第二十四話 迷宮Ⅱ
本編遅れてしまい、すみません
仮迷宮攻略二日目。
二十階層から始まったからなのか、昨日より良い物がドロップしている。
特に階層ボスからドロップする物は、今までの階層のドロップの中で一番良い物だった。
現在は二十八階層。
モンスターの強さは特に変わってはなく、クラウソラス一振りで死んでいく。
モンスターでは困ってなかったが、その他に困ったことがある。
それは、すぐにドロップアイテムを入れていたリュックが満杯になってしまうことだ。換金すれば良いじゃないか!っと思っているだろう。だが換金するには一々一番下の一階層まで下りなければ出来ない。換金のために体力を使い切るのは勿体ないと考えたカケルは高いドロップアイテムだけを回収し、その他は捨てることに作戦を移す。
迷宮は上の階層に行くほど、道が複雑に混じり合っておりマッピングしないと帰れないほどだ。一般の冒険者は魔法スキルのマッピングを使うが、カケルには必要なかった。
力の一つの観察眼。
遠くや動きを見るだけではなく道にも効果があり、道の場合はマッピングでこれで一つ力の使い方が分かった。
やばいな~。
高い物ばっかり集めていたけど、もうリュック一杯になっちゃった。
流石に上の階層に行くほどモンスターは頻繁に出てくし、ドロップアイテムも多くなってる。
そうだ!昼ご飯を兼ねて換金に行こう。
カケルは腹時計でお昼時と分かると、すぐに一階層まで下り、昨日のように受付で換金してもらう。
「換金終わりました。全部で十五万ワードですね」
お金を受け取り、リュックにしまう。
昨日より多かったけど一番何が高かったのだろうか。
聞いてみよう。
「どうも。あ!ちょっと良いですか?」
「はい?なんでしょう?」
「今換金した物の中で、一番何が高かったですか?」
物によっては、それだけ集めることにしよう。
「そうですね。今持ってこられた物の中ではレアドロップのミノタウロスの心玉ですね」
ミノタウロスの心玉とは心臓のことである。
これは薬の材料として重宝され、一部武器にも使用されている。
今回カケルは二個換金したが、本来はドロップする確率が低く二個ドロップするのは大変珍しいのだ。
「では、他にはどんな物が高く売れますか?」
今換金した物以外にも高く売れる物は知っておくべきだと考えたのだ。
「そうですね。第三十階層から今まで出たモンスターの亜種が出てくるので、それらのドロップは大変高く売れると思いますよ。一攫千金を狙っているのでしたら、第五十階層のボスからのドロップですかね」
「そうですか。とても助かりました。有難うございます」
そう言い残すとカケルは昼ご飯を食べに行く。
ご飯は露店のパンと、最近お気に入りの串焼き肉を買い近くに広場で食べることにする。
朝と夜は宿で学園皆と食べるが、昼は基本自由に食べることが許されている。
え?なに?昼ご飯は斑のメンバーと食べないのかって?
別にぼっち飯が好きって事ではないが、今は一人の時間が欲しい。
どのモンスターを狙い、効率的にお金を稼ぐか考えていたい時間がどうしても欲しい。
そのために、あえて一緒にご飯を食べていない。
お金が貯まって買えたら、斑のメンバーと一緒にご飯食べに行くか。
カケルはご飯を食べながら、どのモンスターがどの階層で良く出て、どのモンスターのドロップアイテムが高く売れるのかを大きめの紙に書いていた。
受付の人の話を踏まえて書いていくとこんな感じの結果になった。
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第二十階層から二十九階層までは普通のモンスターがレアドロップが高く売れるが、それらがドロップしない場合ボスドロップが高く売れる。
第三十階層からは、普通のモンスターの他に亜種が出てくる。それからドロップするアイテムは高く売れる。稀にボスモンスターも亜種になってることがあり、そのドロップアイテムは貴重でより高く売れる。
そして一攫千金を狙うなら第五十階層。
ここはまだどんなモンスターが出てくるか分かってない。恐らくここに来ることは無いだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
と簡潔にまとめた。
まとめた紙を見ながら作戦を考えていると、食べ物がいつの間にか全て食べ終えていた。
串焼きの串をゴミ箱に入れると、迷宮に再び向かう。
だが、向かう途中で聞き慣れた声が聞こえ、その声は怒ってるように聞こえた。なのでその現場に寄り道することにした。
「あれ?お前達の斑の班長のカケルさんが居ないけどどこいったのぉ?」
「ああ~迷宮が怖くて逃げちゃったのかな?そうだよね~モンスター沢山出てくるもんね~?」
「そうじゃない!カケルさんは今ただ一人でお金のために頑張ってるの!」
「そうだ。俺達のカケルを悪く言うんじゃね!」
「「うんうん!」」
「でもここに居ないじゃん?俺達今十八階層だけど見なかったけどなぁ?」
すると周りにいたメンバーも笑い出す。
迷宮の入口近くで、ベータ斑とセレス斑がカケルの事で言い争いをしていたのだ。
ベータ、ヴォルルフが主にカケルの事をめちゃくちゃに言い、それに反論するのがセレス、ギルという形でやっているが、セレス斑が押されている状況となっている。
「カケルさんは二十階層突破してるんだからすれ違わなかったのよ!」
「へぇ?じゃ証拠は?」
「ううっ……」
セレスは答えることが出来ず、言葉が詰まった。
気まずそうに下を俯く。
周りの冒険者は誰か助けてやれよと視線を送っていたが、その必要は無くなる。
「ああ。行ってるよ。二十階層」
その声がした方向に周りにいた人々は視線を向けた。
そこには現セレス斑元班長カケルだった。
「今は二十八階層のボス前。嘘だと思うなら受付に聞いてみれば良いよ」
「そうだな。嘘を付いてるかもしれんからな」
そう言うとベータは受付へ行き、カケルが現在どこまで行ってるか聞いた。
受付には迷宮に出た後、絶対にどの階層まで行ったかを報告しなければならないのだ。迷宮で緊急事態が起きた場合に、到達階層で人選するからだ。
なので受付は誰がどこまで行ってるか知っている。
「おい。ソウマ・カケルという男がどこまで行ってるか知りたい」
「はい。少しお待ち下さい」
受付の人は後ろに並んでいる本棚の一つの棚から紙をまとめた分厚い綴りを取り出す。
その中の一枚の紙切れを綴りの中から取りだし、戻ってくる。
「現在は二十八階層まで到達してますね」
「うっそうか」
聞き終えたのか、こちらに戻ってきた。
「確かに到達してるそうだな」
悔しかったのか、顔が「こんな事実認めたくない」と言っている。
「分かったなら、もう関わらないでくれる?ほら皆行こ」
カケルはこちらが引かなければ、この睨み合いは一生終わらないと分かっていた。
だから形では逃げていたが、中身は勝っていたので何を言われても怖くない。
そんなことが分かっていたのか、ベータ斑は何も一言も喋りかけなかった。
「カケルさん。迷惑かけてすみませんでした」
「良いよ。気にしないで」
「そうだよセレス!気にすること無いって。あいつらから来たんだから」
「そうだ!そうだ!」
「そうですよ」
セレスがカケルに謝ると、スーフ、ギル、ディアが励ました。
とっても良い斑だな~。
あ!そうだ。折角だから皆で迷宮に行きたいな。
お金はこの調子で行くと目標金額超えるからな。うん。
「ねぇ。今日だけ僕も迷宮行くの混ざっても良いかな?」
斑のメンバーがこちらを向き、笑った。
「何言ってんだ?当たり前じゃんなぁ?」
「「「うんうん」」」
「ありがとう。皆」
カケルにとっては初めての斑で迷宮に行くことになった。
一度この話を消したのはミスがあったからです。
迷宮がしばらく続きそうです。




