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愛
慣れないスーツで身を護り。
慣れない靴で無音のタップ。
近い未来、遠い将来、僕はそれを考え佇む。
鏡に映るのは君。
明るい未来を見ている君の顔。
「ねぇ、綺麗?」
笑ってるようにみえる、君の心。
純白のドレス、透き通った瞳、後ろに立つ僕。
「うん、輝いてみえるね」と返す僕。
幸せになろう、それが本心。
輝いてみえるね、それも本心。
何が正解、何が不正解。
ただそこにあるのは愛、それだけ。
何をもって、それと呼ぶ。
これから見える素晴らしい未来。
何をもって、それと呼ぶ。
あるやもしれない鉛の景色。
人生最高の時、そんな時だからこそ生まれる思考。
至福のオーケストラに潜む、微かなノイズ。
それらを両天秤にかけ、
僕は、細い首をそっと絞めた。




