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一章
「あーあ……」
どうして、こんなことになったのだろう。
「ねーお兄さん」
「ん?」
「このまま俺を下ろしてさ、その何とかってゆーところに一人で帰る気はない?」
「ないね」
「ちっ」
少年は青年の肩に担がれながら、清々しいほどの笑顔で舌打ちをした。一見逃げやすそうだが案外青年の力は強く、びくりともしない。
それでもいつかは逃げてやろうと内心企む。
それにしても。
「どうしてこうなったかなぁ……」
何回目かになるフレーズをため息と共に吐き出した。眩しげに、照りつける太陽に目を細める。
本当に。
どうしてこんなことに。