とりあえずパンツ買って来て。
妹の全裸土下座を思い出しながらニヤニヤしてると、ふと、隣に気配を感じた。
「………あ。」
「あ?」
声の方へ顔だけ振り向くと、そこには妹(魔王)がいた。
片眉を上げて、綺麗な顔を引きつらせながら腕を組み、こちらを覗き込んでいる。
フリーフォール中に器用だな。あと顔近い。
「いやいや、違う!違うんだ!走馬灯とかそういうのでね!?可愛い妹との思い出をね!?」
「ふーん。」
「いや、ほんとすみません!もうしません!絶対しません!多分!」
「いいんだよ?別に。お兄ちゃんが変態さんで、救いようが無い性癖なのは知ってるし。」
「あざます!」
「私が呆れてるのは、さっきの状況で何でニヤニヤ出来るのかって事。お兄ちゃん頭大丈夫?」
「あざます!大丈夫です!多分!」
「色々大丈夫じゃないけど、いいわ。気にしない事にする。」
そう言いながら、妹が右手を伸ばしてきた。寛大な妹に感謝だ。
俺も右手を伸ばして、手を繋………。あ、はい。左手ね。
あ、そんな感じ?異性との手の繋ぎ方って色々あると思うけど、これって恋人つなg……
うぶえぇぇぇぇぇ!
急減速した妹に引っ張られ、内臓が出そうになった。内臓の中身はちょっと出たかも。
………ちょっとね。
「あ、ゴメン。お兄ちゃん人間だったね。次から気をつけるね?」
「おう……。」
下を確認すると、結構まだ距離がある。人がゴミの様だ。
「こっからどうするの?飛ぶの?それとも跳ぶの?」
「うーん、隠蔽系はまだこっちだとまだ不安だから、転移にするよ。」
「はいは………い。」
返事が終わる前に転移され、俺たちは立体駐車場に到着していた。
「いやー。すごいなぁ転移。超便利じゃん。間違えて死にそうに…………し、死にそうに…なった………け、けど………。」
今頃全身に恐怖がやってきた様だ。膝が笑うというか、何かパンツ冷たい。
「ダイジョブダーヨ?クルマノジコヨリーハ?タブン?チョット?スクナイト?オモイタイデース!」
なら何故。
「タマターマ、タマターマネ。グーゼン、グーゼンヨ!」
何故片言なんだ、妹よ。あんなに流暢だったじゃないか!
あと、そんな背中叩かないで、妹よ。
残りもでちゃう。
「じゃあお買い物行こっか!お兄ちゃん!えへっ!」
「うっ!」
眩しい。
眩しいぐらい清々しいぶりっ子だな。
妹歴1日だとはとても思えないムーブだ。
全て許してしまいそうになる笑顔も満点だ。
しかし。だがしかし。
兄は妹に試練を与えなくてはいけない。
『初めてのお使い』という名の試練を!
「その前に、とりあえずパンツ買って来て。ズボンも。」
妹は一瞬で悟り、表情を無にして右手で鼻を摘んだ。
ご丁寧に左手はエンガチョだ。どこで仕入れた?
あの可愛かった妹はどこへ。
てかお前のせいなトコあるよね。
………というか100%お前のせいだよね?
まぁこれも可愛い妹がいるから出来るプレイだと思えば。
ちょっと特殊だけど。
入り口に向かった妹は、自動ドアが開いた瞬間にちょっとピクッとした。魔王なのに。
可愛いかったので後でイジってやろう。ふふふ。




