満点の星空と本音
気づけば22時を過ぎ…。
「ざっこいなぁ~。ほんと。」
「くそ…なんで勝てないんだよ。」
そして、ふと時計を見る。
「ってか、もう俺帰るわ。時間も時間だ。」
「…そっか、。」
俺は身支度をしドアノブに手をかけ「またな。」と言った。
「…ありがとう。構ってくれて、次はもっと上手くなっててよね。」
「あいよ、。」
朝巳さんに「長いことお邪魔しました」と一言声をかけて帰路についた———————
———俺の家は帰っても誰も居ない、両親は二人とも遠くの街で暮らしている、理由は特に無いが強いて言うなら喧嘩、かな。
仕送りは一応してもらっているから不便はない、お互いに許しているのだろうけど仲直りが出来ないって言ったところか。
制服から私服に着替え、夕飯の支度をしていると卓上に置いてあったスマホがブブブブブと震えだした。
電話だ。
電話の相手を確認する———————
——暁春だ。
今まで、暁春からの電話なんて一度も無かった、今日は初めてなことが起こりすぎている。
不思議に思いつつ電話を取った。
「もしもし、何か用か?プリントに不備とかあったか?」
「違うの、。夜中の1時に、皆が寝静まった時間に、迎えに来て欲しいの。」
「夜中??迎えにってどういう—————」
ぷーぷーぷー
「どういうことだ」と言いかけた所で電話が切れてしまった、切られたのだろうか?
俺は意味がわからなかった。「「夜中の1時に。」」「「迎えに来て欲しいの。」」…。
出来るだけ思考を巡らせたがどうにも意図は読めなかった、イタズラの電話だろうと思い一旦置いておく事にした。
だが、夕飯を食っている時も、風呂に浸かっている時も、寝支度をしている時も、暁春の言葉が頭をぐるぐると回っていた、。
そうこうしていると時計の短針は『1』の数字を指していた。
気になって仕方がなかった、行かないという選択肢もあったが、じっとしては居られなかった、。1時を回ったが、間に合うかはわからなかったが、走った、暁春の家まで。
ッ…ハァ…ハァ…ッ!ハァ……。
暁春の家の前まできて肩で息をする。
「良かった、もう来てくれないかと思った。」
声をした方に目をやる、声の主は暁春、だが、屋根の上に立っていた。
「おま、あぶねぇぞ。落ちたら————」
「落ちたらどうするんだって?あんたが来なければ落ちるつもりだった、落ちても死ねるかどうかはわからないけどね、」
「なんでそんなこと…。」
「話しづらいからこっち上がってきてよ。そっちに梯子あるでしょ。」
と暁春は倉庫近くに立てかけてある梯子を指差す。
とりあえず、云われるがままに梯子を使い、屋根に登り暁春の隣に座り込んだ。
「ほら、上見てよ、星、キレイでしょ。たまにこうやって星を眺めるの。」
そう言って暁春は屋根に寝転ぶ、俺も同じように寝転ぶと目の前には満点の星空が広がった。
「凄いでしょ、ここらへん街灯が少ないから星が綺麗に見えるの、、私のお気に入りの場所。」
…。
暫くお互い無言が続いた。、
「あのさ———」
俺が口を開くと暁春はそれを遮るように、「なんでこんなことって?」と俺の言うことを先回りして言った。
「あぁ。」
「私ね、人を信じるのが疲れたなぁって、あんたも知ってる通り学校では虐められてるし、私の病気もいつになったら治るんだろうって、警察官のお父さんは警察官目指してる立派な姉の事しか頭にないし。
なんでこんなに病弱な私がお父さんの娘なんだろうって、なんでこんな身体で生まれちゃったんだろうって。」
…。
「…でもね、あんたが現れた…。最初は虐めを見ているだけの傍観者で周りと何も変わらない人だと思ってた。」
何も言い返せない。
「でも、あんたは少し周りと違った、あんたは周りとは私を見る目が違った、可哀想とか、気持ち悪いとか、そんなのじゃなかった、人として、一人の人間として見てくれてた。」
「…でも…俺は…守ってやれない、守る勇気もない。結局は周りと同じ…。」
「ううん。あんたは違う、私はわかるの。」
何が違うというのか。
「私ね、最近体調が良くてね、明日…もう、今日…?かな、また学校に登校することになったの。学校では仲良くしなくても良いんだけど、さ、また放課後…とか今日…みたいに遊んでほしいなって。」
「それだけか?呼び出した理由は…」
「ううん。なんか、心細かったの、構ってくれる人が欲しかったっていうか。」
「…んなもん、言われなくても俺は遊んでやるし、お前が誘ってくれればいつでも駆けつけてやる、だからよ、辛気臭い顔してんじゃねぇよって言っても
虐められるってわかってて行くのは辛ぇよな。」
「あんた、かっこいいね…。好きになっちゃうかも。」
そう言われて顔が赤くなった。
「ばばば、バカヤロウ!俺はかっこよかねぇよ…。多分、俺はお前が虐められてても助けてやれねぇ、ただの意気地無しだ。」
「いいよ、それで、私を助けてあんたが標的にされる方が悲しいから。」
……。
そうして小一時間特に話はせずそこで星を眺めた。




