病院にて
ぴぴぴぴぴ!
アラームの音で目が覚める。
6時……?
「………。暁春ッ!!!」
寝てしまった、寝過ごした、呼ばれていたのに、夢中で走った、はだしのまま、暁春の家まで、心臓がはち切れるぐらい走った。
そこには、救急車に担ぎ込まれる暁春の姿があった。
「あら、やーね…。あそこの家の子、2階から飛び降りたらしいわよ?」
「嘘…虐待…とかかしらね…?」
飛び降りた……??
俺のせいだ…俺が行かなかったから!!
でも、足が竦んで動けなかった、声をかけようにもどうかければ……。
「おぉっとぉ〜♪なぁにがあったのかなぁ〜?」
また慎之介が俺の後ろに立っていた。
「なんで…ここに…。」
「いやぁ〜!俺はさぁ〜昨日暁春ちゃんが屋根で寒そ〜にしてたからぁ温めてあげる〜って言ってたんだけどめちゃくちゃ拒絶してきたからこ〜っそり後ろに回って突き落としただけだよぉ〜!多分首はイッたんじゃないかなぁ〜;;かわいそ〜;;」
俺は自制心が効かなくなりそうだった。
「クソ野郎ォ!!」
「そ〜んな大声出さないでよぉ〜。柊朔くんがどうなってもいいの〜??ほらぁ、中継繋がってるよぉ!!」
慎之介が出したスマホの画面には柊朔がナイフで突きつけられている映像が流れていた。
「柊朔ッ!?」
「さぁ、第二の取引の時間だよぉ。暁春ちゃんは前の取引の答え、次こそは柊朔くんが死んじゃうねぇ!」
「ッ!?…、。要件は…なんだ……。」
「君に演出をして欲しいんだよねぇ、」
「演…出…??」
「そう、演出♡俺ね、ヒーローに憧れてるんだぁ〜。だからさ君、インターネット配信して自殺してよ、「「虐めとか受験勉強が疲れました〜」」って適当言って。で、自殺しようとしたところで俺がドーン!君を助ける!そしたらヒーロー!表彰もされて!!お父さんも絶対喜んでくれる!!ねぇねぇ、いい案でしょう??」
ヒーロー……?演出…、?表彰…??意味がわからない、こいつは何をいっているんだ?散々俺たちをコケにしてきて…何を言っているんだ…??
でも、次こそ従わなければ柊朔が殺されるかもしれない……。
………。
「わかったよ、でも時間をくれ。」
「おぉ〜聞き分けが良くて良かったぁ〜じゃあまた準備できたら言ってねぇ〜!」
そしてその日は学校には行かずに家に居た。
考えていた、やり返す方法を。
そしてふと暁春が頭に過ぎった、最後に……。謝りたいと。
日が紅く染まり影法師が伸びる黄昏時。
コンコンコン
「どうぞ……、」
ガラガラ……。
「失礼します…。」
「冬輝…君…?」
俺は病院に運ばれた暁春の病室に来ていた。
「その…なんていうか……。ごめんなさい…!!」
「…なんで…?冬輝君が謝るの??…」
「暁春には悪いけど…全部話します…。」
そして暁春の見舞いに来た俺は居合わせた暁春のお母さんに学校の事、どうしようもできなかったこと、暁春自身のこと、全て話した。
「…ごめんねッ!!ごめんね暁春ッ!!お母さん!気づいてあげられなくて!!!母親失格よッッ!!」
暁春のお母さんはひどく落胆し泣いていた。
「お母さんは悪くないんです、心配させたくなかった、それが暁春の気持ちです、泣いてほしくて黙っていたんじゃあないと思うんです。」
「、…。ぐずん…、。そう…、よね…。。随分年下の子に励まされちゃって……、。かっこ悪いわね…私…。」
「いえ、そんなことはないですよ…。…それで…暁春の様態は…。」
暁春は今は昏睡状態らしい、生きているのがやっとというやつだ、持病も相まって生還率は高くないらしい、が、可能性はゼロでは無いらしい。逆に俺は安心した、暁春なら0%でも生還できる気がしたからだ。それがなおさら1%でもあるなら余裕だろう。そう信じたい。
「それで、少し相談があるのですが……。」
「うん、わかった…。頼んでみる。」
俺は要件だけ伝えて、そして暁春に届くはずのない別れを告げてその場を離れた。




