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魔王少女。  作者: 甘霞
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入学式


いつもより1時間も早く家を出たはずなのに、学校に着いたのはギリギリだった。


何故なら、妹が可愛い過ぎるからだ。


妹が可愛い過ぎるので、交通事故が2件。


妹が可愛い過ぎるので、絡まれること3件。


妹が可愛い過ぎるので、職務質問1件。


何とか間に合ったが、妹が可愛い過ぎると、こんなに登校時間がかかるのか…。



交通事故は、よそ見運転の結果。


妹が見えて、視線が外せず、そのままガードレールに突っ込んだ。


ドライバーはエアバックを抱えながらも、妹に手を振っていた。


2件とも自損事故で、相手は無く、妹が手を振り返してあげていたのが救いか?


絡んできたチャラそうな男達には、俺は見えてなさそうだった。


「ねぇねぇ1人?同じ学校みたいだし、一緒に行こ?」


妹が微笑むと、全員急に顔色変えてお腹を押さえながら逃げて行ったけど、大丈夫だよな?


職質は、余りに不釣り合いな2人が並んで歩いていたので、声を掛けたらしい。


確かに全然似ていないし、挙動不審だったかも知れないけど、登校中の高校生に職質する?


「何か弱みでも握られてるの?」とか凄い傷つくんですけど!


てか握ってますけど!


そんな事がありつつ無事?学校に着いた。


「じゃあ、お兄ちゃん、また後でね!」


「あ、あぁ」


一年生は入学式なので、体育館に集合だったっけ。


走って行く妹に視線が集まっているのが分かる。その後に俺にも。


気にしない様に下駄箱へ急いだ。


下駄箱前に、新しいクラス分けが貼ってある。


自分のクラスを確認して、ついでに不安だった妹の名前も確認してみる。


「1年B組 佐々木 真央」


…………あった。


試験も受けてない、昨日まで存在すらしてなかった名前が、ちゃんと載っている。


両親の反応を見て何となく気が付いていたけど、妹はちゃんと存在していた事になっているらしい。


気が付いたら一人増えている。なんて、どこかで聞いたことのあるホラーの様な気もする。


『周りは全く気が付いてないけど、自分だけは知っている。』


なんて事が、こんなに奇妙でプレッシャーだなんて、思いもよらなかった。


新入生や在校生が新しい出会いにソワソワする中、俺は一人で思い悩んでいた。



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