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第十一話 「秘密のお泊まり②」


 「じゃあ行くよ」

 

 そう言うとれなはコクリと頷き、私にとっては見慣れた玄関の扉を開ける。思えば人を自分の家に招くのなんていつぶりだったかな。


 靴を脱ぎ家に上がる。振り向くと靴を持ったれながウインクしながらグーサインを出している。こう言うところがちゃんと抜け目なくて少し安心さえする。


 私がお母さんが見ていないのを確認すると先にれなを私の部屋がある2階へと向かわせた。


 れなが階段のほうへと向かったのを見て私もその後に続く。


 「なんとかなったね」


 れなが小声でそう呟くので部屋に着くまで安心できなかった私はれなの口を塞ぐ。そうすると大丈夫なのにと言わんばかりに不服そうな顔でこちらを見つめてくるので、私はれなの手を引いてそそくさと自分の部屋の中に入った。


 「はぁ~」


 私は大きくため息をついてベッドに寝転がった。すると、れなも真似するように


 「はぁ~」


 と可愛らしくわざとらしいため息をつきながら私の隣に寝転がった。その様子を寝ながらふと見やるとれなと目が合った。


 「もう、真似しないでよー」


 「ふふっ、ごめん、すごい緊張してる花恋のこと見てたら揶揄いたくなっちゃった」


 「あー今笑ったでしょ」


 「ごめんてば」


 「もうっ」


 そう言った私の顔はもしかしたら笑っていたかもしれない。


 「これからどうすればいい?」


 れなは私にそう聞いてきた。どうしよう。正直何も考えてなかった。


 私が腕を組んで考えていると、


 「もしかして、何も考えてなかったの?」


 とれなが私に詰め寄る。


 「えっとその.......」


 私はれなから目を逸らした。


 「うーん、図星かぁ。でもそう言うところも可愛いね」


 まったくれなは私を責めたいのか揶揄いたいのかわからない。


 「ごめん......でもきっとなんとかするから、ね?」


 私が申し訳なさそうにそう言うとれなは、


 「うん、わかった」


 と意外にも素直に了承してくれた。


 「じゃあ、私ご飯食べに行かなくちゃだから、部屋で待ってて。れなの夜ご飯は......あとでどうにかするから」


 そう言って私が部屋の扉に手をかけると、れなはベッドにちょこんと座りながら笑顔で手を振っていた。


 一度部屋の扉を閉じたあたりでふと思いつく。ないとは思うけど、もしお母さんが私の部屋に行こうとしたらどうしよう。止めるのも変だし、最悪の場合に備えてちゃんと決めておいたほうがいいのかな。


 そう思って再び部屋の扉を開くとなにやら焦った様子のれなと目が合う。


 「どうかした?」


 私がそう言うと、


 「ううん、なんでもない」


 と言ってれなは再びベッドの上に座った。少し怪しく思えたが、とりあえずさっき思った事を言うことにした。


 「部屋に人が近づいてきたらそこのクローゼットに隠れて。私が戻ってくる時はノックを3回するからそうしたらでてきていいよ」


 「花恋ってほんと心配性だね、最悪バレたって......」


 れながそう言うと、私は遮るように


 「だーめ、それじゃあ行ってくるから気をつけてね。あっ、いない間変なことしちゃダメだよ」


 と言って再び笑顔のれなに手を振られながら私は部屋を後にした。


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