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作者: 三咲都李

 私は今日、勤続38年の職場を去る。

 大学を卒業してこの38年間は、私にとって走り続けていたよう感じる。

 妻と結婚し、子供が生まれ、私は彼女たちに人並みの暮らしをさせるため一生懸命働いてきた。

 いや、私が一生懸命働いたことによって人並み以上の暮らしが出来たはずだ。

 私はそれに誇りをもっている。

 妻には色々苦労をかけた。

 私が仕事に集中できたのも妻のおかげだ。

 何もいわず、黙って私についてきた妻。

 子供も結婚し、これからの余生は妻とふたりで慎ましく生きていけるだろう。

 私は、会社をあとにした。


 家に帰ると、妻は、いなかった。

 今日、私が退職するのは妻にも告げてある。

 買い物にでも出かけているのだろうか?

 居間に入ると、テーブルの上に2枚の紙が置いてあるのが分かった。

 私は、その片方を手に取った。

 離婚届には、妻の名と印鑑が押してあった。

 もう一枚の紙を手にとって見た。

 妻の字が並んでいた…。


「 貴方へ 


 おかえりなさい。

 私は今日まで貴方と共に生きてきました。

 ですが、貴方から一度も頂けない言葉がありました。

 それに気がついたとき、私はその言葉を

 今日の貴方の退職の日までに頂くことができないのであれば

 貴方と共に生きることをやめる決心をしておりました。


 これからの貴方の人生に幸多いことを…」


 私は…なんの言葉を…妻にいわなかったのだろうか…?

言わなきゃ伝わらない言葉ってあるんです。

気をつけないといけませんね。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんでしょうね。愛してます。ですかね?
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