いね~」


 また揶揄うようにれなはそう言ってきた。


 「れなも今日はいつもと違う感じで可愛いじゃん?」


 ふと心なしかいつもよりふりふりした服を着ているのが目についたので何となくそう返した。


 「そ、そうかな......? えへへ」


 れなが妙にしおらしい反応をするので言った後に少し恥ずかしくなった。


 「あ、ここここ! 開いてるかなぁ」


 アイスクリーム屋さんというからもっと人がたくさんいて、所謂「映える」系のアイスが売ってるのかと思えば、意外にもお店はこぢんまりとしている。


 「あら、れなちゃんまた来てくれたの?」


 お婆さんとはいかないくらいのおばちゃんがれなに話しかける。


 「はい! 抹茶アイス二つお願いします」

 

 れながそう言いながら鞄を漁ると、あっという顔をしてこちらを見つめてくる。


 「お金忘れちゃった......」


 れなはしょんぼりしている。


 「あ、じゃあ私払います!」


 と言って2人分のお金をおばちゃんに渡す。


 「今日は2人なんだね、お姉ちゃん?」


 そう尋ねられたが否定しようにも何と答えれば良いのかわからない。


 「えっと、友達です!」


 私の口が開くより先にれながそう答えていた。おばちゃんは何度か私達を見比べていた。


 「あら、そうかい。またきてねぇ」


 おばちゃんはそれだけ言って手を振っていた。え、なんかないの? 逆に反応ない方が怖いんだけど、私ってもしかしてれなと同じくらいに見られてる? 流石に違うよね......?

 

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