第38話 魔法
お父様は、熱に浮かされたような目のまま、語り始める。
「確かに以前は、他の貴族達の妨害で失敗した。同派閥内の貴族が遥かに減った今、成功率は遥かに低いかもしれない」
そう淡々と、お父様は自分の計画が成功する確率が低いことを語る。
けれど、その表情から熱が消えることはない。
そんな異常な状態のまま、私を見据えお父様は告げた。
「──だから私は最後の手段を使うことにした」
「……っ!」
異常なその様子に、思わず息を呑んだ私に、お父様はそう告げた。
私の様子など一切気にせず、お父様は一方的に続ける。
「アイリス、仕方ないと分かってくれるな。何せ、これはお前のせいでもあるのだから。お前がアリミナの誘惑した令息達を勘当させ、将来を見越し私が派閥を強化しようとしたのを阻んだのだから」
「なっ!?」
その瞬間、私は驚きのあまり声をあげていた。
今までアリミナが勝手に暴走していたと思っていた令息達の誘惑は、お父様が糸を引いていたこと。
それは今まで私が予想もしていなかったことだ。
……だが、次期当主の令息を誘惑しただけで、自身の派閥が強化できると考えるお父様の浅い考えが、何より信じられなかった。
当たり前だが、次期当主は未来の当主であれ、その家の権限全てを握っているわけではない。
将来的にも何も、ただ次期当主から外されておしまいだ。
そもそも私が仲裁に行っていなければ、公爵家は敵だらけになっていただろう。
「何を考えているのですか!そんなことできる訳がないでしょう!」
「黙れ!そんな詭弁を私が聞くと思うな!」
それ故に咄嗟に私は声を上げたが、それがお父様に伝わることはなかった。
苛立ちを露に私を睨みつけ──けれどすぐに、その顔に笑みを浮かべ吐き捨てる。
「……まあ、お前の煩い小言ももう聞くことはないと思うとせいせいするがな」
お父様の言う、最終手段が想像よりも遥かに悪いものだと私が理解したのはその時だった。
不気味なお父様の表情に、思わず後ずさる。
「おっと、じっとしていてくれないかい?」
……そして私は、私を連れてきた男に掴まれることになった。
思わず肩を震わせた私に、お父様が告げる。
「逃げようとは考えるなよ、アイリス。その男は数千人、いや、数万人に一人しか持ちえない魔法を扱える人間だ。お前程度に振り払えはしない」
お父様の言う最終手段。
それにこの男が関わっていると私が理解したのは、その時だった。
思ったよりも修正箇所が多く、更新が二日に一回になるかもしれないです……。
申し訳ありません……。




