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虚ろな忌み子の殺人衝動  作者: 猟犬
第4章 タイムレスデザート
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42.会合

待たせたな!!

 案内されたのは厚い壁で覆われた部屋。音が外に漏れないように作られたその部屋は、これからやろうとしていることに適していると言えた。


「さて、まずはその仮面を取ってもらおう」


 ダルバのその願いに、玲は応じる。

 仮面の下に現れた玲の顔にダルバは一瞬喜ぶが、すぐに表情を曇らせて曖昧な表情に変わる。


「……生きていたんだな」

「ええ、わざわざ死の淵から戻ってきましたよ」


 ダルバは玲に聞く。あの夜何があったのか。そしてこれまで何をしていたのかを。


「あの化け物を追い払うために自分のスキルを使いました。何とか傷を負わせることに成功しましたが、代償に腕と臓器を持ってかれました。それからはこちらの──

「シェシルだ」

 シェシルさんに助けられました。それからはその恩を返すために共に行動してます」


 玲は考えておいた嘘を饒舌にベラベラと並べる。特に不自然は無く、ダルバは納得する。しかし、気になることもあった。


「1つ聞きたい。そこのシェシル殿は魔族だ。それを理解した上で共に行動しているのか?」

「……ええ、受けた恩は変わりませんから」


 流石、前線で戦っていただけあって、一瞬でシェシルの正体を見破った。そこに内心ひやりとしたが、玲は笑顔で答える。


「……そうか、実を言うとな、俺はお前の事がよく分からなかったんだ。

 何を言っても従順だし、これといった否定や感情表現も乏しい。けど、今の答えを聞いて少しだけ理解したよ」


 残念ながら理解したと思い込んでいる1から10まで全てが嘘だ。

 やたらしんみりした様子で言うダルバに笑いそうになり、シェルは今にも吹き出しそうだ。それを紛らわすように玲はダルバに質問する。


「そういえば大臣はどうなりましたか?」

「ああ、アルドフか。魔族と共に行動していたのなら、そりゃあ知ってるよな。

 奴は処刑されたよ。王と勇者を謀った罪でな」


 やはりそうか。いくら人族側に有利になるとはいえ、王に嘘を吹き込んで、衰退している弱者の魔族を勇者まで召喚して一方的に戦争を起こしたんだ。

 この好戦的態度を他の国から攻め入る理由にされてはかなわん。


「けれど、全ての理由は語られてない。混乱を避けるため、民衆には伝えられてないし、知っているのも勇者達や一部の上層部だけだ」


 まあ、民衆にまで言う必要はないよな。勇者が知っているのはロードと出会ったからだろう。余計な情報を吐いてなければいいが……


「それより信二達には会わないのか?」

「ええ、少し気恥ずかしいので。

 けれど、近いうちにこちらから会いに行きます。せっかくなら少し驚かせたいので、信二達には黙ってて貰えますか?」

「ああ、もちろんだ」


 ダルバは親指を立て笑顔で了承する。意外と遊び心があることに感心するが、こちらを疑ってないのは無防備が過ぎる。


「それでは俺たちはもうそろそろ行かせてもらいます」


 玲は仮面をつけ直し、背を向ける。


「ああ、気をつけてな」


 ダルバは手を振って見送る。

 玲とシェルは部屋を出た後、急いでその場を離れる。目的地は人目のない路地裏。


「ふふ」

「はは」

「「フ、フハハハハハハハ」」


 2人は堪えていた分、腹を抱えて笑う。


「まさか、こんなにも簡単に上手くいくとはな!」

「ダルバの野郎があそこまで脳筋だとは!」


 2人はひとしきり笑った後、食事の前にまずは服装を整える話になり、衣服店に行き、服装を整える。玲は変わらず執事服を着崩した格好で、青い耳飾りとチョーカーも健在だ。

 シェルは大きく変わり、背中と肩を出した紺色のショートドレスに、黒の肩掛けをかけている。

 服装を整えた2人はそのまま飲食店に向かう。


 金はある2人は取り敢えず、各々食えるか分からない量の料理を注文してゆく。周りはそんな2人を見てか、怪訝な目を向ける。


「随分と見られているな」

「気にする必要は無いぞ。シェルも今のうちに食っとけ」

「当たり前だ。もう、あんな食生活は嫌だからな。食い終わったら食材を買い込むぞ」


 丸テーブルいっぱいに、所狭しと並べられた料理を手に取り、2人は黙々と食べ始める。

 ドレスを着たシェルは、下ろし立ての装いを汚さないように、ナイフとフォークを使い丁寧に食べる。片や玲は袖をまくり、仮面を上にずらす。傷だらけの腕を晒しながら、チキンを手掴みで粗暴に口に運ぶ。

 何処ぞの令嬢とその執事。しかし、その振る舞いは全く違い、余計周りの目を惹く。

 半分の料理が2人の胃袋に収まった頃、唐突に声が掛けられる。


「ねえ、そこのあんた達。少し話を聞いてもいいかな?」


 そこには威圧を発する『式織 楓』と、その後ろに張り付いて怯える『志戸部 菊』がいた。

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