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第三十二話 セレスの思い

セレスが大きく動きます

 時は少し遡る……。



 「どうしましょう。夜カケルさんの所に行く予定だけど、何着ていけば……」


 セレスが他の女子より何故早めに風呂から上がったかというと、夜の秘密の計画『夜の夜這い大作戦』の為の戦闘服パジャマを準備する為なのだ。夕方からそわそわしていたのも、この計画のせいだ。遠征に行くまではこのような計画は企ててはいなかったが、カケルが迷宮でセレス達を救ったことがトリガーとなり、一気に好きになった。そしてこの遠征が絶好のチャンスと考え『夜の夜這い大作戦』を考えたのだ。


 「早く考えないと、カケルさんが来てしまう。……これは露出度が高いので無し!……これは地味だから無し!」


 部屋で『これは違う。これも違う』と言い続けながら、鞄の中から取りだした服を床に投げ置いていく。

 だが時間はセレスが思うより長くは無く、部屋に服が散乱している状態でカケルが帰ってきてしまったのだ。



 そして時は今と至る。

 さっきまでは二人でちょっぴり気まずい雰囲気だったが、ギルが帰ってきた事で解消された。鋭いのか、鋭くないのか分からないが、何かおかしいと感じたギルは二人に質問したが、セレス、カケルが何とか誤魔化すとまんまと二人の嘘を信じ込む。


 二人は嘘を信じ込んだギル顔を見、無意識に顔を見合わせると笑い出してした。

 それを見てるギルは『何がおかしいんだよ!』と困惑するので、それを見て再び笑い、困惑しそれを見て笑いの繰り返しだったが、ギルが呆れて床に座った事で笑いは収まる。

 

 「それでカケル。お前明日に備えて寝なくて良いのか?」


 正直言うと、この空気の中自分一人だけ『ごめん。今から寝る』と言うのは気まずかったので、ギルがこの話を振ってきたので助かった。


 「もう寝ようと思っていたところだよ」


 「よし。なら俺も早めに寝ようかな。セレスさんはどうする?」


 突然話を振られたセレスは肩を跳ね上がらせ、驚いていたが、話を聞いていなかった訳ではなかったので言葉を返す。


 「そうですね。健康を考えて私も早めに寝ようと思います」


 皆の意見が同じになった事を確認すると、ギルは手を叩きお休みモードに入る。


 「じゃあ俺はお先に寝ることにするよ。お休み」


 そう言い残すと、ベッドが置いてある個室に入っていった。

 部屋は何故かベッドだけが各個室となっており、五人部屋なのでベッドが置いてある個室は五室ある。

 部屋入口から見て左に三部屋。右に二部屋となっている。

 部屋割りは左側の部屋にスーフ、ギル、ディア。右側の部屋にカケル、セレスと決まっている。部屋割りは特に揉めたりしなかったので、皆満足だった。


 フローラリアは誰の部屋で寝ているのかと言うと、今は治療室に居るスーフの寝室で寝ている。あの一件で精神的に疲れていたらしく、お風呂に入れるために起こすのも可哀想な気がしたカケルは起こさずそのまま寝かせてあげた。


 そうしてセレスもカケルもギルに続き自分の寝室に入り眠ることにした。


 『明日は大事な戦いになる。今日しっかり気持ちを落ち着かせて寝よう』


 そう自分に言い聞かせながら浅い眠りに入ろうとする瞬間、個室の寝室の扉が開かれた。

 カケルは起きたフローラリアが寂しくて一緒に寝に来たと思い、そのまま眠りについていたが、聞こえた声によって目を覚めることとなる。


 「カケルさん。まだ起きていますか」


 「……え!?」


 目を覚まし、思わず大きな声を出してしまい、手で口を押さえてしまう。

 そうカケルは知らないが、もう既にセレスの『夜這い大作戦』は決行中なのだ。

 近くに置いてある蝋燭に灯をともし、ようやく姿が見えた。


 服は先ほどと替わらなかったが、表情がいつもの明るい顔ではなく恥ずかしがっている顔になっていた。

 両手を胸の位置まで持っていくと、指先を絡めさせモジモジし始めた。


 「カケルさん。私は貴方のことが好きです!なので失礼します!」


 セレスはカケルに告白すると、そのまま寝ているベッドに上がりカケルを押し倒す。

 お風呂からあまり時間が経っていないからなのか、髪からは名前は分かってはないが花の良い香りが漂ってくる。緊張しているのか、カケルの肩を掴んでいる手が震えている。

 それもそうだ。セレスは今までの人生で誰かを押し倒したりしたことが無いのだ。貴族の身であることで、あまり性的な教えはされていない家庭も少なくはないが、セレスの場合は母に将来好きな人が出来た時ようと教えていたのだ。


 カケルはこの時考えていた。

 そのままセレスの行為を受け取るべきなのか。

 それとも気持ちだけを受け取るべきなのか。


 頭の中で二択のルーレットがグルグルと猛スピードで回っていた。

 そして考え、考え抜いた結果が決まったところでルーレットは停止した。


 「セレスさん。気持ちは嬉しいよ。でもね女性の大切なものをそう簡単に捨ててはいけないと思うんだよね」


 セレスは一瞬悲しい顔を見せたが、カケルの体に乗りながら感情的に、だが周りに聞こえないような声で反論した。


 「私はそんなカケルさんが思っているような簡単な気持ちで、このような行為をしているのではないです!私はカケルさんを愛しています。本気で愛しています。今すぐ婚約を交わしたいほどです。ですが今カケルさんの周りには色んな女性が居ます。

 もし、その中に好きな人が居たとして私はカケルさんの何番目でも良いんです!

 私はカケルさんに染まりたいんです!

 他の男性に染まりたくないんです!

 カケルさん。私は本気なんです……」


 この発言にはカケルも予想はしていなかった。

 正直に言えばセレスの好意には気が付いていた。

 だが、ここまで本気の気持ちとは気が付かなかったのだ。


 『ここまで本気だとは知らなかったな。ここでやっぱり受け止められない、と言うのはおかしい気がするな。まだ彼女の気持ちに答えることが出来ないが、ここは彼女の気持ちをしっかりと受け止めてあげよう』


 こうしてカケルはセレスの気持ちを受け止めることにした。


 「分かった。セレスさんの気持ちを受け止めよう。だけどまだセレスさんの好意に答えることは出来ない……」


 カケルは少し落ち込んだ様子で告げるが、セレスは逆に嬉しそうな顔をしている。


 「私は待ちますよ」


 「そうかありがとう」


 

 

 翌日カケルの寝室から頬がゆるゆるにとろけそうな幸せな顔でカケルの腕を組みながら出てきたセレスを見たギルが、『何故カケルの部屋から出てきたのだ?』と首を傾げ何かいつもと違うと悩むのだった。

セレスの展開が早い気がしますが、気にしないで下さい(お願いします

誤字、脱字がありましたら報告お願いします!


そしてブクマ、評価の方もよろしくお願いします!

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