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いつものこと
時は平成、大都会。
ある街に一人の会社員がおりました。
それはいつから感じていたことだったのか。
気がついたら、男は毎日がつまらなくて仕方なくなっていました。
朝起きて。
満員電車に揺られながら会社に行って。
仕事で失敗して。
満員電車に揺られながら帰宅して。
夜はただ寝るだけ。
毎日毎日、同じことをただ繰り返すだけで。
嫌になっちゃいます。
ずっとずっと、このままなのだろうか。
このままずっとずっと、変わらない毎日が来るのかと思うと、男は堪らなく虚しい気持ちになるのであった。
〇…〇…〇
今日もまた男は、
朝起きて。
満員電車に揺られながら会社に行って。
いつものように、仕事で失敗してしまいました。
そしてまた今日も、上司の雷が落ちました。
涙が出そうになったので、思わずうつむきます。
視界が滲んだけれど、泣くわけには参りません。
大の男がなくなどみっともないことです。
男が最後に涙を流したのはいつのことだろうか。
男はもう思い出せないのでした。