魔界脱出。
ここは、この世界の者達が魔界と呼ぶ、我が縄張り。
もう昔過ぎて、忘れてしまうぐらい昔に、縄張り争いを終わらせたこの大陸が、全て我が縄張り。
その縄張り争いで、大陸の半分を、争うほどの価値もない縄張りにしてしまったのは、ちょっとだけ不味かったが。
そのせいで、大陸を出た奴らが、別の大陸や島国に逃げて、迷惑をかけていたらしい。
それを私のせいと言われると、まぁそうかもしれないが、知ったこっちゃない。
昔過ぎて、そんな奴らも居たかなってぐらいだ。
しかし、そうは思えない別の大陸や島国から、刺客が送られてきた。
刺客は「勇者」と呼ばれ、私の縄張りで暴れまわり、同胞を殺した。
それで私も「勇者」を殺した。
するともっと強い「勇者」が来て、暴れまわる。
それを殺して、もっと強いのが来て、それを殺して、もっと強いのが来て。
いい加減メンドくさくなって来たぐらいで、アイツが来た。
アイツは全然強くないクセに、何度も何度も生き返り、立ち上がった。
死なないなんてズルいと思った。
死ぬ度に強くなって行くのも。
そうして段々敵わなくなったので、次元跳躍で逃げる事にした。
折角の縄張りが台無しだけど、それ以上にアイツがめんどくさい。
流石に次元を超えてまで追ってこないだろう。
いや、そういえばアイツは別の異世界から来たとか何とか。
追って来られると、本当にめんどくさい。
逃げるなら、この次元から出来るだけ遠く、魔法も使えないような次元にしないとだめかな。
その分持っていける力や魔力は失うが、仕方ない。
まぁ向こうで、また蓄えればいい。
あ、やば。もう蘇ったの?早くない?てかあの武器痛そうだな。
ここまで来られるとまずいし、行きますか。じゃあねー!うわっ危なっ!
こうして私は次元の向こうの向こうへ旅立った。