目の前の現実
ゆきと出会ってからというもののぼくの頭のなかにはゆきのことしかなくなった。彼女とのメールの頻度は減り彼女とあうことをさけるようになった。そもそもなぜ彼女のことを好きになったのかがわからなくなってしまった。そんななかぼくは田代を含む友人4人と宅飲みをした。ぼくをいれて男3女2。ゆきもいた。夏合宿中に仲良くなった小池の家での宅飲みはぼくにとって人生初の宅飲みだった。5人で楽しくサークルのことなんかをはなしていたが次第に話題が恋愛のほうに向かっていった。特に夏合宿でぼくと一緒にバンドを組んでいたたえがノリノリだった。「白井くんは彼女いるんだもんね〜」といきなりぼくにふってきた。ゆきのまえだしあまりその話題を続けたくなかったぼくは「まあね〜」と流そうとしたが田代がすかさず「こいつ合宿の行きのバスでずっとメールしとったで」と余計なことをいった。しかしぼくの反応から少し空気を読んでくれたのか小池が話題を変えてくれた。「ゆきは彼氏を順調なの?」ぼくはその瞬間固まった。彼氏いるんだ・・・「まあ、順調ではないけど普通よね〜」会話はすすんでいく。「もう一年四ヶ月なんでしょ〜」めちゃめちゃ長いじゃないか「まあね〜」ぼくは耐えられずトイレに向かった。トイレの中でいままで得た情報を整理した。あまり気にしていなかったけどコンパの時年は三つ違うっていってたな。てことは今年22か。兄貴と一緒じゃないかそれでいて大学二年生っていってたぞ。あれ、付き合って1年4ヶ月?いま8月だぞ。1年の4月に付き合いはじめたのかよ。ビッチじゃないかやっぱり。金髪だしそりゃそうだよな。やっぱりおれには縁のない相手だな。しかも1年以上つきあってたらそりゃもう強い信頼関係があることでしょうよ。なにも整理できないままぼくはトイレからでた。正直その後のことはいまいちおぼえてない。こんなに気が動転していたら当然か。。。ぼくのなかでゆきは遠い存在になった、はずだった。