第五十話 両親
更新が遅くなってしまいました。
現在のカケルの自宅は今まで住んでいた場所とは違い、大体数十キロ離れた明かりが一つも点いてない住宅地。一部の住宅は生命体から襲撃を受けた傷跡なのか、穴が開いていたり、建物が崩壊していたりとボロボロだ。
住宅地は反対側に川、それを挟むように堤防が作られている状況。そして、現在カケル達は堤防の上から住宅全体を見下ろしていた。
「こ、この家のどこかに僕の家族が住んでいるんですか?」
「そうですね。今一応見えてはいるんですが、説明できる程良い目印もないので早速行きましょう」
案内人の後ろを着いて行き、順調に目的地に進んでいる一方でカケル達は途中公園の横を通りがかった。その公園には暖炉代わりの焚き火を囲んでいる人が居り、その者たちは顔が窶れ服はボロボロ。それは男性も女性も変わらない。
だが、驚くべきはそこではない。
この状態がつい最近起きた事。
そう、まだ格差社会は始まったばかり。
もっと、もっと広がり、酷くなる可能性だってありえる。
こんな格差社会を作ったところで、生命体からの襲撃は防ぐことは出来ず人口が減るだけ。今居る学生だけでこの国は世界は救えるはずは無く、絶対にどこかで限界が見えてくる。そんな事にならない為に、大人にも戦ってもらうのが一番の策なのだが、そんな事を学生達が考え、思いつくはずが無い。
酷くて残酷な現状を受け止めながら、目的地のカケルの家族が住んでいる家に到着した。
家は一軒家で周りに比べたら、そこそこ綺麗な方なのだが、普通の家に比べたらボロボロ。学生の子供が居るのだからか、少しは優遇されているらしい。
「では、早く中に入りましょうか」
「はい」
カケルは不安と嬉しさが複雑に混じっていながら、ボロボロに錆びているドアノブを握り締め。重く感じる扉を開けた。
玄関は薄暗く不気味な感じだが、ちゃんと掃除も整理も行き届いている。
そして、カケルは緊張していたのか扉をノックするのを忘れていた。これじゃあ普通に泥棒みたいになってしまう。そう思ったのか、一度扉の前まで戻り、ノックする。
「はーい! どちら様でしょうか?」
元気が無いかと思っていたが、案外元気そうな感じだ。
「僕です。カケルです」
「はい? またまた~ご冗談を「本当に来るわけ無いでしょ」」
「でも声は聞こえますよ?「あら本当ね」」
夢か現実か分からなくなっているが、これは紛れも無く現実。リアルだ。
元気はしっかりあるのに……早く目を覚まして欲しい。
「僕ですよ! ちゃん生きている息子ですよ!」
「え、ええ……エエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!! カケル! 本物のカケルではないか!」
「本当だわ! 本物のカケルだわ!」
『今まで偽者の自分が何人か出てきていたのか……そう考えたら恐ろしい』
「はい。本物です。他にも連れて来ているんだけど上げて良いかな?」
「狭い家だけど、良いよ! なぁ母さん!」
「ええ! 同然大歓迎よ!」
許可を得たので皆中に入っていく……と言うか両親に引っ張られながら無理やり強引に入れられた。部屋の中は玄関同様掃除がされており、ボロボロの家だが最大限綺麗にしようとする親の努力が見えてくる。
リビングに集められ、『今はおもてなしするぐらいの食料も無いの。ごめんなさいね』と母親からカケル以外のものに謝罪するが、特に皆気にしていなかったのか『その気持ちだけで嬉しいです』と代表してモーリス学園長が感謝する。
「皆さん。そしてカケル様の両親も揃ったところでお話を進めましょうか」
この世界の案内人の男性がこの場を仕切り、話の進行をしていく。それに両親はカケルの”友達”なので、安心して任せても良いと思っているので、口を挟まず聞いている。
「まずは、カケル様。確認をしますが、この方達はカケル様の両親で間違いないですか?」
カケルの方に体を向け、真剣な眼差しで問う。
「はい。間違いないです」
その言葉を聞くと、次はカケルの両親の方に体の方向を向け、問う。
「では、確認します。お二方はこの方が自分の息子さんで間違いないですか?」
「「はい。間違いないです」」
それぞれの確認が終わったのか、案内人の男性は正面を向き話の続きをする。
「これで確認が終わったので、今度からは最終防衛区に入れます。それでカケル様はそこの最先端を行く魔法学園に入ってもらいます。これはエリン王女からの命令です」
日本は大きく分けて二つの地域に分かれており、今案内人が言った最終防衛区と言うのは政治関係者、学生及びその保護者、その他諸々の選ばれた人間しか入れない地区。そして、今カケル達が居る地区は破棄区。既に敵から攻撃を受け、復興が困難と思われた地域は全て破棄区に属すことになり、それは今でも進んでいる。破棄区には学生の子供を持たない大人達が大勢住んでいる。
「また学園ですか。学園に入るのは強制的なものなのですか?」
「強制とは言いませんが一応エリン王女命令とだけは言っておきます。ですが、学園に入っておくと色々と好都合になりますよ?」
好都合になるのか。それは是非とも聞いてみたい。
「例えばどんな事があるのですか?」
男性は少し考え込む仕草を見せる。考え込む仕草を見せるほど、好都合な事が沢山あるのだろうか?
「例えば学園に入れば敵生命体の殲滅部隊に選ばれます。しかも、倒した金額によって国から報酬が与えられます。あ! 部隊は入学の時の魔力検査、身体検査、健康診断の三つの情報から位付けされるので、絶対にどこかの部隊には入れます」
殲滅部隊に報酬か……親には心配と苦労をかけたから金は稼いでいたいな。
しかも、エリン王女から救ってきてください! って言われてこの世界に戻って来たからな。てかこう考えたら学園に入った方が都合が良いな。
「そうですね。私の目的の事を考えたら学園に入った方が良いかもですね。そして、この日本のシステムを変えたり……なんちゃて」
実際学生頂点に立つ者をボッコボコにて突き落としてやれば権力は持てる。
この日本に居る学生の強さがどれほどなのかは分からない。だが、カケルにはまだ先が見えない伸びしろがあるので頂点を取れる可能性は十分にある。
「実際に取れると思いますよ。今の学生の力は異世界の魔法学園のカケル様が対戦したゼクスさんより少し弱いぐらいなので、カケル様が頂点を取るのもそう早くはないかと」
あのゼクスと大体同じくらいなのか……。
でもあの時は力が暴走していたから、本来の力では無いんだけどね。
「パパちょうてんになるの? それはえらいの?」
「そうねーとっても偉い人だねー」
「カケルさんは頂点に立てる器がありますよ!」
やっとこの世界の空気に馴染めたのか、ミーニァ、フローラリア、カグラが喋り出した。この世界でも家族ののほほんとした空気感は崩してはいないので、カケルも安心する。
「頂点に立つかは置いておいて、取り敢えず防衛区に入ったらすぐに学園に入りたいんですけど、何か試験とかそういうのはありますか?」
部隊の選考には無かった学力で試されると思っていたカケルだが、帰ってきた答えは『学生で帰還者なら誰でも入ることが出来ます』と。
その後案内人から色々説明を受け、防衛区に入るのは明日から。カケル達は転移魔法とはいえ流石に疲れるらしく、寝れる場所があればどこでも寝れる状態だったので、すぐに眠りについた。
翌朝。
カケル達は日の光を浴びて起きた……と言う平和なことは出来ず、この街中に響いているだろうサイレン音に無理やり叩き起こされた。
カケル達は何が起こっているのかさっぱり分からない様子。それに比べて両親は慌てて荷物を纏めて家から出ようとする準備をしている。
「何やっているんだい! 早くここから離れるよ!」
「お母さん、今何が起きているの?」
母親は準備で応答する場合ではなかったのか、それに代わり父が応える。
「敵の襲撃だよ! この街をめちゃくちゃにした奴らだよ!」
この街を襲撃した敵は今の日本は学生が殲滅している。しかも異能持ちの帰還者。
異能持ちの帰還者ならこの場には一名。ただの異能持ちなら一名。合計で二名も敵を殲滅出来る者が居る。
「案内人さん。この街を襲撃してきている奴らは、特に倒したりしても問題ないですか?」
「大丈夫ですよ。寧ろこの世界の敵の強さを測る良い機会になるでしょう」
「何か楽しそうだな。お主を行くと言うなら、私も行こう」
異性の魔法学園の学園長のモーリスも参加してくれる事となった。
「分かりました。そういう事なので、お母さん達はここでこの子達を見守っていて。多分すぐに終わると思うから」
両親は飛び出すカケルに何か言おうとしたが、もうその時は外に飛び出していた。
『あの子を信じよう』とアイコンタクトをとり、言われたとおりに見守ることにした。
カケルが家を飛び出して数分後。
掠り傷一つ無く、カケルとモーリス学園長は戻ってきた。
やっとカケルが元の世界で戦うシーンが書けます~(そこそこ長かった)
あっ異世界の様子は度々最後の方に書くと思うので、良かったら見てください!
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