第四十二話 元の生活?
勢いで書いていたら、文字数がいつもより多くなってました。
アイは学校が終わり、家に帰るといつものように頭を抱え悩む。
悩みは日にが経つにつれどんどん膨らんでいき、いつ爆発するか分からないほどに。
「私の秘密は明らかにしてはいけない。呪われた人種なんだから。あの二人に正体が知られたらどうしよう……考えただけでも嫌」
「もう今日は早く寝よう。疲れた。明日に備えよう」
アイは体を洗った後、歯磨きをして日が沈まないうちに眠った。
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アイは一見普通の人間に見えるが、それは違う。
人間とエルフのハーフ、呪われた一族の者なのだ。
カケル達新入生はまだ習っては無いが、人間と何かの種族の間で生まれた子供は一定期間を超えると理性が保てなくなる。そして人を殺したり、そのせいでその一族が悪く見られたりすることで、呪われた一族と言われている。
中には村に居た一族皆殺しにしたハーフも居たという。
そんな存在を村に居る一族が許すことが無く、ハーフと分かった時点で赤ん坊だとしても殺すところが今となっては一般になっている。
そしてアイは何故殺されていないかというと、親が一族の村に住んでいなかったからだ。
親は母がエルフで父が人間。
母が村から離れた一軒家に暮らしていると、その近くに疲労で倒れている男性を見つけてしまう。そしてその男性に恋に落ちてしまい、男性に結婚してくださいと頼み込んだ。男性はすぐに了承した。どうやら両思いだったらしい。その後結婚し、子供を授かる。
それがアイ。
両親はそのまま一軒家で暮らし、成長したアイは魔法学園に合格し寮生活となったので、家を出ることになった。
知識など一切身につけていなかったアイからしたら学園はとても新鮮な場所だった。
だがしかし、自分の存在はハーフという呪われた人種というのを知った後は学園生活が送りにくくなった。成績もだんだん落ちていき、ついに最下位になってしまった。
次の日のカケルのクラスの授業は魔法や、武術ではなく、種族についての授業だった。
この授業は人間以外の種族には嫌われている授業の一つで、これについては学園側も承知している。その理由は自分達、人間以外の種族を良いと思わない者が嫌がらせをしてくるからだ。これについては年々あることなので、学園側も対応を取ってなんとか授業をすることが出来ている。そうでないと、人間以外の種族の貴族から不満を買ってしまい、面倒ごとになるからでもある。
エルフ、ドワーフ、獣族、竜人。そしてハーフの順で授業は終わった。
その後は二年生との合同授業で、闘技場へ集まることになっている。
その授業までの時間はほぼ無く、急いで男子更衣室で着替え外へ出る。
そこには既に二人、ミアとアイが待っていた。
二人はカケルの存在に気がつくと、笑顔になり、駆けて行く。
「すみません。遅くなりました」
「いや、そんなことは無い。私達も今来たところだから。な? アイ?」
「そ、そうですね」
急に話を振られたからなのか、アイは少し反応に困っていた表情だった。
そんな事を気にせず、ミアは話の内容をどんどん進めていく。
「今日は連携の練習らしい。二人ともどうする?」
「私は二人のサポートに回ります」
「うーん。どうしてアイはサポートばかりに回るの? 前々から思っていたけど」
するとアイは一瞬答えずらそうな表情をした後、それを隠すように作り笑顔を見せる。
「二人を引き立てた作戦のほうが良い方向に進むから。それに私がサポート以外に回ってしまうと、二人に迷惑をかけてしまうから。ね?」
それに対して、ミアはいくらなんでも引き気味のアイを良いとは思ってはいない。それで少し怒りを含めた気持ちで、注意する。
「私達は三人でペアだ。一人でも欠けたらそれはペアではない。だから私達の事など考えずに自由に行動をしてほしい。そしたらカケルも、私もアイのサポートに回れるからさ。そんな悲しい事を言わないでよ」
その言葉にカケルも同情し、アイに視線を向ける。
二人から視線を受けた本人は諦めたのか、肩をすくめた。
「分かったよ。これからは注意するね。それで私はどの位置にいれば良いのかな?」
「じゃあ今日は真ん中を頼むよ」
「頑張ってください! アイさん!」
カケルは胸元で手をグーの状態で応援した。
それに笑顔で返して、二人は安心する。
練習はペア対ペアの勝負で、しっかりと連携をとりながら相手を倒すという内容だった。
当然カケル、アイ、ミアペアは全勝で唯一接戦だったのが、セレス、クレアペア。
あのペアはこの学園の五本指に入るほどの連携が上手く取れており、周りのように声でコンタクトを取るのではなく、視線、つまりアイコンタクトでお互いがどう動くべきか伝え合っているという人間離れした業を持っていた。
それに対してカケルの観察眼によるサポートにより動きやすくなった二人を動かし、相手に『参った』と言わせた。
「アイもやれば出来るのに、サポートに回ろうとするの? 勿体無いなー」
「そうですよ。アイさんの実力を見たことが無かったですけど、凄かったです! いつもの姿とは違いカッコよかったです!」
「そ、そう? 今回はカケル君がとても良いサポートだったからミアさんも私も動きやすかったんだよ。だから皆頑張った! 私も頑張った! それで良い! それじゃあ」
「待ってください!? まだ授業は終わってはないですよ!」
カケルの言葉にも耳を貸さずにそのまま走りながら闘技場を後にした。
『今日のアイの口調なんか変だった……何か隠している?』
その場から走り逃げたのは良かったが、特に行く場所が無く、女子更衣室に足を踏み入れた。
額からは走ったものではない汗が拭き取っても拭っても噴出している。
「危ない。危うく怪しまれるところだった。てか既にあの行動を起した時点で怪しまれているのは確実なんだけどね。私が呪いの一族で身体能力、魔法蓄量も多いことを知られてはいけない。何があってもこれだけは阻止しないと」
「今日はもう早退しよう。気分が悪くなったといえば帰れるだろう」
そして、運よく女子更衣室の近くを通りかかった担任教師に気分が悪いといい、早退した。
闘技場で連携の練習が終わると、今日の授業は全て終わり。
一々教室に戻るのも面倒なのでその場で連絡事項などを済ませ、その場で解散となった。
今日からフローアリアにお世話係が付いているが、どうしても不安だったカケルは早く帰ろうと腰を上げようとしたところに、明るい声と共に背中に柔らかい感触が当たる。
「カケルさん! 一緒に帰りましょう!」
「せ、セレスさん!?」
「カケルさんったら~セレスでいいですよ。一夜を共にした仲ではないですか」
セレスが男子生徒たちが居るこの場で爆弾発言をしたことにより、嫉妬、殺意がたっぷりこもった視線がカケルの体中に突き刺さる。がその中でも一番殺気や嫉妬の視線を感じるのは、すぐ近くに居たミアからだった。
「か、カケル? 一夜を共にしたって言葉。どういう意味かしら?」
『不味い。ミアさんが完璧に怒って口調が貴族モードの怖いバージョンになっている!?』
ミアは基本的に怒ったりすると、自然と貴族に使う口調になり、もの凄く怖いのだ。
その危険は状態だというのに、セレスが追い討ちをかける。
「そのまんまの意味ですよ。あ~あ今でも思い出しただけでも……」
『セレスってもしかして悪魔か何か!?』
「カケル。私からの好意は受け取らずに、セレスからの好意には受け取るのね」
『何とか話をいい方向に持っていかないと』
「そんなことはないですよ。僕はミアさんの事も好きですよ。ミアさんがその気になってくれれば、自分はいつでも大丈夫ですよ!」
するとミアの頬は熟れたトマトのように真っ赤にそまり照れ顔を見せる。
「じゃあその時を楽しみにしてるね。それとセレス。この場でそういう発言は控えるべきよ。カケルが困ってしまうからね」
「は、はい」
こればかりはセレスも反省したようだ。
ミアさんはこの後用事があると言い、この場を去った。
そしてカケルはこの視線にいつまでも晒されるのが嫌だったらしく、セレスに『早く着替えを終わらせて校門に来て! 待っているからと』と伝え、神速を使い更衣室まで急ぎ、他の生徒が来る前に着替えを終わらせた。
教室に戻り自分の荷物とセレスも荷物を持ち、校門で待つ。
約五分後。セレスは乱れた髪を直しながら早歩きで向かってくる。
「一緒に帰ろうか」
「はい!」
ミアはカケルと会話を一区切りついたところで、用があると言い一緒には帰らなかった。
その理由は今向かっている場所に関係している。
「モーリス学園長。少し用があるのですがよろしいですか」
木で出来た大きな扉を三度ノックする。
少し間があったが、扉の奥から『入ってよし』と聞こえた。
「失礼します」
入ると部屋の奥のに大きな机に肘を乗せ、生徒でも関係なしに圧力をかけるモーリス学園長がそこには居た。
「何のようだ」
「少しお聞きしたいことが」
「申してみよ」
「はい。アイ・フレンのことについてお聞きしたいのですが」
「ふむ……まあ良いだろう。そこに座れ」
視線の先には客専用の席のようなものがあり、そこに言われたとおりにミアは座る。
ミアが座ることを確認したモーリス学園長は反対側の席に腰をおろす。
「実はだな……」
更新が予定より遅くなってしまい、すみません。
新作は順調に進んでいるので、このまま行けば間に合いそうです。
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