うしろ
掲載日:2026/08/08
以前同じ職場だった太田さんの話。
残業で遅くなってしまったある日、太田さんが電車に乗っていると
「九州の人柱の話、聞いたか?何人死んだんだ?」
そういう男の声がすぐ後で聞こえた。
(人柱?)
何の話だろうと振り向くと、そこには誰もいなかった。
1メートル程離れたところには電車のドアがあり、ドアの窓の外には暗い街明かりが流れてゆくばかりだった。
前に向き直ると、某高校の詰め襟制服姿の男子生徒がこちらの方を見ており、目が合った。
男子生徒は不思議そうな表情で太田さんに軽く会釈をして、そばに立っていた同じ制服姿の男子生徒に首を傾げながら言った。
「なぁ、あそこ。誰かいたよな?」
「え?」
「ヒトバシラがどうとか。ヒトバシラって何だっけ?」




