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虚ろな忌み子の殺人衝動  作者: 猟犬
第1章 偽りの勇者
10/46

10.邪神問答

 今思えばこいつの不自然な点はいくつもあった。


 1つ目、こいつは俺が嘘をついた時、突っかかって来ることが多かった。

 2つ目、邪神呼びを嫌った。

 3つ目、女神が1人だと断言していた。

 4つ目、先程の発言。俺が勇者を皆殺しにしようとした時、止めた事。

 たしかに今、勇者を殺す理由は少ないが、俺も死んだ事にすれば動きやすくなるのは確実だ。

 最後、これも先程の発言。しかし、決定打だ。

 こいつは女神の世界に「干渉出来ない」そう言おうとした。

 俺は本来、女神に召喚される筈だった存在だ。それをこいつは横から掻っ攫って、俺の記憶を消した。

 この話とさっきの発言は矛盾する。

 書物に記されていた混沌と破壊を好む邪神とは、明らかにかけ離れている。


 そして、女神の世界に干渉出来るという事は、こいつはそれに属する力を持っている筈だ。

 さらに3つ目の不自然、これを断言した点から考えて、こいつは…




 〈お前はもう1人の女神。ファル・イクセだ。違うか?〉




 邪神らしき者は、しばらく黙り続けたが、決心がついたのか


 〈バレてしまっては仕方がない…

 時期早々だが、私がなぜ邪神になってしまったかを、そして物語の真相を話そ────

 〈そんな物はどうでもいい。代わりに質問に答えろ〉

 〈なっ!!〉


 こいつにしては珍しく変な声を上げて驚いている。

 しかし、今はそれもどうでもいいので話を進める。


 〈1つ目、俺の記憶を消した理由を教えろ〉

 〈最初に説明した時と変わらない。その場にいる人間を殺しつくすからだ〉

 〈2つ目、お前の目的はなんだ〉

 〈これも変わらず、私が人間として、降臨する事だ〉

 〈3つ目、お前にとって勇者はなんだ〉

 〈妹が力を与えた存在だ。味方になりたいとは思っている。だが、それは二の次だ。私の目的の方が大事だよ…〉

 〈4つ目、何故お前は邪神を名乗った〉

 〈私が邪神だからだ。ある事情により、私は女神ではなく、邪神になってしまったのでな〉

 〈5つ目、邪神のお前はどうやって俺を誘拐した。〉


 〈私は邪神の信仰により、ほとんど打ち消されているが、女神としての信仰の力もある。1人ぐらいなら拐う事は出来る〉

 〈最後、女神リオル・イクセはお前が邪神だと知っているか?〉

 〈いや、知らない。悲しませたくなくてね……〉


 最後の質問は何か思う所があるのか弱々しい声だ。

 しかし、この問答でこいつが俺に対してこれまで嘘を言ってない事が分かった。ならば


 〈…………なんと呼べばいい〉

 〈へ?〉

 〈これからお前の事を何と呼べばいい!!〉

 〈は?〉


 こいつ2回も聞き返して来やがった。

 苛立ちながらも説明する。


 〈お前は俺に嘘をついていたわけでもない。なら俺はお前の目的のために動く。お前の命令を聞く。

 だが!その後は俺の好きにさせてもらう〉

 〈それで?さっきの質問は?〉


 3回目だ流石にぶん殴りたい。


 〈お前を「ファル・イクセ」か「プルトリファ」どっちで呼べばいい〉

 〈ああ、そう言う事か。「プルトリファ」で頼む。

「ファル・イクセ」はもう捨てた名だ〉

 〈了解した〉




 ガサッ




 すぐ後ろで、音がした。玲はすぐに振り向く。

 声は出さない。声を出すと自分の正体がバレる可能性がある。幸い今の姿は異形のものだ。薄暗いこの場では、魔物に間違えられてもおかしくない。



 パタパタと走り去る足音が聞こえる。



 すぐにステータスを開く。



 飢gg@ガガガ rrレイ


 Lv1


 HP ──

 MP520/520


 筋力:STR 240(+999999)

 敏捷:DEX 300(+999999)

 体力:CON ──

 ◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️


 1465/3600


 スキル

 異空庫、言語翻訳、禁忌の書、反魂の狂乱


 称号

 邪神プルトリファの加護



 残り時間は30分ほどだ。

 追って殺すか。時間はまだまだ余裕がある。


 〈待て、お前の姿は今、異形のものだ。そして足元には何がある〉


 俺の足元?


 足元には変身した際に飛び散った内臓と血。


 あー、なるほど。面白い事を考える。

 これまでの準備が無駄になるが、動きやすくなるだろう。



 玲は自分の左腕を右腕でちぎり取った。

なんとか上げることが出来ました。猟犬です。

まさかこんな時間に投稿出来るとは思いませんでした。

短編も投稿してみたので、機会があれば覗いてみて下さい。

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