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虚ろな忌み子の殺人衝動  作者: 猟犬
第2章 逃亡地にて
14/46

14.愚か者の決意

「おい、見つかったか?」

「いや、人影すらも無い」


 そんな会話が聞こえてくる。

 信二は奥歯を噛み締めていた。

 玲は、元の世界であんな傷を負うぐらい、過酷な生活だったんだ。玲自身は、大丈夫と言っていたが、あいつはもっと報われなくてはいけない。こんなところで、死んでいい人じゃ無い。

 幸い、信二のスキルは常時発動型の確率補正だ。



 ・『天の幸』

 常時発動型スキル。

 確率が0%では無い限り、自身の行う、全ての物事において、最低30%の確率補正が付く。



 つまり、玲がこの森にいる限り、最低でも30%の補正が付く。見つかる可能性はまだある。

 しかし、探せども探せども、玲の姿は無かった。

 彼の最後の姿を見た、楓は泣き噦り、菊はそれを宥めている。

 既に日は暮れ、ダルバさんの決めた時間になろうとしている。

 見つからない、見つからない、見つからない、見つからない、見つからない。


 どれだけ探したか。

 一日中森林の中で、走り回ったため、既に足腰は限界を迎えている。


 ここでようやく信二は悟る、実感する。





 人の死を





 軽い気持ちだったのだ。

 ゲームのような世界。

 アニメや漫画で、よく見る世界。

 気分が高揚していた。


 自分はクラスのみんなを率いて、何をしようとしていた?

 信二は後悔と罪悪感に、押しつぶされそうになっていた。そして狼煙が上がる。これは捜索打ち切りの合図だ。

 重い足取りは、更に重くなり、みんなの前に顔を出す事が辛い。

 それでも、狼煙の元へ行く。

 逃げていては、しょうがないからだ。





 □





「時間になった。仕方がないが、あの腕は玲のものとして見なし、死んだものとする」


 重々しく告げられたその言葉は、静けさに包まれ、よく響いた。


「みんなに話したい事がある」


 信二がそう告げる。


「まずはみんなに謝らせて欲しい。俺は自分の軽い気持で、こんな事態になってしまった」


 そう言い信二は土下座をする。

 周りからざわめきが起こる。


「玲は、よく考えてから動く奴だ。相手が魔物ならダルバさんを起こした筈だ。しかし、そうはならなかった。つまり相手は魔族になる。

 俺は魔族を許さない。この仇を取るために魔族領土に行くことにする。付いてきてくれとは、言わ──

「私もやる!」


 楓が信二の言葉に重なるように叫ぶ。


「私は、あの化け物を見て、なに、も、出来なかった!」


 その声は、途切れ途切れで、震えている。

 聞いただけで、泣いているのが分かる。

 普段の彼女からは想像も出来ない。


「私も悔しい。仇を取りたい!」


 目の前の信二も、泣き出した。

 どうやら信二も溜め込んでいたようだ。


「ああ、ありがとう。ありがとう!」


 泣き出す2人に感化されたのか、玲の事情を知っている男子達も吠え出し、最初と同じように、事が決まっていった。


 否定派の意見も聞かないまま。


 その者達は過去の教訓を活かさないまま……





 □





「お嬢様、ロウと言った彼。見た結果どうでした?」

「アウトだ。本当の名前は、分からなかったが、ロウと言う名は偽名だ」


 2人の魔族は、最寄りの町で、買い出しをしていだ。魔族と人族の姿は大して変わらない。魔族が人族の町にいても気づくことはまず無い。


「それにあいつは、何かと話していた。そして、そいつをプルトリファと呼んでいだ」

「プルトリファですか、邪神の名前ですね。彼の手を借りたら、まさに邪神の加護ですか。我々の手で嘘を本当にしますか?」


 シェルは不敵に笑う。


「ははっ!それは良くない、反対だ。あの男とは、それとは関係無しに、あまり関わりたく無いな。中を覗いたが、あれは中々にエグい。とんでもない狂人だ」

「そうですか、それでは後腐れのない関係がいいですな」

「そうなるといいな」


 シェルは悲壮な表情をし、買い物を続けた。

はい。すみません今回も短めです。猟犬です。

最近時間が取れなくて、中々書けません。

明日は多めに上げたい。

機会があれば是非また覗いてください

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