初配信
俺は準備をした。慎之介を煽てる為の準備を。年密に、…。
そして当日。
空は清々しい程に晴れ渡っていた。そんな日の屋上に慎之介を呼び出した。
「なんだぁ??こんな場所に呼び出してぇ〜」
「自殺、と言ったら飛び降りだろ??お前もこれの方が止めやすいだろう?」
「良いねぇ〜!こんなに気持ちがいい日にヒーローになれるなんてぇ!!」
「台詞も用意してきた、これはお前のだ、こっちは俺の。」
慎之介に台本を渡して俺の遺書のような紙も見せびらかした。
「良いね、いいねぇ!楽しくなってきたよぉ〜!!ところでそのファイルやら機材は??」
「あぁ、気にするな、機材は配信用でファイルは年密な計画書だ。」
「偉いねぇ〜。もしこの計画が成功したら俺の右腕として働かせてやってもいいぜぇ〜♪」
それはゴメンだ。
「じゃあ、配信始めるから俺が、自殺しそうになったらその台詞を読んでくれよな。あと、画角はここからここまで入ってるからそこ気をつけて、」
「わかぁってるよぉ〜♪あんまり焦らすと突き落としちゃうよぉ〜?」
そんなことされてたまるか、。これが終わるまでは……ッ!
「じゃあ始めるぞ…ッ!」
配信スタートのボタンを押すとRECのマークが点滅し始めて、日本中、いや、世界中に配信された。
それと同時に何故か一気に人が集まり始めた、1万、2万と…。
そう、グレーゾーンの皆に『ねいん』とで連絡を取り声をかけて拡散してもらったのだ。
タイトルは【学校の屋上から飛び降りて死んでみた】
「は〜い!どうも皆さん始めまして〜!冬輝ともうしま〜す!今回はね、初投稿にして最終投稿!今はここ屋上に来ておりま〜す!」
どんどんと増す視聴者、どんどんと増えるコメント。
「死ぬとかうそだろw」「冬輝くんこんにちは〜!しなないで〜!」「うっは!ちょっおま!有名人じゃん!」「嘘乙」「ここの制服知ってるかも、近くの学校だわ」
「さて!今日はタイトル通り死にたいと思います!!ですが、ただ死ぬだけじゃ面白く無いので今から遺書を読み上げたいと思いま〜す!!」
コメントがどんどんと更新されていく。
「生命へ対しての冒涜だ」「なにこれ…面白いと思ってやってるの、?」「まだ若いんだからいのちだいじに〜」「ゴ○ゴ松○の授業受けさせたいわこいつに」「俺、学校北けど警察沙汰で草」
俺はそんな状況を無視して手紙を読み上げる。
「この手紙を読んでるってことは恐らく俺は死んでいるでしょう。逃げる道を選ぶ俺を許して下さい。毎日いじめられて受験の苦しさにも耐えかねます。もし、この手紙を読んでいる人がいたら俺の事を忘れないで下さい。そして、俺みたいに苦しむ人がいなくなりますように…。冬輝」
「ホンマに手紙のまんまの書き方で草」「本当に虐められてる人達に謝れ」「え?警察沙汰って早くね??」「これで有名人気取りかよさっっむ」「死ぬ気あんの?こいつ?」「警察突入してったぞ中断すんじゃねこれwww」
手紙を一通り読み終えた俺は身振り手振り話を進めていく。
「ってことで、皆さん、ここまで見てくれてありがとうございます!それでは……と行きたいところですが、ここでタイムアップ!」
バタンと急に扉が開く音がする。
冬輝がカメラを持ってそちらに向けると警察が数名、警棒を構えていた。
「死ぬ気ないだろwwこいつww」「はい!タイムアップーww」「今だ!飛べ!ww間に合うぞ!ww」「警察ナイス」「警察早いな、流石」「こんなのに突き合される警察可哀想」
カメラを向けた先には慎之介も映っていた。
「は!?はぁ!??なにこれ!!早くないか!!なんでだよ!!」
「残念だったな、慎之介……。ここからは俺の…俺達の逆転劇だッ!」
「意味分かんねぇッ!!!どういうことだよッッ!!警察……ッ!お前ら!!俺は飯河財閥の息子だぞ、!退けよ!!バカッッ!!」
「お?修羅場か??」「なんか面白そうなことになってきた」「飯河財閥の子息って言ったか??」「飯河ってあの政治家??」「久しぶりにwktkしてきた」
俺は警察官の一番偉そうな人に声を掛ける。
「暁春のお父さん、ありがとうございます、来てくれて。」
「あぁ、。これでも警察官の端くれだ。」
「はぁ!?お前が呼んだのかよ!!?」と慎之介は状況が読めていない様だった。
そう、俺はあのとき、役所から出て取締を受けた時、たまたま政治の息が掛かっていない警察官に取締を受けた、。これがすべての分かれ目、奇跡だった。
「その時の警察官に聞いたんだよ、暁春のお父さんのこと。」
暁春のお父さん、暁春自身は姉のことしか見ていなくて、自分のことは…と言っていたが、誰よりも暁春の事を知っていて心配していた人物だった。
本当は薄々気づいていたらしい、いじめのことや、学校の事、だが、お父さんは不器用すぎて暁春に聞くこともできず、証拠も不十分、警察も誰が味方がわからない、そんな状況にあったらしい。
でも、そこで俺が、俺たちが現れた、。十分な証拠を持っている俺たちが。
「だからそれを聞いた俺は暁春の見舞に行ったときにお母さんに伝えたんだよ、お父さんにこのことを伝えてくれと、今日、この日に来てくれと。」
俺は慎之介に事実を突き付ける。
「図りやがったなァァァァッッ!!殺してやる!!殺してやる殺してやる殺してやる!!!!!」
「動くなッ!」
「……ッッ!!」
「…。そして、今これをご覧になっている皆様、これをご覧になってください!」
「なんかよく分かんねぇけどよくわかんない!!」「なんかよくわかんないけど、トラップカード発動したってこと?」「やるな、遊○!!」「←遊○王してんなよww」
コメントはこの状況を楽しんでいた。それでいい、もっと拡散されれば。
「これは、飯河慎之介が今まで行ってきたことの全てです!!証言も署名も集めました!!ですが役所の義文氏に抗議をしても跳ね除けられ、このことは口外するなと釘を差されました!どうでしょうか!?あなた達の、俺達の街は、日本は!おかしいと思いませんか!?」
「おい!てめぇ!!」
慎之介は動揺しているようだった。
「これほんと……、?」「ガセだろ」「マジなら今の政権ひっくり返るぞ…。」「嘘には聞こえないって」「これ、ニュースでも拡散されてるらしいぞw」
「慎之介…。もう終わりだ。虐めが、グレーゾーンが、終わらなくても、虐めた奴らに制裁はいつか下るんだ、そして傍観してただけのやつにも…な。」
「かっけぇww」「虐めとか無くなります様に」「なんかこいつ後ろ下がってね?」「冬輝くんのファンになりました」「やべぇwフィッタートレンド1位キタコレ」
俺は一歩ずつ着実に後ろへと足を進めていた。
「さ、仕上げと行こうか、。」
「冬輝くん!それ以上下がると危ないぞ!!」
暁春のお父さんが俺に声を掛け注意する、だが、俺は。
「世間は、世界は、すぐに記憶から葬り去る、こんなこと、あってはいけないのに、5年後、10年後、誰も覚えていない可能性だってある、だったらッッ!!」
俺は持っていた遺書をクシャクシャにして投げ捨てた。
「あぶないって」「こいつまじで死ぬ??」「死なないだろww」「確かになぁ…10年後みんな覚えてないよなぁ…、俺も自信ないわ」「←記憶力ww」
「じゃあな、暁春。大好きだったぜ。」
「は……??」
慎之介、ざまぁみろ!!お前のその困り顔が一番みたかったぜ。
「やめろ!!冬輝くん!!」
お父さんありがとうございました、後は任せます。
「冬輝ィィィ!!!」
柊朔、ありがとうな、お前は最高の親友だ。
「……!」
優子先生、これからは怯えて暮らさなくてよくなりますよ。もう俺はあんたを恨んじゃいない。
「……!?」
朝巳さん、自分を責めないで下さい、これからも暁春を幸せにしてあげてください。
「冬……輝……???」
暁春、ごめんな…愛し————
グシャアァア!!
「「キャーーー!!!!!」」




