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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第十二章 かなめの『荘園』のホテル

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第46話 招かれざる住人と新入りの悲しみ

「それにしても……なんでテメエがいるんだよ」


「それはこっちのセリフだ」


 島田の後から部屋に入ってきたのは『ヒンヌー教団』の教祖である菰田邦弘曹長だった。


「部屋割りを担当したのはクラウゼ中佐だ。文句なら俺じゃなくクラウゼ中佐に言え」


 菰田はそう言うとキングサイズのベッドの上に自分の持ってきた荷物を置いた。


「アメリアさんー。こいつ何とかしてくださいよー。邪魔ですよー。ここ二人部屋でしょ?菰田の馬鹿はどこに寝ればいいんですか?」


 この場にいないアメリアに向けて島田は泣き言を言った。


「じゃあ僕がソファーで寝ますよ。新入りですから」


 何とか吐くものを吐いてすっきりしていた誠は新人らしくそうつぶやいた。その言葉に頷く菰田だが、島田の反応はまるで違った。


「いや、それは違うな。オメエはうちのチームのエースになるんだ。肩を冷やして投げられなくなったらことだ。俺達は合宿に来てるんだ。そして明日の練習の主役はオメエだ。菰田。オメエがソファーで寝ろ。マネージャーだろ?選手に気を遣うのは当然だろ?ソファーじゃもったいねえ、床で寝ろ。そうしろ」


 強気の島田は荷物を置きに部屋のクローゼットに顔を突っ込んでいた菰田を怒鳴りつけた。


「何言ってんだ!神前は後輩だぞ。先輩の俺がベッドで寝るのが当然だろ?それに俺は管理部部長代理。役職も一パイロットの神前よりはるかに上だ!俺がベッドで寝る」


 野球で攻められれば勝ち目のない菰田は役職と先輩風で誠を威圧した。


「マネージャー風情がいい気になりやがって。一万年早えんだよ!合宿の間くらいマネージャーらしく小さくなってろ!」


 予想通り先輩風を吹かせてくる菰田に向けて島田は野球部での菰田の立場を指摘して応戦する。


「いいや、あくまでも野球部は仕事の一環だ。野球部のエース?それがどうした?俺は『管理部部長代理』って肩書が有るんだ。一パイロットに過ぎない神前がソファーで寝るのが当然だろ?」


 自分の役職を盾に菰田はあくまで強気に出た。


「そんなの関係ねえ!今回は野球部の合宿だ。代わりは誰でも務まるようなマネージャー風情がデカい顔する場所じゃねえ!」


 島田と菰田の応酬は堂々巡りでいつ終わるとも知れなかった。


「まあまあ、お二人とも……」


 エキサイトしてきた島田と菰田の間に誠が割って入る。


「僕が新人なのは事実ですから。僕がソファーで寝ます。それですべて解決するんでしょ?それで良いじゃないですか?」


 気の弱い誠にはそんな妥協案しか考え付かなかった。島田も陰湿で根に持つタイプの菰田をこれ以上怒らせるのは得策ではないと判断したのか、襟を正すとそのままにらみ合っていた菰田への視線を部屋の天井へと逸らした。


「まあなんだ。このホテルは新しいから空調もしっかりしているからな。肩を冷やすこともないだろう。神前がそれで良いって言うんなら俺もそれで良い。全くマネージャーの分際で偉ぶりやがって」


 明らかに面白くないと言うように島田は吐き捨てるようにそういった。


「最初から神前が自分でソファーで寝ると言い出せばよかったんだ。全く後輩のくせに気の利かない奴だ」


 ふかふかのベッドで寝ることが決まって島田と菰田はそれぞれに思うところはあるものの自分の最上級のベッドは確保できたので納得したようにそうつぶやいた。




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