14.愚か者の決意
「おい、見つかったか?」
「いや、人影すらも無い」
そんな会話が聞こえてくる。
信二は奥歯を噛み締めていた。
玲は、元の世界であんな傷を負うぐらい、過酷な生活だったんだ。玲自身は、大丈夫と言っていたが、あいつはもっと報われなくてはいけない。こんなところで、死んでいい人じゃ無い。
幸い、信二のスキルは常時発動型の確率補正だ。
・『天の幸』
常時発動型スキル。
確率が0%では無い限り、自身の行う、全ての物事において、最低30%の確率補正が付く。
つまり、玲がこの森にいる限り、最低でも30%の補正が付く。見つかる可能性はまだある。
しかし、探せども探せども、玲の姿は無かった。
彼の最後の姿を見た、楓は泣き噦り、菊はそれを宥めている。
既に日は暮れ、ダルバさんの決めた時間になろうとしている。
見つからない、見つからない、見つからない、見つからない、見つからない。
どれだけ探したか。
一日中森林の中で、走り回ったため、既に足腰は限界を迎えている。
ここでようやく信二は悟る、実感する。
人の死を
軽い気持ちだったのだ。
ゲームのような世界。
アニメや漫画で、よく見る世界。
気分が高揚していた。
自分はクラスのみんなを率いて、何をしようとしていた?
信二は後悔と罪悪感に、押しつぶされそうになっていた。そして狼煙が上がる。これは捜索打ち切りの合図だ。
重い足取りは、更に重くなり、みんなの前に顔を出す事が辛い。
それでも、狼煙の元へ行く。
逃げていては、しょうがないからだ。
□
「時間になった。仕方がないが、あの腕は玲のものとして見なし、死んだものとする」
重々しく告げられたその言葉は、静けさに包まれ、よく響いた。
「みんなに話したい事がある」
信二がそう告げる。
「まずはみんなに謝らせて欲しい。俺は自分の軽い気持で、こんな事態になってしまった」
そう言い信二は土下座をする。
周りからざわめきが起こる。
「玲は、よく考えてから動く奴だ。相手が魔物ならダルバさんを起こした筈だ。しかし、そうはならなかった。つまり相手は魔族になる。
俺は魔族を許さない。この仇を取るために魔族領土に行くことにする。付いてきてくれとは、言わ──
「私もやる!」
楓が信二の言葉に重なるように叫ぶ。
「私は、あの化け物を見て、なに、も、出来なかった!」
その声は、途切れ途切れで、震えている。
聞いただけで、泣いているのが分かる。
普段の彼女からは想像も出来ない。
「私も悔しい。仇を取りたい!」
目の前の信二も、泣き出した。
どうやら信二も溜め込んでいたようだ。
「ああ、ありがとう。ありがとう!」
泣き出す2人に感化されたのか、玲の事情を知っている男子達も吠え出し、最初と同じように、事が決まっていった。
否定派の意見も聞かないまま。
その者達は過去の教訓を活かさないまま……
□
「お嬢様、ロウと言った彼。見た結果どうでした?」
「アウトだ。本当の名前は、分からなかったが、ロウと言う名は偽名だ」
2人の魔族は、最寄りの町で、買い出しをしていだ。魔族と人族の姿は大して変わらない。魔族が人族の町にいても気づくことはまず無い。
「それにあいつは、何かと話していた。そして、そいつをプルトリファと呼んでいだ」
「プルトリファですか、邪神の名前ですね。彼の手を借りたら、まさに邪神の加護ですか。我々の手で嘘を本当にしますか?」
シェルは不敵に笑う。
「ははっ!それは良くない、反対だ。あの男とは、それとは関係無しに、あまり関わりたく無いな。中を覗いたが、あれは中々にエグい。とんでもない狂人だ」
「そうですか、それでは後腐れのない関係がいいですな」
「そうなるといいな」
シェルは悲壮な表情をし、買い物を続けた。
はい。すみません今回も短めです。猟犬です。
最近時間が取れなくて、中々書けません。
明日は多めに上げたい。
機会があれば是非また覗いてください




