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第六十三話 昇格試験Ⅱ

アルバイトなどが思いのほか忙しくなり、執筆する体力が残っておらず、気がつけば二ヶ月も経ってました……次回は年内には上がると思うので、よろしくお願いします!

 それは、それは遠い昔の話。

 この世界には神様が住んでいました。住むと言っても建物の中ではない、人間の体の中に住んでいました。

 体に住まわれたしまった人間は、神様からの声掛けに初めは驚きと恐怖の感情しか浮かんではきませんでした。しかし、時間が経つにつれて段々仲良くなっていきました。

 仲が良くなってしばらくすると、神様は人間に言いました。


 「私の力の一部を貴方にあげる。信じれないかもしれないけど、イメージしてみて。貴方が思っている事が全て現実になるから」


 人間は流石に冗談だと思い、言われた当初は全く信じていませんでした。しかし、時間が経つにつれて力の事がどうしても気になり、一度だけと思い想像してみました。彼は光のように速く走るのが夢だったので、自分が猛スピードで走っている姿を想像しました。毎日毎日していたからか、想像はより鮮明に具体的に出来るようになっていました。

 しかしながら、幾ら想像しても足が軽くなったり、速く走れそうな感覚は全く湧いてきません。試しにジョギングしても変化はありません。そこで、彼は想像したように光の速度で走ろうと駆け出しました。


 「う、嘘だろ……」


 先程まで草原に居たはずが、遠くに見える森の手前まで来ていました。彼が驚いたのはそこではありません。自分自身がありえない速度で進んでいることが自覚できたことに驚いたのです。瞬間移動のように、移動中の景色が見えないのではなく、しっかりと肉眼で捕らえることが出来る。

 

 それからしばらくの時間、ずっと走り続けていました。それこそ足が動かなくなるまで走りました。

 あたりはすっかり暗くなり、興奮していた体を優しく冷ましていきました。ようやく冷静は判断が下せるようになると、彼はこの能力を封印しようと決意しました。もしかしたら、この力によって誰かの命が失われるかもしれない。そう考えると怖くて怖くて堪らなかったのです。

 そうして、彼の一生は終えました。




 試験当日。

 葵達が言っていたように午前中の試験は難なく合格し、クラス昇格がかかっている試験の切符を手に入れた。葵達は思っていたより成績がよく、十位以内にくい込んでいた。そしてカケルは下から数えたほうが楽なほど、順位は低かった。

 『入学して一ヶ月ぐらいで、その順位は結構良い方だよ。この調子で午後の試験も頑張りたまえ』と教師に言われていたので、どれだけ足掻いても精々一つ、二つ順位が上がるぐらいだ。


 「四人ともおめでとう、後は午後の試験だけだよ」


 葵達には無駄な心気遣いをして欲しくは無かったので、カケルは順位の事を話しては無い。


 「まあ、その試験が本番で一番緊張するんだけどね」


 三人の中で一番元気がある子が苦笑いを浮かべながら、両手を上げていた。


 「それでも、私達は鍛錬したことを実行するだけだよ!」


 「その通り」


 『この三人だったらお互いに支え合って、もっと上のクラスまでいけそうだな』


 「この四人の中ではでは私が一番弱い相手と対決するけど、やっぱり不安だな……」


 その緊張と不安は表情では隠していたが、三人とも同じだろう。いくら鍛錬したとはいえ、今まであんなに負けたのだ。それも圧倒的に。その相手に勝てる自分自身の姿など、簡単には想像できない。しかし、そのような気持ちは強くなる者誰にでも体感することだ。脳に刻まれた"負ける"という概念を初めて覆した時、その概念が強いほど得られる自信は増す。そうして強者となるのだ。


 「大丈夫。もし負けたとしても、鍛錬したことは自身の自信にもなる。それに、次に繋がる。四人は絶対に負けない。教えた本人が言うんだから胸を張って挑んで行け!」


 「そうやな! この試験の為に鍛錬した値は対戦相手には負けない!」


 「私も負けない!」


 「弱気は駄目、絶対に勝つ」


 「私だって鍛錬して努力したんだから、相手に圧勝してみせますよ!」


 「その勢いだよ!」


 四人ばかり気にしているが、カケルも油断は出来ない。この前の三人を囲んでいた中に居た生徒が今回の対戦相手の可能性も十分ありえる。それに加え、三組の生徒が裏から手を回している可能性だって否定できない。今回はクラス昇進を賭けてでもあるが、カケル自身の立場も負ければ失うといった大切な試験なのだ。


 『ここで立ち止まっている場合ではない。もっともっと上に上がって、この世界の現状を把握しなければいけないんだ』







 同時刻

 三組の教室の隅で何やら話している六人組が居た。


 「おい、お前ら俺達の言う事通りに計画は進んでいるんだよなぁ?」


 髪型も制服も決まっている三人組の代表が脅し口調で弱々しい三人組に問う。


 「は、はい! 計画は順調に進んでおります。午後の試験には完了します」


 手足が震えながらも、しっかり受け答えする。だが、その者は三人の中ではましな方で二人は声も出せずに居た。


 「三組の私達をあんな目に合わせといて……絶対許さない。貴方達、最悪殺して構わないから」


 「確かにあれを使えば事故で死んだって言えるからな」


 「で、でも……それは」


 細くて今にでも消えそうな声で拒否しようとしたが、太く大きな棍棒によって意見は途中でへし折られた。


 「お前らは俺達の指示に従え! 分かったら出て行け」


 「わ、分かりましたぁぁぁぁぁ!」


 『雑魚らがへました時の為に、あいつを殺せる準備はしておくか』


 代表は爪から血が出るほど噛み続け、笑っていた。

 あいつにどんな事をしたら一番苦しんでもらえるか。

 あいつにどんな事をしたら一番激怒するのか。

 あいつにどんな事をしたら何から何まで殺せるのか。

 その結末を想像するだけで、心地よくなれる。

 では、それが現実になったらどんな気持ちになるのだろう。

 思考が深まるだけ、彼の殺意は増していくばかりであった。

 

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