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知る喜び

家に帰って、ソファでゴロゴロしながら新しい漫画を読んで。

そうしている間に出来上がった、お母さんがつくったご飯を食べて。

お風呂にはいって、ゴロゴロして。

そして、お布団でゴロゴロしながら、

今日買った活字の本を取り出しました。

表紙にはお洒落な字体で「賢者のことば」と書いてあります。


『へー、「賢者のことば」っていうんだ。タイトルなんて見ないで買っちゃったよ』


装飾の部分を撫でながら、本の感触を楽しみます。

表紙の手触りが気に入りました。

なんだか触っているだけで頭が良くなった気分になってきます。


そうしてしばらく本を撫でさすった後に、ようやく表紙をめくりました。

一枚、一枚とめくっていきます。

本屋で立ち読みしたように読み流すのではなく、じっくりと。


ぺらり、ぺらりとめくっていくうちに、だんだんと世界がその本だけになったような気がしていきます。

読んでいる間だけは、その本が本物の世界で、普段生活している世界は偽物の仮の住まいと感じたのです。


あまりにものめり込んでしまい、

本当はキリのいいところで止めて眠るつもりが、

最後のページまで読んでしまいました。

気がついたら、もう朝になっていました。

朝ごはんを食べて会社にいく時間まで後少しです。


でもそんなこと、男は全く気にしていません。

読んだ内容が衝撃的だったので、そんなことどうでもよかったのです。


その本の中には、この世の真理が記されていたからです。


男にとっては、目から鱗!


『これはすごい!

こいつはこの世の真理なんじゃぁないのか?

僕はすごい本を読んでいる。この難しい内容を難なく理解している!!

こんな本に出会えるなんて、僕はツいてる! 素晴らしき幸運!!


この本は途中で終わってる。続きがあるんだ!

さっそく明日、続きを買ってこなくっちゃぁ!』


男は有頂天。

けれど真理を知ったところで、毎日の暮らしが変わるわけではありません。

一睡もしていませんが、最高の気分で朝ごはんを食べて、会社へ行きました。

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