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キミと。  作者: 美乃
一粒
9/11

八章



「…よい休暇を」



それは上辺だけの言葉で、背中にはまだ痛いほどの視線が突き刺さる。



「…………何だかなぁ……」




すごく理不尽だ。




上司命令で従うしかなかったし、こうでもしないと逃げ出すのだから仕方ない。



「時任ここに何の用あるの?」



「あー…まぁここで人と逢う約束してんだけど……あいつら、特に雛依乃の奴が時間にルーズだし…」



「"雛依乃"?」



人の名前だろうか。



「松迅 雛依乃<マツバヤ ヒイノ>と英那<ヒイナ>ーー君と同じくらいの歳の双子だよ。同じくOPに所属してる。姉の雛依乃の方が落ち着きなくて、いっつも待ち合わせに遅れるんだよ」



「へー」



「多分着くのは明日になりそうだな」



「……へ?」



「一晩、泊まるから」



「………………!!」




最早、嫌な予感しかしない。



千里は口元を引きつらせ、大きく拳を時任の背中へと振りかぶった。




「……っけんなばかー!!」

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