地球到着。
ちょっと危なかったが、何とか無事、魔界から脱出出来た。
次元の狭間に飛び込んだ時に、あの痛そうな武器がかすったけど、まぁ無事と言えよう。
アイツが追ってくる気配は、今の所無い。流石に生身の人間が次元の狭間に飛び込める訳ないわな。
……無いよね?無いって言って!
我が次元の狭間に入って、もう結構経つ。
予め見つけていた、魔法がなく、勇者が居ない世界に向けて、落ち続けている。
もうすぐそこな気がするが、次元の狭間は不安定な状態なので、距離感が難しい。
世界は何重にも重なっていて、次元の扉を開けるタイミングがズレると、意図した世界と繋がらない。
最悪の場合、何もない世界の狭間に取り残される。
チャンスは1度。今の魔力残量では、やり直しは出来ないだろう。
よし、そろそろか。精神を集中させ、次元の扉を開けるタイミングを見極める。
……………そこだ!……………よし。何とか目的の異世界に繋がった様だ。
早速乗り込んで、辺りを見回す。真っ暗で辺りには何も無かった。
あれ、空気が無い?重力も無くて動きずらいぞ!
どうやら目的の星から、離れた位置に出てしまった様だ。
まぁ、この程度の環境なら対応出来るぐらいの身体強度はある。しばらくは大丈夫だろう。
落ち着いて、魔力探知で目的の星を探す。
魔力探知で探せる範囲は広く無いが、遮蔽物が無いココなら、結構遠くまで探れるはず。
お。あれかな?なかなかいい星じゃないか。
転移魔法で近づきながら、魔力探知で星を調べていく。
水が多い星は、大体空気があって生きやすい。魔力の消耗も少なくて済むだろう。
いい星に当たったな。人間がいるみたいだが、こういう星には大体いるので、これは仕方ない。
ん?あれ?この星、人間多過ぎない?星の魔力が枯渇するほど人間がいるぞ!どうなってる?
確かに、我が望んでいたのは、魔法が無い世界だが、魔力が無いのは困る。
魔力が無いと、折角鍛え上げたこの体を維持できない。
生き物は、生きてるだけで魔力を体に取り込む。人間の様な知的生命ならより多く。
我は魔力を取り込むチカラが特に強く、その魔力を使って様々な強化を体に施している。
この星は人間の数が多すぎて、湧いてくる魔力よりも取り込む人間が多く、魔力が感じられない程薄いのだ。
これじゃ魔法は、普通には使えないだろ。人間がこの星の魔力を無効化している。
なのに何故こんなに人間が増えてるんだ?魔法が使えない人間なんて、その辺の犬にも負けるのに。
魔法じゃない強いチカラを、この世界の人間達は持ってるのか?
あれ、それってヤバくない?もうほとんど魔力無いんですけど?
………まぁ、所詮人間!何とかなるっしょ!転移魔法ぐらいならまだまだ使えるし、ヤバくなったら即撤退だ!
方針を決めて、どんどん転移魔法で星に近づいて行く。
初めての異世界で不安だったが、目視での転移は問題なさそうだ。
後はどうやってあれだけの数の人間を従えるかだな。
同胞がいれば話が早いが、どうやらいなさそうだし。
この星の人間、隷属魔法きくかなぁ。魔力無さそうだし大丈夫だと思うけど。
まぁ、ゆっくり支配していくか。
考え事しながら大気圏に突入したら、ちょっと滅びかけたけど、何とか地球に到着した。