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第五十八話 午前授業終了

 授業の進め方は教師が黒板に文字を書きながら説明し、それを生徒が聴きながら書き写す。一番生徒の成績が伸び難い教え方だ。理想的なのは黒板に書いたものを説明していき、生徒に尋ねていく方法。なのだが、他のクラスに比べて生徒の数が多い十五組は教師が名前を憶えれない。指などで当てたら良いと思うが、教卓と席の幅がありすぎるので面倒らしい。


 そして、今現在のカケルは……。


 「うぅ……全然解からない」


 彼のノートを見ながら苦笑いで返す葵。


 「仕方ないよ。一番低いクラスだけど、一般知識は全クラス同じ内容だから。基準は一組だからレベルがありえない程差があるんだ」


 一組は全国トップの高校のレベルなので、編入してきたカケルには不利だろう。しかも、元引きこもりなら尚更。一般知識の授業は一緒だが、その他の魔法、戦闘の技術の授業の質が他のクラスと差があり過ぎている。十五組から十四組に上がるのは、自習練習が必須。そういう事が面倒になり、上を目指さない思考の者が増えたことで十五組の数は増え続け、仕舞いには授業に出ない者が出た。

 

 それが今の十五組の現状。


 「まあ、私も黒板の内容を書き写して、先生の話を聴くのが精一杯なんだけどね」


 「そうなるよなぁ。頑張ってしがみ付いていかないと」



 それから午前中の授業は終了し、結果は。

 国語 漢字が解からず全滅。

 数学 公式すら理解できず全滅。

 化学 元素記号解からず全滅。


 見事にオール全滅だった。


 「ヤバイ! 今のところ今日の授業全て全滅だぁ~どうしよう」


 売店で買った昼食を食べながら、気分を落としている。


 「元気出してください。次は得意の魔法の授業ですよ?」


 「そうだけどぉ~そうだけどさぁ~」


 魔法の訓練は主に授業内で生徒が新しい魔法を各自で覚える、といった内容。

 想像力でどうにかなるカケルにとっては不必要な授業で、ただ想像力を鍛えることしか出来ない授業になってしまう。


 「うぅ~ん。葵は覚えたい魔法とか、組み合わせはないの?」


 「組み合わせ? は聞いたことがないけど、覚えたい魔法は沢山あるよ!」


 彼女は思いつく魔法を片っ端から挙げていく。学園に在籍している生徒なら皆知っている魔法から、一部の人間しか知らない魔法。一つぐらい知っているものがあると思っていたが、全部聞いたことのない魔法ばかり。

 それはそうだ。カケルも魔法は使えるが、一般的に普及している強化魔法以外使った事がない。殆どがマーズによるオリジナル。強さも弱さも自由に作れる能力があれば、一般的に使用される魔法を使う必要がなくなってしまう。


 「じゃあ、今日はその中から三つぐらい覚えれるように頑張ろう!」


 「え!? 無理ですよ! 一つでも凄く時間が掛かるのに、それを三つだなんて」


 「大丈夫。しっかりサポートするから」


 「え、えぇ~じゃあお願いしますね」


 昼休みで打ち解けた二人は、訓練をする為に競技場に向かった。

 



 同時刻。

 生徒会室。


 生徒会の五人は昨日の件について会議していた。

 

 「昨日の件について話したいのですが」


 カケルに掠り傷一つ付けられずに敗北した如月。


 「ふむ」


 生徒会長が返事で申しを許可した。


 「既に耳に入っていると思いますが、転入生が十四組の男子生徒を一撃で戦闘不能にしました。男子生徒は十四組で一位の程の力量だったそうです」


 その者に手が出せなかった事については一切触れない。


 「それで、その後どうなったのかな?」


 「報告書にはここまでしか……」


 「教師から呼び出されて、事態を収拾しようとしたがその者に返り討ちにあった。という事は?」


 生徒会長なので、教師からの情報も当然入っている。

 その言葉を聞いて、如月を含め四人は視線を逸らしたり、表情が硬くなったりしている。


 「そ、それは……」


 「はぁ……もう良い。私は全てを知っている。お前達がその者に手出しも出来ずに完敗した事も。

  今回は許してやろう。私が席を外していて、指示を出せなかった責任もあったからな。

  だが、忘れるな。生徒会に敗北は許されない。二度はないぞ」


 「「「「はい!」」」」


 

 訓練は基本的に学生服で行い、戦闘の時だけ着替える。なので、今回は学生服のまま。

 学生服には魔法失敗時に発動する防御魔法があるので、怪我する心配はない。

 

 「魔法の授業の時は、午前中の時より人が多いんだね」


 午前中は数えれるほどしか居なかったのが、今はクラスの大半が居る。

 一般知識はレベルが高くて無駄だと思った生徒が、魔法なら追いついて行けると思ったのだろう。


 「自由で楽しいから午前中の授業より人気があるんだよ」


 葵は苦笑いで返す。

 カケルと葵の耳には『魔法では勝てるぜ!』『普通に会話できていれば大丈夫だろ』『お前も午前の授業出てないのかよ』と学年最下位に相応しい会話が入っている。


 『こんな奴らの中にも、もしかしたら凄い奴が居るかもしれない』


 可能性は低いが、確かめないよりかはましだろう。

 彼は観察眼を使い競技場内に今居る生徒の魔力を視る。当然葵もだ。


 『うーん。やっぱり皆魔力は低いか……俺以外の中では葵が一番優秀だが、それでも上のクラスに比べたら低い』


 改めて十五組の悲惨さを目の当たりにしたカケルは、心の中でぼやいていた。そんな中、全体を見渡していると一人の男子生徒と目が合った。偶然だ。しばらく見つめ合っていると、『あ!』と何かを思い出したかと思いきや、大声を発した。


 「おい! そこに居る奴昨日の凄い奴だぞ!!!」


 「え!? 嘘!? どこどこ!」


 「おおお!!!! 本当だ! おい、てか俺達コイツに教わったら最強になれるんじゃね!!」


 「名案だ! 早速声を掛けに行こうぜ!!」


 一人が大声を発したことでカケルへの注目が一瞬で集まる。昨日の件の影響で視線はどれも好意的なものだが、彼はそれを否定した。

 もちろん、人数的な問題もある。だが、そこが重要なのではない。

 重要なのは、相手が楽をして強くなるためにカケルを利用しようとしている事だ。


 授業に出席し、魔法、戦闘の技術を鍛えているが、思うように上達しない。という者には彼も力を貸す。だが、そんな者達とは違い授業に出席せずに、訓練の授業しか出ない者には教えてもらう権利が無いし、教える気もない。


 本来なら本心を言いたいのだが、ここは学園。そんな行為をしたら十五組全員に目をつけられてしまう。もしかしたら、家族にだって影響が及ぶ可能性だってある。そういう事にならない為にも、ここは遠まわしに断らなければならない。


 「ごめん。今日は先約が居てね。また今度」


 集まっていた者に言い放ち葵とその場を去った。

 そう、カケルは葵との練習を理由に断ったのだ。だが、これはその場凌ぎの使い捨ての盾。これを毎度毎度言い続けるわけにはいかないので、対策しないといけない。


 カケルと葵はその後競技場の端に移動した。


 「カケルさん、本当にあれで良かったんですか? 皆も教えた方が良いと思うんですが……」


 「そしたら、毎日午前の授業も出ている人に対して不公平でしょ? そんな都合よく使われるのは嫌だからね」


 「カケルさん……」


 この瞬間、葵がカケルに興味を持ち始めたことは本人以外誰も知らない。

 

更新遅れてしまいすみません(毎度言っている)

この間に新作を2作書いていたのですが、現代物を今週中に投稿予定です! 書き溜めがあまりないので、出来る限り毎日更新していこうかなと考えています!

もう一作品は区切りが良い所で投稿していこうかなと思います。


現代作品は高校が舞台です!

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