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昨日のことはあまりはっきりと覚えていない。


でも、これだけは強烈に覚えている。


僕は天使を拾ったんだ。


そう、僕は天使を拾って家に連れて帰ったんだ。


その天使は今すやすやと僕の部屋のソファで眠っている。


そして、その天使の背中についていたのは



羽根ではなく、



十字架だった。


——————————-




昨夜、僕が仕事から疲れて帰ってきた時、マンションの扉の前にうずくまっていたのが彼女だった。


最初はぎょっとしたが、視線の端でなんとなく観察してみると、栗色の髪は腰まであり、白くて長いノースリーブのワンピースを着ていて、初秋の夜にしてはいささか寒そうな格好だった。


顔は見えなかった。


女性が一人で地べたに座っているなんて、普通に考えてあまりいいことはなさそうだ。


ややこしいことに巻き込まれるのが一番嫌いな僕はひとまず見なかったことにして、自分の部屋に帰った。


部屋に帰ると、ほっとする。


狭いワンルームだが、シンプルで落ち着いたインテリアは気に入っていて、今のところ僕の一番好きな場所だ。


風呂上がりに、テレビを観ながらビールを一本飲み干した後、ふと先ほどの女性のことを思い出した。


気になり出すと、とことん気になり、テレビの内容も頭に入ってこなくなった。


まさかもういないだろう、と気軽な気持ちで1階に降りてみると、なんと彼女はまだ同じ姿勢で地べたに座り込んでいたのだ。


さっき僕が見た時から2時間は経っているはずだ。


おそるおそる、僕は彼女を観察してみた。


顔は伏せていて見えなかったが、ノースリーブから出た腕を見る限り、若い女性だということはわかった。


どんな事情があったにせよ、こんなところで数時間もうずくまっているなんて尋常じゃない。


ちょっと変わった類いの人なのだろうか。


もしくは、失恋したとか。


人生に絶望しているとか。


まぁ、僕には関係ない。


きっとこのマンションに住んでる奴の恋人かなんかだろう。


変なことに巻き込まれるのはごめんだ、と僕が家に帰ろうとした、その時。


彼女は初めて顔を上げた。


その顔を見た瞬間、なぜか僕は彼女は天使だ!と強烈に思ったのだ。


気づけば僕は彼女を拾って家に連れて帰っていたのだ。



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