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三千字弱書いた~
時間と気力吸われる~
バタッ
僕が上げた叫び声に気がついたようで、カイト達は一瞬固まるも、すぐにナギを抱えてこちらに逃げる。
そして先程迄カイト達がいた空間に魔物が突っ込んで来た。--正しく危機一髪である。
そして魔物は空に飛んで行くも、まだこちらをしっかりと捉えている。
そしてこちらに来たカイトは僕に「にいちゃん!?アイツどうする?!」と聞いて来たので、
「こっちでどうにかする!ナギ連れて家に帰れ!!」
そう答えるとカイトは「………くそっ!ぜってーにいちゃん死ぬなよ!?絶対だからな!!」
と言いながら走り去っていった。
ナギも何か言ってたが聞き取れなかった。
ーーよし。
襲撃してきた魔物を警戒しつつも彼らが森の中に消えて行くのを確認後、その魔物と相対する。
大きさは三m弱、
体は鱗に包まれており、
顔は蜥蜴をそのまま大きくしたかのよう、
そこまで聞くとファンタジーの定番、
「ドラゴン」
をイメージするかも知れない。それはほぼあってる、--さらに詳しく説明するならばワイバーン型である。
そのワイバーンであるが、ゲームや物語によっては「竜」の亜種のような分類を受けるが、この世界では「竜」の一種であり、「ドラゴン」の仲間であって、決して亜種ではない、という認識である。では、亜種がいないのか、という疑問の答えは、「否。」である。この世界での「竜」の亜種は色亜竜と呼ばれている。
この亜竜達の鱗はその亜竜が使える属性の色をしているため、プレイヤー達からは属性竜と呼ばれている。
閑話休題、
鱗の色は緑、種族名:緑色亜竜、即ち属性は「風」か。
まぁ最初から空から襲って来たり、空に逃げたりしてたからね。そんな空中戦に強くなる属性は大体風だしね。
--とりあえず様子を見よう。目指すはスタミナ切れからの諦めて撤退!今の僕のステータスじゃ話にならないしな。
そして、考える。アイツが何をしたいのか。何を求めているのか。そして気になるのは、曲がりなり竜の亜種であり、知性は少なからずとも持っているのにアイツは襲う前に鳴き声上げた。急に襲い掛かれば襲撃も上手くいっただろうに………
--そうか!カギとなるのは「この特殊な森」という場所なのでは無いのだろうか?さんざんこの森を歩き回ったときに動物はまったくいなかった。森はごく普通の森であったのにも関わらず、である。つまりこここで二つくらい思い付く事がある。この森は実際にはなく、幻惑ないしは似た何かの状態異常になっている。ここはファンタジーな世界。そんな魔法があってもおかしくない。もしくはこの森には動物が存在するがある決められた存在しかそれを認識出来ない魔法がかけられている。
そう考えると、一つの結論が導き出される。
--空腹
である。
なるほど!ならば、これが効くはずだ!
「へーい亜竜ちゃーぁん?ここに余裕たぁーっぷりな人間がいるよぉー?襲ってみたぁらぁ~?あ、でぇもぉ、お馬鹿な亜竜ちゃんは難しい方へ行くのかぁ~?ばっかみたぁーい!あはははは!!!」
唸れ我舌!馬車馬の如く働け、表情筋!オーバーリアクト、マイボディ!喰らえ!全身全霊の煽り倒し!!!
--どうだっ?!
「Kuruuuuuuuuuaaaaa!!!」
いよっしゃ!
ヘイト奪取成功!後はこのまま
①緑色亜竜を木にギリギリまで自分を囮に誘導→
②緑色亜竜が木に激突→
③緑色亜竜が自爆ダメージ喰らう→
④①に戻る
を繰り返して行けば時間は稼げる………はず!
「来いよ!亜竜!煽り倒して、(あんたの体を木に)ブッ(つけてHPを削り)飛ばしてやるわっ!!!」
「Kuruuuuuuuuuaaaaa!!!」
返事の代わりに飛んで来た叫び声をBGMにしながら僕は縦横無尽に動き回る。
右に左に。時に飛び上がり、時に地面に伏せて。
一撃でも当たれば死んでしまうのにも関わらず、はづきは恐怖何て無いような顔をして飛び回る。
ステータスの差が絶望的に開いているのにも関わらず、それが何だと笑い飛ばすかの様に。
それは演舞のような美しさであり、
数多の練習を重ねた従獣師と緑色亜竜のようにであり。
しかしそれは互いの命を賭けた戦いであった--
空腹の緑色亜竜、小さな兄弟を護るために時間を稼ぐプレイヤー。
己の命、他の者の命、
本能と理性。
二つの違う想いがぶつかり合い、火花を散らす。
永遠に続くかのように思えた二つの魂のぶつかり合いも、
永遠に続く物が無いことを証明するかのように、
そして、
ついに、
緑色亜竜が動きを止める。
ただ自らの命を刈り取り、己の命にしようとする突撃者を自らの全てを持って避けてきたプレイヤーはその死を告げようとした突撃が来なくなるのを感じ取り、辺りを見渡す。
そしてそこには--
傷だらけになった緑色亜竜が横たわるのを見て、安堵する。
「終わったんだ………
勝った………?
勝ったっていうことで良いのかな?!
やった!
やったんだー!!!」
一人喜びに浸り、ふと自らがなぜ戦っていたのかを思い出す。
「ナギ、カイト!!そうだ!アイツらは………
って、
ああ、そっか、逃がしたんだった………アハハ--」
自らがいかに戦いに没頭していたかということに自笑しようとするとまだ笑い終わらぬうちに二人の少年の声が被さる。
「ああ、逃げたぜ、心配になって来たけど!」
「おにいちゃん!だいしょうぶ?!」
「え………?
何でいるの………?」
「いや、だってにいちゃん達ががこっちに向かってくるからさあ………逃げても追っかけてくるし………
だからある程度距離を取りつつ離れてみたんだ。」
「マジか………せっかく逃げてもらったのに心配かけるような事をしてすまなかったな。」
「大丈夫。にいちゃんがアイツの気を引いてくれたお陰で今僕たちがこうして生きていられるのだから。本当にありがと。」
「ありがと!にーちゃん!」
「それに、ほら」
とカイトが指指した方を見てみると、
そこには--
深い崖があった--
「うゎ………やば………」
(こんなところまで進んでいたとは………本当にやばかったな………)
「うん。本当によかった。もし落っこちそうだったらどうにか止めようかと思っていたよ………」
「ふぇ~。危なかったね………アハハ………
あ、そう言えば
ここからどうやって帰る?
なんか検討とかついた?」
まぁ、僕達が来るのを警戒しながらナギ連れながら逃げていたんじゃそんな事する余裕は無かったかも知れないけど………と思いつつ、
カイトに尋ねてみると。
「あ………」
と答えったきり返事かかえってこない。
「あ、まだわからないかんじかぁ………」
(野宿とかになるのかな………うーんどうしようか………確かスキルポイントが貯まれば魔法スキルが使えるようになるよね。そうすれば生活魔法とか入手できるし(ポイントは安めに設定されているはず)、ポイントはレベルアップすれば貯まるはずだし、アイツ倒したからかなりレベルアップして沢山ポイントが………貯まる………
………って、あれ?
倒したなら倒したってアナウンス入るよねぇ?!
え?!まって?!アナウンス入らなかったってことはまさか?!
あわててさっきまで緑色亜竜がいた所に目を見遣ると--
--Kuruaaaaa!!!
「ナギぃ!!!!!」
「カイにぃ!!!!!」
緑色亜竜に捕まれて、いっしょに崖から落ちるナギとナギの方に駆けようとするカイトの姿だった--




