学校生活奪還作戦
きーんこーんかーんこーん———。
チャイムの音……。なんか、暖かい…。
ここは……。
「暁春ッ……!!」
「おわぁ!?び、びっくりしたぁ…。ど、どうしたの?急に飛び起きて暁春ちゃんの名前なんて。」
どうやらさっきまでのは夢だったらしい、ここは保健室だ…。目の前には驚いた顔をした優子先生がいた、そう言えば寝落ちしてたんだった。
「い、いや…なんでもないです…。」
「なんか悩み事?私、聞くけど…?聞くことしか…出来ないけどね…。」
「……じゃあ、……遠慮なく。」
あの夢を見て思ったこと…いや、今までも思っていたことを先生にぶつける。
「先生達は…なんで暁春の事を…虐めのことを容認してるんですか…、。」
……。
少しの沈黙が続いたあと、先生が苦い表情をとり、話し始めた。
「…あくまでも私はね…容認してるわけじゃないの、暁春ちゃんに関しては本人の意志を尊重してるだけ、本当は虐めなんて無くしたいと思ってるの、私は…。」
俺は先生の「私は」と言う言葉に違和感を感じた。
「「私は」ってどういう事ですか、?無くしたいのなら相談所に行くなり方法は色々あったはずで…!」
「…前にね、一度、行ったことがあるのよ、相談所に。生徒のいじめが多発してるって…でもね、突っぱねられたの。そんな事実は無いって、容認していないって。」
「どういうことだよそれ……?」
「…正しくはわからない、。ここからは推論だけど、ここの校長先生と役所の人が手を結んでるっぽいの、学校の、市のイメージ優先…なのかな。そしていつも虐めの主犯格にいる慎之介君…。慎之介君は政治家のご子息らしいの…。ここまで言えば頭のいい冬輝君ならだいたいわかる…かな…。」
「……っなんだよそれ…。どいつもこいつもイメージだとかの外面だけのためにッ!!それだけのためにいじめられてる奴らの気持ちを蔑ろにしてるっていうのかよッッ!!」
俺は人が…大人が憎く感じた。
「落ち着いて…。あくまでも私の推論にすぎない。いつか虐めを、学校を告発したいとは思ってるのだけど、誰が敵で誰が味方かなんて見分けがつかなくて…。」
「政治家のお偉いさんが敵なら警察も…か……。」
…。
俺は考えた、虐めに、恐怖に、政治に、大人に勝てる方法を。
「…。何か俺たちに出来ることがあるかもしれない…。先生。俺、やってみる。考えてみる。」
ここで何か行動を起こさなければ何も変わらないんじゃないかと思った。
「冬輝君…。、…。もし子供じゃ出来ないことがあったら言って、私が動くから。」
「ありがとう先生…。じゃあ、俺もう帰るよ、寝てる間にもういい時間になっちゃったみたいだし、。それじゃ。」
そうして俺の……。俺達の戦いが幕を開けた。
次の日の早朝、俺は学校の屋上で早速構想を練っていた。
「やってみる」といったもののどうすれば勝てるのか…。
そもそも勝ち目なんてものがあるのか……。
おい———お————!————聞いてるのか?
「おい!寝ぼけてんなよ!」
気付いたら目の前に柊朔が居た。
「まぁ、昔からだけど最近は特にボーッとしすぎだぞ…。」
と柊朔は呆れた顔で俺を見下ろしていた。
「ちょっと考え事を…な。」
「何考えてたんだよ、暁春のことか??コノヤロー」
「ちげぇよ…いや、違くは無いか…。」
「勿体ぶんなよ…親友だろ?何でも力になるぜ!」
なんだかわからないが、こいつなら何か打開策を提案してくれる気がした。
「…虐めのこと、なんだが…。」
俺は昨日の保健室での優子先生との話をし、そういった理由で打開策を考えているところだと打ち明けた。
「……。優子先生は他の先生達とは違うんだな……。わかった、…で一つ方法が無いわけでも無い…んだが……。」
柊朔は話すかどうか考えている様子だった。
「まじかよ………。なんだよ、教えてくれ。」
「…これは一か八かな方法で、相当数な仲間がいる。もし、これが駄目なら他は無理だろうっていう最終的な話だ。」
「最終的…??どういうことだ?一から説明してくれ。」
「あぁ、。」
俺は柊朔の説明を聞いた。内容は以下の会話通りだ。
「まず、簡潔に言うと役所に大勢で押し込む、抗議するんだよ、デモだ。」
「デモ…?」
「あぁ、虐められてる奴や、この現状に不満を持ってるやつ、そんな奴らを集めて役所に届け出るんだ。」
「でもそんなこと…」
「わかってる、難しい話だ、不満に思ってる奴らは大勢居るだろう、だが、名乗り出るかどうかは別の話だ、そして、敵は実質的には政治、役所だ、だから跳ね除けられればもう後がない、しかも役所の中には善意で動ける人が居るかどうか…だから一か八か、だ。」
「そもそも人を集めるって、誰が敵で誰が味方かなんて…」
「おいおい、侮ってもらっちゃ困るぜ、俺はこういう時の為に誰が敵で誰が味方…いや、グレーゾーンってことは把握済みだ、後はそいつらに敵を刺す勇気があるかどうかだ、だからとりあえずそこは任せろ。」
柊朔は柊朔で正義感が強いところがある、よく裏で虐められた人達のケアをよくしているって聞く。慎之介にバレて無ければ良いのだが。
「そして、だ。やはり俺たち子供だけで抗議を行っても99%跳ね除けられる、だから大人の力が必要だ。」
「そこで優子先生ってことか…。」
「あぁ、優子先生がグレーゾーンに居るって聞いてやっと動けると思ったんだ、ここの大人達は全員校長の支配下にあるんじゃないかって思ってたからな…。優子先生がグレーゾーンなら他の先生達を動かせる一筋の光だ。」
「だからお前はこんな計画があるにも関わらず誰にも話さなかったんだな…?」
「黙ってたのは謝るよ、だが、先生が、お前が動いてくれるなら今しか無いって、この学校を変えるのは今しかねぇ!って思った、だから話した。」
そして、俺は一番気になっていた事を聞いた。
「あと、さっきから流してたけど、グレーゾーンってなんだよ」
すると、柊朔は恥ずかしそうに答えた。
「それ、聞くか?…端的に言えば、現状に不満があるけど言い出せないでいる白にも黒にもなれない奴らのことを総称した言い方だよ。」
俺が「お前が考えたのか?」と問う前に柊朔が
「そうだよ、俺が勝手につけたんだよ、悪いかよ!」と一蹴した…。
…。改めて今回の計画の内容を簡潔にまとめるとこうだ。
1.現状に不満を持つ生徒、『グレーゾーン』を集め、署名等を相当数用意する。
2.生徒と同じく大人側、先生達の『グレーゾーン』を集め、以下省略。
3.集めた署名と『グレーゾーン』で学校が管理下にある役所に突撃する。
以上の簡単な3ステップで構成されている。
「わかった、その計画で行こう、残念ながら俺もそれ以外思いつかねぇ…。」
「…あぁ、お前がやってくれるなら心強いよ、とりあえずグレーゾーンのリストはこっちでまとめてある、後で渡すからとりあえずお前は優子先生に話をつけてきてくれ。頼んだぜ。」
「あぁ、任せろ。」
そうして俺達は【学校生活奪還作戦】と名付けて行動を始めた。
優子先生も「やってみる」と言って協力的にしてくれた。




