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虚ろな忌み子の殺人衝動  作者: 猟犬
第3章 多重猟奇殺人
32/46

31.それぞれの犯行、先の方針

 頭が痛い。

 トブーリから話を聞いてから頭痛が酷い。


「シェル二手に分かれて情報を探るぞ。2時間後に宿で集合だ」

「わかった。私は南から調べて行く」


 シェルも焦っているようで、簡単なやり取りをし、すぐに分かれる。





 □





 2時間後


「情報の交換をするぞ。そっちはどうだった?」


 玲は露店で買った食べ物を渡して問う。


「殺人事件の詳細、反抗手段についでだ。

 …………どうした、何故黙りこむ?」

「二手に分かれた意味が無かったようだ」


 玲も調べた事は同じで、深い溜息をつく。


「一応、2人で調べた事に相違が無いか確かめるぞ」


 玲は『異空庫』から紙とペンを取り出し話し始める。


「まず最初の被害者。これは双子の母親で間違いないな」

「ああ、それはギルドの職員が言ってた通りだった。レイプ痕も無いため、双子の犯行として見てもいいだろう」

「次の被害者はレイラ・ベール。1人目の被害者と同日に殺害されている」

「同じようにレイプ痕無し、双子の犯行。殺害位置の距離もそこまで離れていないため、大方、目撃者の処理として殺したのが妥当だな」

「そして3人目、俺の調べた限りではここからレイプ痕のある事件のみだ」

「こちらの調べた結果でもそうだ。3人目から17人目全てにレイプ痕があったらしい」

「3人目からは双子の殺人に便乗した愉快犯の可能性が高いと俺は考えている」

「いや、それは無いだろう。レイプ事件自体は殺人事件の起きる何年も前から起きてたそうだ。

 だが、双子の殺人が起きてからは、頻度が急激に増えている。双子に罪をまとめてなすりつけるつもりなのだろう」


 確かにレイプ犯が殺人犯の正体に気が付いてないと仮定するのなら、その考えはありだろう。

 しかし、最初の犯行をおこなったのは、双子の幼女だ。もとよりその計画は破綻している。

 殺人犯を確認しないでその行動に出たのなら、レイプ犯は小物だろう。


「だが、このレイプ犯……仮にXとしよう。

 犯人Xはこれまでの犯行で一切証拠を残してない。かろうじてわかるのは男ということのみだ。なんらかのスキルか、魔法を使えるはず、心配はしてないが、シェルも油断はするな。何だかんだお前も顔立ちは整っているからな」

「あ、ああ………」


 シェルは顔を赤くして、返事をする。

 部屋が妙な空気に包まれる。


「調査中に思ったのだが、無理してこの街にとどまる必要はあるのか?この街にいることが危険ならば、とっとと街を出ればいいだろ」


 シェルは空気を変えようと、話題を変えて来る。


「確かに、危険を犯さずに安全策でいくのなら、極論、既に殺人鬼だとバレている双子を殺して、街を出るのが1番だ。しかし、それは出来なくなった」

「どうしてだ?この街の検問は軽いのだろう?」

「今朝の17件目の犯行で本格的な調査と規制が始まった事が、北の掲示板に書かれていた。俺たちはなるべく顔を隠して行動しなければならない状態で、審査が重くなるのはきつい」

「つまり、殺人犯が捕まるまで街を出れないと」

「その通りだ。だからこれからの方針としては、双子を始末し、犯人Xを捕まえ、双子の殺害もまとめてなすりつける。

 その後、検問の審査が軽くなった時を見計らい街を出る。異論は無いな?」

「勿論だ。それが1番いい手段だと私も考えるからな」

「おし、話は終わりだ。飯にしよう」


 2人は食事を取り始めた。





 □





「あと俺は今日から『禁忌の書』を使うからな気を失ってる間は色々頼む」

「色々って何だ!色々って!具体的に言ってくれ」


 既に玲は気を失っていた。

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